MIU404 #3 分岐点

映画「ラストマイル」公開…明日、ですね…。本当は公開日前に全話終わらせるつもりだったのですが…。さて、3話はその名の通り、「分岐点」です。時は、戻りません。自戒です。
この投稿は「MIU404」を最終話まで観た上での感想、考察、その他いろいろ…になりますので、ご承知の上お読みください。


①電話の相手

さて今回もドラマの時系列に沿って考察していきます。
冒頭、志摩と伊吹は誰かと電話をする桔梗隊長と偶然出会います。
いつもは見ない、るんるんでかわいらしい桔梗さん。
伊吹のにやにや具合がすごいですね。

伊吹「隊長の電話の相手が〜どう聞いても彼氏なの朝まで一緒にいたのとか思ってない思ってない」
志摩「顔が語ってるんだよ」
伊吹「ウフりてえなあ、ウフフりてえなあ」
志摩「なんだウフりてえって」

楽しそうなやつらですね…。志摩は電話の相手が誰なのか、知っているようにも見えます。

そんな中起きるのが「イタズラ通報」。
それも「西武蔵野署」管内で。そう!アンナチュラルですよ皆さん!!!
それで陣馬・九重が話を聴きに毛利さんと向島さんのところへ。
イタズラ通報は、ネット上のゲームを模倣したものなんだそうで、「男に追われているから助けて」という女性の声で公衆電話からの通報。警察が駆けつけると犯人らしき男がダッシュで逃げる。これまでの警察官は全員逃げ切られていると。厄介なのは、強制わいせつ犯は実際にいるらしく、もちろん無視するわけにもいかないというところ。

さて、ここで伊吹の出番です。なんといっても「脚が速い」。
犯人逮捕に名乗りを挙げました。

②「信じてない」

後日、伊吹と志摩が管内をパトロールしていると、入電中に通話が切れるというこれまでの虚偽通報と同じ手口の通報が入ります。

警察車両とは思えないメロンパン号です。当然あちらは警察だと気づいてくれません。イタズラかホンモノかまだわからない。志摩は思い付きませんでしたが、伊吹が声を上げます。
「警察だー!!!悪い人〜!出てきてくださ〜い!」
何気に頭が回る男ですね。
さあ、出てきてくれたということはイタズラ。
缶を蹴飛ばす演出も素晴らしいです。
………逃げてくれない。

志摩「合図がいるんじゃないか?」
伊吹「え?よーいドン?」
志摩「いやこういうときにかける言葉」
伊吹「あ、はーん…」
404「「待て!警察だ!!」」

まったく楽しい野郎どもです。さあ駆け出しは順調。志摩は愛車へ戻ります。
結果…「脚が速い」でお馴染みの伊吹”さん”が「負ける気がしない」と豪語していた相手に負けました。(ここで志摩がサングラスかけるの、アドリブだったとか…)
そう、理由はありました。虚偽通報で逃げていた男は複数名、正確には4人。全員同じ服装で同じキャップでリレーして走った。角を曲がるたびに入れ替わる。

伊吹「わ!さすが志摩ちゃん相棒!信じてくれたー!」
志摩「信じてない、この目で見た」
3人「「「あ?/??」」」

2話でもありましたが、志摩は自分の目で見た情報は信じます(あくまで事実として認める、という意味の「信じる」です)。
「信じる」は今後もキーワードになります。
さて、志摩が車を回したおかげで「みまもり自販機」のカメラ情報から彼らの人定ができました。

③スイッチ

陣馬さんと伊吹は仮眠タイム。2話でも言っていましたが、九重はやはり伊吹が刑事として認められないようす。その伊吹といる志摩にも疑念を抱きます。
「よくやりますね、カバーして。隊長に進言して、人員を入れ替えたらどうですか」
(嫌味ではないのでしょう。迷惑な人間は排除すべきだという考えのもと出た言葉です。)
そこで志摩は言います。
「俺は意外と伊吹を買ってる」。
「野生の勘と脚の速さ?くだらないですね」
「くっだらないなそんなのどうでもいいよ」
「他に何が?」
「俺らにないところ。」
志摩は伊吹がどんな人間か、どんな刑事かを少しずつ理解していました。
それでも九重は怪訝な顔をします。

志摩「ルーブ・ゴールドバーグ・マシンって知ってる?ーピタゴラ装置ともいう。」
志摩「辿る道はまっすぐじゃない。障害物があったり、それをうまく避けた、と思ったら横から押されて違う道に入ったり。そうこうするうちに罪を犯してしまう。何かのスイッチで、道を間違えてしまう。

九重はそれを「自己責任だ」とときます。「最後は自分の意思だ。」
そう、最後は自分で決めるべきだ。志摩もそう言います。

だけど、人によって障害物の数は違う。正しい道に戻れる人もいれば、取り返しがつかなくなるひともいる。誰と出会うか、出会わないか。このひとの行先を変えるスイッチはなにか。そのときが来るまで、誰にもわからない。」

「寝てんのにジャマすんなよ〜…」
って寝てんのにボールを取れるほうがおかしいよね?!
どんなサバンナで生きてきたの?!
それはともかく、志摩はどんな罪を犯したのか。誰と出会ってどんな人生を歩んだのか。どこにスイッチはあったのか。伊吹との出会いは、どんなスイッチになるのか。
「九重さんてさ、自己評価高いよね。自分は周りに迷惑かけてないと思ってる」
それは、今九重が周りに迷惑をかけている、という話ではありません。かける可能性がある。なにかのスイッチで。
九重に渡ったボールは、何処へ行くのか。

③ドラッグと陸上部

さて、毛利さんと向島さんが周囲の高校に聞き込み調査をします。「私立バシリカ高校」にいくと、校長は何を訊いてものらりくらり。「陸上部はない」と言われてしまいます。
2人でお茶を啜るシーン、最高です。
場所は変わって食堂。桔梗さんたちが「イタズラ」通報について話します。

桔梗「イタズラっていう言い方、やめませんか?」
  「日本語の表現はやわらかく美しい。でも重要な問題までオブラートで包み込んでしまう。」
  「今女性関係ありません」

こちらもアンナチュラルを彷彿とさせるような言葉ですね。
MIUのまとめが終わったらアンナチュラルについても書こうかと思います。

さて、西武蔵野署から捜査協力依頼が来て、4機捜は駆り出されます。
「市内の全高校の陸上部に該当者なし」
絶対に陸上部だと断言する伊吹の言い分もあり、先ほどの校長の様子もあり、バシリカ高校との陸上部の繋がりを調べると、去年まではあったそうで、しかも入賞経験もあり。野生の勘、当たりましたね。
しかし妙なことが発覚します。
「先輩があそことは関わるなって」「変なものを売りつけられた」「トローチみたいな」

陣馬「ドーナツEPはこの2年くらい六本木を中心に流通しているものです。MDMA系のドラッグで真ん中のその穴。」
志摩「これまでに税関で挙げられておらず、製造国は不明。従来のMDMAより粗悪で、安い値段で出回ってる」
桔梗「つまり若い子が軽い気持ちでに手を出しやすい」

高校にまでも魔の手が伸びていると思うと恐ろしいですね。
しかし、当のバシリカ高校は認める気がないようす。
証拠は全てシュレッダーにかけられていきます。
元陸上部の生徒たちも反発しますが、どうすることもできず。
ヤケになって「ネットに書いてやろう」とも話は出ますが、「学校まるごと叩かれて恨まれる」と冷静な判断。今の時代、ネットの力は大きいですからね。
さて、どうする諸君。

成川「最後にやるか」

④新人エリートとバカ代表

虚偽通報の通報者を仮に見つけても、本当に追いかけられていたと言われればそれまで。

九重「大人が馬鹿なんですよ。若い人が何も考えていないと思っている。そういう意味では、相手が未成年でも厳しく対処するべきです。減刑も必要ない。等しく罪の責任を取らせるべきです」

九重のいうこともある意味において正しいです。「救うべきところは救おう」という少年法を盾に、高校生だから、未成年だから、そうやって罰を逃れるのは、自身の負うべき責任を放棄し転嫁することです。
しかし、そのように責任から逃れてしまう人間を育ててしまった「環境」にこそ問題があると桔梗隊長は言います。

桔梗「私はそれを、彼らが教育を受ける機会を損失した結果だと考えている。社会全体でそういう子どもたちをどれだけ救いあげられるか。5年後、10年後の治安はそこにかかってる。」

強く、どこまでも正しく、責任のある言葉です。
「愚かだ」と非難する、「かわいそうだ」と同情するのではなく、未来と解決策を考える。
警察の、在るべき姿を魅せられたように思います。

伊吹「隊長。……オレ、隊長のこと好きだわぁ…」
桔梗「…は?」

だいすきなシーンです笑
ほんとに、愉快な職場ですね…。
さて、九重は彼らがまた虚偽通報することを真っ向から否定しました。
しかし、伊吹の見解は違いました。
理由は、「オレ並みのバカだから」。

志摩「よしバカ代表」
伊吹「おう」
志摩「どうしてまたやると思うんだ」
伊吹「走りたいから。走りたいんだよ。それだけじゃん」

「それだけじゃん」。
さあ、この一連のシーンで注目したいのは、伊吹は根底の部分に冷静さを持ち合わせていること。
伊吹は九重に「九重は、ヤツらと自分、似てると思う?」と訊きます。
九重は乗せられるままに「犯罪者と一緒にしないでください」と答えます。
これは九重の真面目かつ完璧主義の人間性を利用した誘導尋問とも取れます。
伊吹は野犬でカッとなりやすい性格ですが、自分がどんな人間かをわかっています。他人と協力するのは得意ではなかったかもしれませんが、ひとりで生きるだけの力と信念がありました。

陣馬「正しい道に戻してやらんとな。」

⑥GO!GO!

志摩「まあそのキュルッてのが未だによく分からんが…少なくとも、隊長はキュルッとしてない」
伊吹「いやオレは尊敬の気持ちを込めて『好きだ』って言ったの。…だから安心して?志摩ちゃんとは違うから。」
志摩「何の話だ」
伊吹「いや隊長のこと好きでしょ?LOVEの匂いがする」

伊吹は志摩が隊長を「LOVE」として好きだと見立てているようです。
今までそんな描写はありませんでしたが…野生の勘、当たるか?
さて、そこで西武蔵野署管内で緊急通報。「声紋鑑定」の結果、これまでの虚偽通報者と99%一致。
4機捜、向かいます。

「自首すんなら今だぞ。」
本当なら最悪の事態になる前に止めたかったが、もう偽計業務妨害罪に問われることをしてしまったので自首を進める伊吹。
「ドン!」「…そうだよな。公衆電話から南方向、ドン!」
バカの気持ちがわかる伊吹、刑事らしくない伊吹。
どれもこれも「俺らにない部分」です。

走る伊吹。脚の速さはダテじゃない。
力を合わせて4機捜が動きます。

「メロンパンの販売車…?」「警察だその車!!!」

志摩は自転車なんですね笑(また出てくるのでお楽しみに)
混乱する高校生たち。がんばれ4機捜!

一方。通報者の真木カホリはなかなか来ない彼らを待ち続けています。
そこに白いレインコートの大男がやってきます。
「1人?かわいいね」

「助けて!!変な人に追われて…電気の光るの!なんて言うんだっけアレ持ってるの!!真木カホリ!ねえ早く!早く!早く来てってば!!!」

陣馬さん経由で4機捜にホンモノの入電があったことが伝えられます。
陣馬さんと九重が捕まえた1人から通報者は陸上部のマネージャーだと判明。
3人は通報のあった公衆電話に向かうよう指示され、志摩、伊吹ともに追いかけていた生徒にそれを伝えます。

志摩「おい!真木カホリがわいせつ犯に襲われた!お前らの業務妨害が犯人の逮捕を遅らせたんだよ!!」
伊吹「もう終わりだ。」「オレは今から、襲われた真木カホリを助けに行く。逃げるか来るか、今決めろ。」

志摩のいうことに、反論の余地はありません。「ニセモノ」のせいで「リアル」が混乱に陥った。罪人はそれを知り、罪を償わねばなりません。刑事として、感情的に言いました。
伊吹は、そういった刑事として言うべきことは言っていません。しかし、「正しい道に、まっすぐな道に戻したい」という信念から「スイッチ」になろうとしています。冷静に、感情的にならず。

成川岳を追っていた九重。

九重「成川!!!」「…了解です」

⑦感電

西武蔵野署の毛利さん、向島さんもやってきました。
真木の靴が片方だけ落ちています。

向島「…この子たちは?」
志摩「通報した真木カホリと同じ、陸上部。」
伊吹「ウソ通報の犯人」

着眼点が少し違うのも面白いですね。
伊吹の隣には先ほどまで追っていた「勝俣」。
真木が襲われたことを毛利さんが疑うと食ってかかる高校生。
志摩が「偉そうに言える立場か黙ってろ!」と叱ります。
勝俣が自白し始めます。

勝俣「どんな罰でも受けます。だから真木は助けてください。お願いします。」
毛利「まコッチは警察なんで!…通報がありゃ、調べもするし、助けもしますよ?」

ちょっと…かっこよく見えましたよね…
通報から7分。徒歩ならだいぶ限られますが、、そこで志摩は台車の跡を見つけます。
サイレン鳴らして飛ばす警察と高校生。
志摩はもうひとつの靴を見つけます。「伊吹、全力で来い」


「このボケナスが!!」
犯人に飛び蹴りしたのは伊吹でした。
もうここからはギャグですよ。
ビリビリされまくる2人。
犯人がデカ水槽に落ちてひと安心、かと思いきや伊吹も落ちそうになります。
ここで流れる「感電」。志摩は相棒の手を握ります。
そして仲良くダイブ。

志摩「オマエなんで引っ張んだよバカ!!」
伊吹「だってオマエが持ってないからおかしいんだろ!!」
404「「おいおいちょっと待ってストップ」」
毛利「現行犯逮捕〜」
陣馬「バカがお前何やってんだよ!」

⑥ボールの向かう先

高校生たちは家裁送りになりました。
「重い処分が下らないといいけど、」と桔梗。
「甘いんですね」と九重。
実は当の高校生達はネットに実名と顔写真が載せられてしまったのです。

桔梗「ネットに広まったおかげで、本来受ける以上の社会的制裁を受けてる。」
「罪を裁くのは司法の仕事。世間が好き勝手に私的制裁を加えていい理由にはならない。」

捕まっていない成川は、家に帰っていないそうです。
九重の表情が映ります。

「あたし、これからデート」
冒頭の桔梗さんの電話の相手はまさかの息子さんだったんですね!
それも成川岳が「マミー」を奢ったあの男の子!!かわいい!!
冬でもないのにマフラーを着けて、顔を隠すようにしていた女性は…?どんな関係なのか、これから明らかになります。
(本当に志摩が隊長にウフフじゃなかったかどうか、気になりますね。)

虚偽通報事件は解決したものの、成川岳を取り逃してしまったことを九重は悔いているようす。もしかすると、刑事として、いや自分の人生初めての失敗だったかもしれません。
食事の誘いを断り、九重がひとりで片付けをしようとしたとき、ピタゴラ装置に使ったボールが足下に落ちていきます。
成川を逃した「スイッチ」は、九重に、4機捜に何をもたらすのか。
成川に近づく男は誰なのか。持っているカラフルなトローチは?
さあ、今、ここが分岐点です。

●その他伏線、好きなところ

・「……すごいウフフってる」
・「そんなに触りてえなら自分の乳を触れって」
・「ゲームだよゲーム!んなモンがあるからマネするヤツが出てくんだよ!そんなモン全部まとめて規制しちまえばいいんだ!」
・「ハイハイ速い速い」「心がこもってない!」「すぅっっごく速い、ですよねぇ…」
・「警察だって言ってるけど、なんかヤバそうなヤツだから今日は辞めておこうよ…」
・「「待て、警察だ!!」」
これ、実は冒頭で陣馬さんたちが言っているんです。
・「あれぇおっかしいなぁ…さっきはヨユーで捕まえるとかなんとか言ってましたけど」「ウサインボルトだってリレーには勝てない」
泣きそうな伊吹もかわいいですね。
・「証拠は?」「ない。ふいんきが違った」「雰囲気…」
・「いーや!九ちゃんより志摩の方がやさしい!」
・「負け犬があ…」「それは絶対言っちゃダメだわ相棒だもん!!」
・「それも学校が許可しないでしょうねぇ」「うぅん?!お宅やる気あんの?」「……いや学校がね?」
・「オレの中の少年がビビビビッて」「野生の獣には檻が必要でした。」「お前の中の少年なんて知りたくないんだよ!」
・「バジリコ、とかバルサミコ、とかそういう名前の高校」

◯あとがき

2話時よりもわかりやすく書けた感じがします。やった。
2話はドラマを観ながら書いたのでグダってしまいました。ごめんなさい。
3話はアンナチュラルのお二方もいらして、より楽しさが増す回になっていましたね〜!
リアタイ時はアンナチュラルをちゃんと観ていないままMIUを観たので、なんとも思っていませんでしたが、違う作品に同じ人たちがいるのはなんとも嬉しいですね。ラストマイルも楽しみです。
長い文章にお付き合いいただきありがとうございました!
MIU404 #分岐点 でした。

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