WBC日本韓国戦に思う事

WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)凄く盛り上がってますね。
大谷翔平選手や佐々木郎希選手は、野球漫画から飛び出してきた様な選手ですし、ヌートバー選手の様な新たなスターも登場して、水島新司先生の作品を実写で観てる様な気分です。

ただ、毎度の事ですが日本と韓国の試合やグランド以外での争いを見ていると、日韓関係はとてつもなく根が深いなと思い知らされます。

国際試合とは互いの理解を育み、平和の促進であるべきだと言われています。

しかし、日本韓国戦を観ていると、その真逆で、日韓友好は未来永劫、不可能な事の様に感じます。

前大統領の文在寅政権の時代、日本と韓国の関係は元徴用工訴訟問題を巡り、戦後最悪と言われるほど悪化しました。

現在の尹錫悦大統領は、日韓関係の改善に前向きな姿勢を見せており、正常化に少しずつ前進している様に見えます。

先日、韓国政府は、元徴用工問題は韓国の財団が被告の日本企業の賠償金相当額を支払うという解決策を発表しました。

日韓の請求権問題は1965年の日韓請求権・経済協力協定で「完全かつ最終的な解決」を定めており「賠償問題は解決済み」というのが日本政府の立場です。

岸田首相も韓国政府の解決策について「日韓関係を健全な関係に戻すためのものとして評価する」と述べました。

両国の首脳が互いに行き来するシャトル外交も約12年ぶりに再開する予定です。

ただ、現在、関係を正常化できたとしても、政権交代が起きたら、再びこの問題が蒸し返される可能性があります。

元慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的」な解決を確認した日韓合意も、政権交代をきっかけに破棄されました。

現大統領が安定した政権運営をしてくれれば良いですが、そうなる保証はどこにもありません。

実際、元徴用工解決策に対する韓国の世論調査で、賛成が35%、日本の謝罪と賠償がないのなら反対が59%、屈辱外交だとの声があがっています。
大統領の支持率は34%、不支持率が58%と不支持が大きく上まっています。

韓国艦船による自衛隊機へのレーダー照射問題も未解決ですし、1952年以降、竹島は不法占拠されている状態が続いています。

日韓友好には幾つもの高いハードルがあり、そこへ至るには非常に困難な状況です。

それでも日本は安全保障環境が戦後最も厳しいと言われており、対北朝鮮という共通の問題を抱えている韓国との関係改善は、合理的な戦略と思われます。

「友好は無理だ。安全保障の面だけで割り切って協力すればよい」という意見もあります。

何にせよ、中国や北朝鮮に対しては、日米韓で安保協力を深めなければなりません。

※話が逸れますが、韓国で核兵器の国内配備に賛成する世論は何と7割を超えています。北朝鮮の核開発に対する危機感は日本の比ではない様です。


日本の中にも韓国の歌手やドラマ、食文化が好きな人は大勢います。
対して、国も人も嫌いだという嫌韓の人もネット上で大勢見受けられます。

それは韓国も同じでしょう。
親日の方もいますし、反日の方もいます。
一選手の所作や、一部のネット民の意見を取り上げて、それがさも韓国人の総意であるかの様に扱わなくても良いと思います。

SNSは6番目の戦場と呼ばれている"認知戦"の主戦場です。
日本と韓国の関係が悪化すれば、どこの国が利するのか?もよく考えるべきだと思います。

憎悪や敵意を、見えない敵に扇動されない様に気をつけねばならない事を、我々は肝に銘じるべきです。

腹を立てるなと言うてるわけではないですよ。
苦言を呈したくなる様なプレイや立ち振る舞いがあったのは事実ですし、Twitterという言論空間の中で、批判する事は自由です。

ただ、余りにも悲しくなる様な、相手国を侮辱する様なツイートが散見されましたので。
それは世間一般的に到底、受け入れられるものではありません。

日韓戦は感情がぶつかり合うから面白い、興奮するという面もあります。

恐らく日本チームの中にも「韓国には負けてはいけない」という空気があると拝察します。

ただ、やはり選手は公人なので、言ってはいけない言葉や、やってはいけない事をきちんと理解されています。
球場には子供達も観に来ますし、全国の野球少年の模範になる様に心がけているのだと思います。

本来は全ての大人が、その様に心がけるべき事ではないでしょうか?

私が人間としてもアスリートとしても尊敬するボクサーでノニト・ドネアという選手がいます。

ドネア選手は絶対にトラッシュトーク(汚い言葉で挑発)をしないですし、どの対戦相手にも敬意を払うんですよね。

ドネア選手の好きなエピソードがあります。World Boxing Super Seriesというトーナメントの抽選で一回戦でライアン・バーネット選手と対戦する事が決まった直後に、ドネア夫婦とバーネット選手とそのパートナーと4人で食事をしたそうです。試合後ならまだしも、試合前に対戦相手とこの様なコミニケーションを取るのは、非常に珍しい事です。

後日ドネア選手は、この食事の事をインタビューで尋ねられると

「僕たちはこれがスポーツであるという共通認識を持っており、すがすがしい思いだ。決してストリート・ファイトではない。お互いを汚い言葉で罵り合う必要もない」

と仰りました。

日本と韓国の関係はとても複雑です。
でも、せめてスポーツの世界では、こういう姿勢であってほしいものですね。



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