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【Hide Jude】ベリンガムの場所

先日のロドリゴの件以上に、触れにくくデリケートなテーマだ。

ベリンガムの年明けからのパフォーマンスは悪い、常に悪かったと言わざるを得ない。

今回のEUROでは、ベリンガムがイングランドのブレーキなのではないかと批判されている。マドリーのファンからすると、他クラブのファンからベリンガムのパフォーマンスについて、酷評「過大評価だ」と言われることを快く思わない。しかし、それに反論しうる説得力のあるパフォーマンスを見せていないことも事実であるように思える。

ファンだから無条件に擁護する、贔屓目に見ることも悪いことだとは思わない。ただ今回は、それとはまた別の話だ。

サウスゲートの問題?

ケインやフォーデン、ライスなどシーズン通してクラブで活躍してきた選手は、軒並みパフォーマンスを落としている。ただベリンガムはそうではない。ベリンガムは年明けから常にこのような低出力のパフォーマンスで、サウスゲートの手腕のせいにはできない。マドリーとイングランドでそんなに違いはない、問題はチームではなく本人の心身によるものだと感じている。

ベリンガムは今季のバロンドール候補のひとり、EURO2024の主役候補として大会に参戦している。その高いハードルから生まれるギャップも原因のひとつだろう。

マドリーのベリンガム

そもそもベリンガムの今季はどうだったのか?
序盤は、想像のはるか上をいくパフォーマンスだった。規格外のアスリート能力を活かし、1試合に1点ペースで得点を重ね、守備では広範囲をカバーしボールを回収し続けた。バロンドール級の活躍だった。

12月末までに17ゴール、以降CL決勝までで6ゴール。

しかし2024年に入ってから急ブレーキ、ここから出力が一気に低下し戻ることはなかった。まずは、点が取れなくなった。しかし、もともとは中盤の選手で年に10点、20点取るような選手じゃない、想定内だ。「点が取れなくなったからダメだ」そんな安直な判断をしているわけじゃない。

端的に言うと存在感がなくなった。
モドリッチやクロースはゴールやアシストという数字がなくとも、存在感があり、多大な貢献をしている。ベリンガムに本来求められている役割のはずだが、ボールを持った時のキレやスピード感がない。プレー選択にも意外性がなくなり、効果的なプレーが減った上、ロストする回数が目立った。

もうひとつの強みである守備でも、存在感を失った。今季で引退する34歳のクロースのほうが体を張って汗をかいていた。バルベルデのような運動量、ハードワークも見られず、シーズン終盤に至っては90分間ピッチに立っているだけで精一杯だった。

CL決勝トーナメントの、ライプツィヒ、シティ、バイエルン、ドルトムントとの試合でも、通じてパフォーマンスは上向かなかった。とあるメディアからは「魔法を失った」と表現され「次こそは頼むぞ」と試合後に毎回言われていたが、最後までエンジンはかからなかった。

負けなかったから、パフォーマンスに言及されなかっただけで、負けていたら批判の対象だったはずだ。

原因は?

肩と足首の怪我の影響はあるだろう。出力低下の原因、ブレーキになっている可能性がある。疲労に関してはどうだろうか?勢いが低下し始めたのはシーズン終盤ではなく、年始のシーズン中盤戦の頃からである。


本来の場所へ

まだ1年目だ、チームの大黒柱として重圧を背負っているヴィニシウスやクロースとは違う。20歳と若く、これからの選手に必要以上にプレッシャーをかけるべきではないが、だからと言って、年齢の近いアルダ・ギュレルと同程度のパフォーマンスで良い訳ではない。任されている役割、クラブが払った額、もらっている給与は考慮するべきだ。

ベリンガムは加入直後からチームの輪に溶け込んだ。人に好かれる性格も、野心と向上心もポジティブな要素だ。

彼は12月のインタビューで「マドリーには、僕よりも優れた若手がいるかもしれない。アルダ・ギュレルだ」と話しており、パレードの際には「ヴィニシウスが世界最高だ」だと笑顔で語っている。関係性の良さが窺える。

今季は特大のポテンシャルの片鱗を見せてくれた。リーガのクラシコではセンセーショナルな活躍だった。

来季は、そのポテンシャルを開花させ主役となってくれることを期待している。

まだまだ、こんなもんじゃない

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