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『弁天小僧 REORGANIZE 1』 劇団美松

2022.01.08 昼 篠原演芸場にて

これまで観たお芝居の中で何がいちばん好きかって聞かれたら、迷わずこれを選びます!!
この日は昼にリオーガナイズ1、夜にリオーガナイズ2、両方観劇できたのですが、もっと、ずっと、この世界観の中にいたいなっていう、そんな気持ちにさせられました。
そして、この日の公演の映像DVDがプレゼントになるという素敵な発表があったので、もちろんすべて放り出してもらいに行きました。繰り返し、繰り返し観てしまうお気に入りの2本です。

弁天小僧菊之助が女性装をうまく活かして機転の効いた活躍をする姿、これがすごく良い。また、実直で不器用な岡っ引きの政吉は弁天に翻弄されながらも、自分たちに降りかかったきな臭い事件を一緒に追うことに。この二人の関係性と事件に巻き込まれていく展開、共闘して悪を成敗したかと思ってからも二転三転あって最後まで飽きさせないのです。

このテンポ良く、伏線も回収して、ちょうどよく結末へと導くっていうのが、やっぱり大事なのに、なかなか難しいところです。
伝えたいメッセージや演りたい演出があればあるほど、情報過多、演出過多に陥ってしまうようで、せっかく良いお話なのにもったいないなって印象が残ってしまう演目にもいくつか出会ってきました。
ここまでの構成で途中アドリブを押し挟む余地も含めて、カーテンコールまで1時間15分程度。この尺がやっぱりお芝居の最適解なのではと個人的には思っています。

音楽の選曲もすごく好きで、東京スカパラダイスオーケストラの楽曲は弁天の軽妙洒脱さをすごく表してくれてますし、最後のほう、まさか劇団☆新感線を持ってくるとは!!

あと、劇団美松の役者さんたちの個性に配役がしっかり馴染んでいるのが良いのです。
南雄哉さんの政吉は本当にピッタリです。弁天を捕まえたいけど、他人が捕まえるのは嫌っていう何とも言えない深い情を抱いてしまってる感じ、信頼しているので共闘する時は背中を預けるし、共通の敵に対して全面協力するのは、ルパン三世を追う銭形警部じゃないですか。うっすらカリオストロの城の名台詞まで飛び出しましたし。
常に弁天にちょっかい出されて、また周囲にもいじられて、あたふたする姿も可愛らしく。

弁天のお菊ちゃんは最後まで何回衣装替えされたのでしょうというくらいクルクルと変化して登場しますが、これもすごく演出として効いていると思います。
女性装でありながら、性別を行ったり来たりする。男性装でも弁天小僧菊之助としてそこにおられる、小祐司座長だからこそ生きるキャラクターに仕上がっていると思いました。その人に合った役としてどう転がすか、転がせられるか、これが本当に重要なポイントのような気がしています。
飲み屋でのメイド喫茶ネタとか、アイドルネタとかもういろいろ満載でしたが、きっと演る度に少しずつ変化が楽しめるのだろうなぁと勝手に期待しています。

恋愛でも親分子分でも兄弟分でもない、関係。お互いの立場や考えを尊重しあうけれど、一筋縄ではいかない。現代の価値観にアップデートしながらも、時代劇としてもきちんと成立している作品、そんな思いを抱きました。
変幻自在な弁天小僧が華麗に活躍する姿を、政吉が翻弄されながらも弁天を追い続ける姿をいろんな捕物帳エピソードで何度でも観たいものです。

ああ、早くリオーガナイズの世界にダイブしたい!!



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