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「給湯管漏水」の話をしようか2

以前に給湯管漏水の話をしましたが、何故か私がマンションを担当してから頻発するようになりまして、誰かがマンションは”生き物”とか言ってたのを思い出しました。担当者が変わると急に自動火災報知器がワンワン鳴り出したり、急に自動ドアがぶっ壊れたり、不具合が頻発しだす現象は割とよくあるやつ。

で、私のタイムラインは給湯管漏水で埋め尽くされています。

詰まるところ、給湯管を使っているマンションの戸数分だけ漏水が起きるんじゃないかと思い始めまして、築10年超のマンションまで(平成20年以前くらい)はまだ給湯管に銅管を使うのが主流というのが本当なら545万戸分の給湯管が漏水するわけで、一件で調査と下階調査復旧で併せて100万工事費がかかるなら5兆4500億円という単純計算。ごいすー。

出典:国土交通省

今回は同じ給湯管漏水だったんですが、前回とは少しパターンが違ったので備忘録

さて、今回は廊下天井からの照明から水がポタポタ落ちてきているようでした。
上階の給湯管漏水の原因を探る時は床の開口をしないことにはわからないので、床を開けるのですが、いきないフローリングから行くことはありません。
まずは出来るだけ点検口から覗いてみてコンクリートが濡れていないか目視します。二重床であれば配管の空間があるので目視可能で直床の場合は配管が立ち上がる所だけ床が下がっていたりと様々。

近くの洗面エリアに点検口があったため、とりあえず覗いてみる。スラブも管もドライ状態。はずれ。

次。

フローリングは復旧作業する際に金額が張ってしまうため、出来るだけ避けたい。だから近くの洗面下のベニアをノコで切って、パーチクルボードが出てきますのでサンダーでド派手に正方形にカット。覗いてみると給湯管のエルボーがありますが、スラブも管もドライ状態。はずれ。
前回はここで発見しているので長期戦を覚悟。

次。

いよいよ、フローリングをカットしていきますが出来るだけ下階の漏水箇所の真上を狙ってフローリングをカット。その下のパーチクルボードもカット。ここでようやくスラブが濡れていることを確認。ですが、給水管と給湯管が両方通っており、穴が空いている箇所を特定するに至りませんでした。漏れていれば、ポタポタと水が管からスラブに落ちているのを目視できるか「プシュー」という空気が漏れている音が聞こえるからです。半分当たりですが、半分はずれ。

次。

中を奥の方まで覗いてみると給湯管のチーズ(三方向に伸びている継手)部分が見えましたので怪しい箇所を狙ってさらにパーチクルをカット。

すると濡れの度合いが一番凄かったのでこのあたりを中心に確認。
給湯管はお湯が通っているため通常は銅管の周りに保温剤で巻いているのが通常です。なので保温剤はバーナーで炙ってカッターで切っていきます。

ようやく発見。やはり給湯管からのピンホールであることが手で触って確認することが出来ました。

これでようやく特定作業が完了です。
見つけたら処置の方法は二つ
①その場でポリエチレン管に交換
②圧着ソケットで穴を塞ぐ

どちらの方法も有効ですが、②の方法ですと簡単で早く終了します。ただ、給湯管はそのまま使い続けるので今後のことを考えてポリエチレンに交換するのもありでしょうか。

圧着ソケットはこんな感じでAmazonでも売ってます。

さて、耐圧試験をして水圧が下がらないことを確認して穴が塞がったことを確定させて終了したい所ですが、ここでちょっと注意です。
実は耐圧試験というのは、0.3メガパスカルという圧を管に与えますが、減圧弁の存在をご存知でしょうか。普段から使っている圧は減圧弁によって0.15メガパスカル前後で調整されています。
検査の時だけ急に0.3メガパスカルという圧を管にかけると普段0.15メガパスカル前後で耐えていた管周りの細かな部品系(パッキン)が検査でダメにしてしまう可能性があって、最後の最後で地雷を踏むということがプロの業者でもやってしまいがちなことだそうです。

じゃあどうすれば良いかというとこれは前回も書いたことですが、水道メーターのパイロットが回っていないかどうか見ればそれで済むことなのです。

例えば、給水を1分間止水してあげます。
その後に開栓した時、パイロットが微動だにしなければ合格。
半周とかしてしまったらアウトです。

そのため、耐圧試験というのは実は漏水調査においては実は使用しなくても判別することはできて、むしろ使用する方が危険度が増すという話。

漏水調査は奥が深いですな〜

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