月の使者#ゴーショー②『ウーリーと黒い獣たち』
女王ルボン様が逃亡して、別の国で男を作った。
にわかに信じがたい現状ながらも、女王というしがらみから解放されたことへの安堵感から「別の自分になろう」と考えての行動かもしれない。少なくとも、”恋”というものを経験せざるを得ない年頃なのは間違いない。一国の王女である側面、ひとりの女性なのだ。
「逃亡だけにかぎらず、男を作る」という現状に、ルボン様の母君にあたる王女様は怒り心頭だろう。そう予想してはいたものの、あっけなく外れた。どうやら王女様の心持ちを安定させたのは、ルボン様の