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テッセレーションとは何だったのか

2019年の10月から2020年7月にかけて行われたテッセレーション。果たしてそのイベントは我々に何を残していったのか、その実像に迫りたい。

※これはIngress & Wayfarer Advent Calendar 2020 の19日目の記事です。

【君はingressかるたを知っているか?】

いきなり何が関係あるんだよ、と思われるかも知れないが、かるたは読まれた札を最速で奪取する古来からの遊戯。
非公式 ingressかるたはZOOMを使って各地のエージェントが争い、中には専用キーボードを自作した強者もいたという。

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アドベントカレンダー3日目では、一人でも遊べるブラウザ版「非公式Ingressかるた」が公開されている。超素晴らしい作品なので是非一度遊んで欲しい。
(小さいGAME STARTをタップして開始)
https://reirei0000.github.io/ingress-advent-calendar-2020/

さて、何かに似ていると感じた方もいたはず!
そう、テッセレーションボードである。
テッセレーションは、テッセラと呼ばれるカケラを最速で奪取するゲーム。あらゆる方法でポータルや暗号に隠されたメディアを発見し、並べて点数を競うボードゲームである。

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【それ位置ゲーなの?】

非公式ingressかるたを見て、スマホゲームアプリであるingressとかけ離れてると感じた方もいるかも知れない。テッセレーションもスマホアプリではなく、配置推理型ボードゲーム。三角を作るはずのゲームやろ本来は。

しかしingressに「本来」という言葉は当てはまらないのかもしれない。泥水に飛び込み、茂みに潜む紙片を探し、キャラクターの喋る動画を翻訳し、迷路に隠された暗号を解く、美味しい物は何でも取り入れてしまうという(まるで日本文化みたいな)ゲームなのだ。

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【リアル鬼ごっこ、ライブドロップ!】

テッセレーションの一つに、街に現れるリアルキャラを探し出してテッセラを受け取る「ライブドロップ」があった。ラスベガスや、日本でも東京の神宮付近で「写真の紫色のマフラー」などのヒントをもとに人物探しが両陣営多くのエージェントを動員して行われた。

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(ライブドロップはAGオリンピアードのスパイゲームに似ている)

そもそもがスパイごっこであるingressを嗜むエージェントにとって、「逃走中」みたいなリアルイベントは大好物なはず。(エージェントって日本では「味方のスパイ」という意味らしい)
出現予想エリアに散り、敵エージェントへ陽動をかけ、市民に紛れて気配を消す、それは子供心を最高にくすぐる探偵ゴッコだっただろう。(参加した人ぜひ感想読ませて下さい😀)

かじぃさんによるラスベガス・ライブドロップの解説

【ライブイベントはingressの三大柱】

メディア柱、ミッション柱、人柱など多くの柱エージェントが存在するingressだが、かつてプライムが開始される時、「アプリ」「ライブイベント」「バックストーリー」の三大柱が全てリニューアルされる、というコメントがあった。
ingressにとってライブイベント(現地戦)は昔から無くてはならない極めて重要な要素である。

【まだだ、まだ終わらんよ!】

5年生存率が10%程度と言われるスマホゲームの世界で、いまだ現役なパズドラが8年目、モンストが7年、FGOが5年、そして5年を待たずに滅びたゲームは数知れずの中、ingressは8年目を過ぎてまだ終わらせる気なさそう…いう数の機能、イベントの追加を続々と行なっている。バトルビーコンにドローン、キネカプ、新アバター、船ミッションデイ、ヘキサスロン、などなど。

ネメシスシーケンスの1年間では、ヘキサスロン、(ミニアノマリー実験だった)FlashPoint、そして元祖アノマリー、さらにグリフやレゾ刺し、ハック、初のXFグローバルシャードなどの月間チャレンジ、そしてテッセレーションの大きく分けて三つのイベントが並行して行われる予定だった。

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その全てが実施されていれば、(アノマリー数が減っていたとは言え)かなり多種のイベントにエージェントは満足できていたかも知れない。本来テッセレーションはネメシスシークエンスの1/3くらいのゲーム割合だったのだろう。

【兎にも角にもC0VIDめ】

ところが人の行動を縛る感染症はingressの最も大きな脅威となり立ち塞がった。同じ位置ゲームのポケモンGOがリモートレイドパスやGOバトルなどの在宅機能により、ローンチ時を超える10億ドル越えの過去最高額を売り上げていたのに対し、ingressはゲーム内最強の武器である「キー」を現地に行かなければ取得できないこともあり、ロックダウンが実施された国を中心に非常に活動が制約され苦しい時代となった。

ingressは基本的に対人戦もチーム戦も「ポータル」がレンジインしない限り出来ない設計で、夜の騎士バスが砦まで送ってくれたり、ロケット団気球のように向こうから来てくれたりするわけではない。多くのガチエージェントが最もアレルギーとするのがGPS位置偽装であるためかもしれない(このご時世ですらドローンの導入にかなり反発と危惧が見受けられた)。

【オンラインに特化できたイベント】

他のイベントが次々と中止になる中、オンラインでほぼ完結まで形態変化したのはヴァーチャルFSとテッセレーションだけだった。
テッセレーションは元々、「ポータルハント(特定ポータル探し)」「ライブドロップ(鬼ごっこ)」「メディアハック競争」「謎のミッション追跡」など現地戦要素が半分以上を占めていた。後半はそれらを諦め、デコードのみのポータルハント、フォーラムに載せたパスコード早打ち競争などへ方針転換。何とかロックダウンの中でイベントの継続を行なっていた。

【半減した面白さの受益者】

最終的にテッセレーション参加者は一部「パラゴンメダル」又は参加賞「ゴールド/シルバーメダル」を得ることが出来たのだが、より広い層のエージェントが楽しめそうだったライブドロップ(鬼ごっこ)等が世界各地で開催できていれば、もっと大勢のエージェントが楽しみ、パラゴンも大量に獲得者が居たはず。

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やむなくオンライン化したテッセレーションは「いかに速く公式フォーラム投稿を感知するか」、「いかにメディア取得からbot並の速度で即書き込みをするか」、「どれだけ速く難しい暗号を解くか」など、どれも情熱も技術もセンスも全部必要な、一般向けとは言い難い内容が多くなってしまったのだ。

多くの変更により4月までだったラストが7月まで伸び、PAシャポーも「長すぎて新鮮味薄れたよね、こんなに長いパズルイベントはもうやらない」と反省を述べていた(たぶん運営としての感想も同じだろう)。

しかし月間イベントも中止、ヘキサスロンも中止、ミュンヘンアノマリーも延期で、テッセレーションに興味を持てなかったエージェントは暇暇の暇になってしまっていた。ドローンだけが今夜も空を飛ぶ。

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【2021のイベントは?】

世の中が正常化するのかまだ見通しは立たないが、現場イベントが出来るようになれば、中止されていたミッションデイ、延期されたヘキサスロンやミュンヘンアノマリー、FSでのバトルビーコン利用などの他、また新たなイベントが開発されるのは間違いないと見ていいと思う。ingressはまだまだ終わらない。その価値がある限り。

先日、全世界のS2セルに分散させ現れたポータルスキャンのボラタイル。これはいつ全世界で、私たちの街で、同時多発なオーナメントが点灯可能なのだと実感できた。ミニアノマリーであるFlashPointや、バトルビーコンを発展させて各国のエージェント同士がリモートでバトルする日が来たら面白いかも知れない。

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実験されたミニアノマリー「the flashpoint」

さらにドローンマーク2、間も無く開始されるはずのサブスク、ingress民はまだまだ今後のリアルワールドゲームプラットフォームのヒトバシラーとして利用される宿命を背負っているようだ。

【テッセレーションの戦績】

全13ラウンドあったテッセレーションは5ラウンド以降ずっとRESがリードし、(個人的には残念ながら)RESがGOLDメダルを獲得した。
配点の高いライブドロップをかなり取られた事、暗号解読での獲得数も上回った事、グローバルでの結束力なのか、謎の解読チームが強力なのか。おのれジスタンス🙀

ENLにはアンブラアノマリーのデコードバトルでも解きまくっていた常軌を逸したデコーダーが何人もいるのだが、テッセレーション総合戦績が結果負けたのは悔しい事この上ない。(かといってテッセレーション第二シーズン来ても困るけど…)

出題から丸一日たってもまだ解けない問題もあったり、ナイアンティックには今も凄いパズルを量産する出題者部隊が控えているのがわかった。日本関係の問題出してるのはネイティブじゃない感じだったが…

【ちなみにストーリー的には?】

テッセレーションのストーリー解説は、毎週まとめをされてる白ヤギさんの以下の解説が一番わかりやすい。

まず、イングレスはマルチバース(複数の並行世界)があり、それぞれの世界で同じ名前の違うキャラがいることの把握が必須。
https://wrapup.lycaeum.net/2020/07/20200715-212823.html

「テッセレーション」とは何か
https://wrapup.lycaeum.net/2019/10/20191028-232500.html

ネメシスのやりたかったこと( 【解説】ネメシス総合まとめ)
https://wrapup.lycaeum.net/2020/12/20201216-155410.html

ここまで読めば、ネメシスシーケンスの流れが大体わかるだろう。

つまり、オシリス世界のとばっちりでシェイパーやナジアに侵略されたネメシス世界の皆さんが、オシリス研究者にご退場頂いて防御兵器であるテッセレーションを奪おうとしたのだが、オシリス世界の研究者にしか起動できないことが分かったのでネタバレして協力することにした。

ネメシスは自分たちの世界もオシリスのテッセレーションで守ってもらうことを引き換えに帰り、オシリス研究者はテッセレーションを無事起動してシェイパーもナジアも出禁にしたが、その代わりにセンシティブ能力を失ってしまった。

今後のストーリーの流れは・・・?

EOSプロトコルは、出禁にしたエクソジェナス(シェイパーやナジア)なき後の「ポータルネットワークに安全装置を設置する」を大義名分に中華系企業のヒューロン主導で月間イベントを行ったものだが、

ヒューロンのトップのユエン・二ィは、同社のキャサリン・ファンにはめられたらしくEOSプロトコルは「安全装置」とは真逆の機能を仕込むことに使われようとしていた。既に新規のエージェントに影響を与える最終段階に突入してしまっていたという。

はたしてどうなる・・・?というのが現在の最新情報。

そして、謎のタブラ・ラサ

ネメシスシーケンスはもともと3つのアノマリーが行われる予定だった。

ミリアド・アノマリー、アンブラ・アノマリー、レクイエム・アノマリー。

テッセレーションが終了しネメシスは帰ってしまったのだが、レクイエム・アノマリーは中止ではなく延期となっていた。もうネメシスレクイエムいないのに、レクイエムアノマリーどうやってやるんだ?ってのがストーリー勢の疑問である。

そして予告にいきなり出てきたのがラテン語で白紙を表す「タブラ・ラサ」事件である。

公式コメントは以下のようになっている。

ネメシスシーケンスは現在保留されており、最終的なレクイエムのアノマリーで再開される予定ですが、今後の予定についてはまだ決まっていません。UmbraとMyriadアノマリーから得られるアノマリーポイントはネメシスシークエンスで反映され、そのキーアドバンテージは各陣営によって事前に決定され、最終的な戦いに活用されます。Niantic Projectの研究者は、ネメシスシーケンスの現状を説明しようとする謎の「Tabula Rasa」事件を探求します。

ミリアドとアンブラのアノマリーはエンライテンドが勝っているので、優先的にキーアドバンテージを持ちつつ(超強力なバースターみたいなダルサナレンズ的な武器を先に選べたりするのかな?)、最終戦であるレクイエムアノマリーを戦うのである。つまり、ネメシスシーケンスはまだ終わっていない。キーアドバンテージのせいでエンライテンドが若干有利かと思えばそうでもない。何故なら、ドイツは元々RESの総本山みたいなもんで、先日数年ぶりにドイツでENLが勝った都市は「凄い!」「奇跡かよ!」と話題になったぐらいである。

果たしてタブラ・ラサ事件とは何なのか?シェイパーもナジアも来れなくなったけど我々は何を頼りに戦えばいいのか?そして表舞台に出てきた(最近裏でこっそりURLも取得してるらしい)XM関連企業の野望とは…?

オシリスシーケンスが完了しないと次のシーケンスが始まらない。ぜひとも早くミュンヘンアノマリーが出来る日が来ることを祈ってやまないのである。(終)

その他のテッセレーション戦記

私が書いたその他のテッセレーション記事です。

テッセレーション1発目、ネメシスよりもNiaに振り回された、札幌地区に出現したテッセラ攻防記。 https://note.com/miu2d4r/n/nfaadd5a0864b

ヴァーチャル形式となった後のライブドロップ参戦記。https://community.ingress.com/jp/discussion/10889/2020-5-16-ヴァーチャルライブドロップ

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