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スケールエラーは幼いころの知覚-行為の解離のエビデンスとなる(Scale Errors Offer Evidence for a Perception-Action Dissociation Early in Life)

Judy S. Deloache

Science. 2004 May 14;304(5673):1027-9.

【要旨】

正常に発達している幼い子どもの行為に見られる知覚-行為の解離について報告する.大人や年長児において,物品の知覚とそれに基づく行為の組織化はシームレスに統合されている.しかしながら,ここで報告するように,18-30ヶ月の子どもは物品の大きさに関する情報を用いることに失敗し,ミニチュアの物品に対して真剣に不可能な行為を行おうと試みる.例えば,子ども達はお人形の椅子に座ろうとしたり,小さなミニカーに乗り込もうとしたりする.私たちはこのスケールエラーを抑制コントロールと視覚情報に関する知覚-行為の統合の問題と解釈した.

【私見】

まず,これはarticleではなくreportです.が,視知覚を考えるうえで非常に面白いものでした.小児神経科の医師から数年前に紹介してもらったものです.

手順はシンプルです.子どもたちはまず実物大のおもちゃ(滑り台や乗り込める車のおもちゃ,中に入れるドールハウス)で遊び,その後まったく同じデザインのミニチュアおもちゃで遊ぶよう促されます.そうすると,おもちゃのサイズを間違えた?ような行動が見られました.

Aは21ヶ月の子どもでミニチュアの滑り台で「本当に」滑って遊ぼうとしています.Bは24ヶ月の子どもでミニカーのドアを開けて中に入ろうとしています.Cは28ヶ月の子どもでミニチュアの椅子に座ろうと努力しています.これらは決して「ごっこ遊び」ではありません.本気でおもちゃの物品をリアルな物品と同じように扱おうとしているのです.ガチです.

このような現象が起こる原因を著者は①抑制コントロール,②視知覚の二点から考察しています.①はまあいいとして,②に関する考察が興味深かったです.著者はこのスケールエラー(大きさ間違い)を背側経路と腹側経路の相互作用の未成熟さに原因があるのではないかと述べています.腹側経路で特定されたミニチュアおもちゃの情報と,背側経路を通じて処理されるそのサイズが統合されていないんだろうと言うことです.

いや~おもしろい!けど,ほんまかな?

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