髭面の乙女

属性:お客さん
性別:男

暇だなーと思っていた日曜の昼下がり、
ガタイのいい工事現場の人?が店の看板をのぞいていた。

「ランチまだ間に合いますか?」
と聞かれたので
「はい」
と答えると、店内に入り、唐揚げランチを注文した。

味噌に漬け込んだ唐揚げが珍しかったのか、
気に入ってくれたようで
料理の話題で話が弾んだ。

おっさんは、もともと料理の仕事をしていたようで、
お家でお教室していますの、オホホと言いそうな主婦よろしく
その見た目で(失礼)絶対知らんやろというオシャレキッチンシリーズのことまで知っていて、語り出す。

好きな仕事だったが、
手荒れが酷すぎて、諦めたそうで。
今は、工事現場で何らかの専門職に就いているようだ。

そんな髭面のおっさんは、私が
市販のごまドレに、わさび混ぜると美味しいよと教えてあげると、
その次ランチに来た時には
「スーパーで見つけた!」と少女のような笑顔で
わさび入りごまドレッシングのボトルをお土産に買って来てくれた。

髭面なのに、乙女。

そっち系ではないです。多分。

その来店時だったろうか。


「実は、鬱なんです」
とカミングアウト。

あ、そうなん?

でも、全然そんな風に見えないんですけど。
毎日楽しそうですやんww

「“そう鬱”って言ってね。ハイの時と、鬱の時を繰り返すから・・・」
「もう何年もこの病気と付き合ってる。だから、ハイと、鬱のサイクルがわかるようになって来た」

自慢することかわからんが、“そう鬱”のプロらしい。
「今回は、ハイの時間が今までより長かった。」
今回のハイを振り返る。
「予想では、10月半ばくらいから、鬱に入りそうだ」

そういって、乙女のおっさんは
9月に来なくなってしまった。

今回の鬱入りは、プロでも予想し得なかったのだろう。

元気でいることを願う。

また、ハイになったら
ランチに来て欲しい。

読んでくれてありがとうございます。 ふと思った時に、心のままに書いています。 よかったらまた読んでください。