Development of Postural Control During the First 18 Months of Life

Mijna Hadders-Algra

Neural Plasticity Volume 12 (2005), Issue 2-3, Pages 99-108


【要旨】

ここでは乳児期の姿勢調節の発達についてレビューする.姿勢をコントロールすることにおいて,2つの機能的なレベルに分けることが出来る.基礎的なレベルでは方向特異的(direction-specific)な調節の産生に関わり,これは身体が前方に動揺したときは背側の主に活動し,一方で身体が後方へ動揺したときは主に腹側の筋群が働くことを意味する.次のレベルでは方向特異的な調節の適応(adaptation)が含まれる.姿勢の発達は方向特異的な調節のレパートリーとともに始まり,これは基礎的なレベルのコントロールが生得的なものであることを示唆している.最初に,基本的な多様性(primary variability)の段階では,姿勢活動は幅広く変化して環境の制約に対して最小限しか適応しない.3カ月になると,姿勢活動はいくつかの姿勢筋群が姿勢活動に参加する移行期を示す.6カ月以降になると2番目の多様性(secondary variability)の段階がスタートし,この段階では2段階目の姿勢コントロールが機能的に活動するようになり,乳児は状況の特異性に姿勢活動を適応させる能力を発達させる.最初その適応は簡単な方法でのみ行われるが,9-10カ月以降になると筋収縮の程度を巧みに適応させるようになる.13-14カ月前後では予期的な姿勢調節が出現する.結論として,姿勢調節の発達は3,6,9-10,そして13-14カ月に起こる4つの移行期によって特徴づけられる.主要な移行は6カ月に起こり,そこでは乳児が適応的でない基本的な多様性の段階から,適応的な2段階目の多様性の段階に移行する.


【私見】

少し古い文献ですが,同じ著者の新しい論文よりも姿勢コントロールの発達に特化して記載されていて詳しく学ぶことができます.しかも無料でダウンロードできます.GMFCSがⅢやⅣの脳性まひを伴うお子さんでは6カ月の壁を超えることが難しいケースをよく見ます.本文を見ると,6カ月は一人座りが出来るようになる時期で,一人座りが出来るようになる条件として方向特異的な姿勢調節の発達をあげています.ではこの方向特異的な姿勢調節を可能にしている構成要素は何でしょうか?いろんな可能性が考えられそうですね.

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