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支援活動「繋ぎ隊」

2011年6月18日日経新聞夕刊に掲載されたものです。

 6月からFM仙台で「繋(つな)ごう明日へ」という番組がスタートした。ミウラ・ドルフィンズの元メンバーだった庄司克史さんが所属する仙台の和顔施(わがんせ)塾が中心となり、塾長の黒沢としみさんがパーソナリティーを務め、被災地の状況を現地でかつやくするボランティアを通じて伝え、心と身体を元気にする番組だ。FM仙台は宮城県全域をカバーする広域ラジオ局で、リスナーの多くは被災者たち。番組は彼らをつなげ、応援する役割を担う。
 庄司さんとは20年来の仲であり、彼もプロモーグル、エクストリームスキーヤーだ。現在は企業向けのコミュニケーションセミナーを行っている和顔施塾で震災以後、積極的に復興支援プログラムを僕らと共に続けている。

 震災直後の3月末、最初に仙台へ僕が入った時、お互いにこれからの支援の在り方に悩んだが、とにかく持ってきた物資を運び、孤立した自宅避難者を探し、被災した家の片づけを手伝いながら、今後の活動の方向性を探ってきた。
 活動の中で様々な人たちや団体とつながるようになってきた。アウトドアやキャンプのエキスパート、お笑いやパフォーマンスにたけている人、そして行政や民間のボランティア団体などと知り合い、連携をはじめ、彼らはこれを「繋ぎ隊」と名付けて活動につなげた。支援物資を届ける「届け隊」、瓦礫や家を片付ける「片付け隊」、被災者の心に寄り添う「励まし隊」、そして運動プログラムやカウンセリング、パフォーマンスを行う「癒し隊」などそれぞれの得意分野で活動するフィールドを作る。

 震災から1カ月も過ぎると、電気がつながりテレビをつけるとバラエティ―番組が流れていたりする。そんな被災地の人たちに必要なのは、彼らの存在を常に忘れずに活動を続けている人たちの動きであり、その「繋がり」を伝えることだ。その思いからこのラジオ番組をスタートさせたのだ。企画から僅か1カ月で番組枠がとれたのもFM仙台が彼らの活動に共感し、被災地のその後の姿を伝えることの重要性を感じたからだ。地元の局ならではの発想だ。

 先週、宮城県の桂島にスキーヤー仲間と炊き出しに行ったとき、いたるところで仮設住宅が急ピッチで建設されていた。衣・食・住が整いつつあるが、被災者に寄り添う心温まる放送は何よりだろう。

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