メガネの弟(メガネ冠婚葬祭・毎週ショートショートnote)
姉の中の俺は、もう既に十回は死に、十五回は結婚した。それにまつわる危篤やお通夜、告別式は三十回以上を超え、結婚相手との家族顔合わせ、結婚式はもう五十回近いのではないか。
「まだ相手すらいないのに……。何度結婚して、何度死ねばいいんだ」
『その日は弟の結婚式だから』と、どこかの誰かとの約束を断って、姉は電話を切った。
「縁起のいい方の回数を多くしてやってんだから、感謝しなさいよ」
細かな作業は何もする気がない、という決意の表れのような長い爪で、ガシガシと髪をゆすって掻きむしる。
「該当分のご祝儀を貰いたい」
「美人なお姉ちゃんがいるだけで、毎日宝くじ当選ものよ」
美人?化粧を落としたら、俺とうり二つのくせに。
その言葉は飲み込んだ。言わない方がいい言葉というものが、この世にはある。それは今までの人生全てで学んできた。
「よしメガネ、奢ってやろう」
姉は毎回、ほんのりお礼をくれる。コンビニのプリンとか、ガムとか。便利なメガネの報酬は二百円以内。
こちらに参加させてもらっています。
冠婚葬祭メガネだと勘違いして書き上げてしまいました。
もったいない精神であげます……
メガネ冠婚葬祭だと少しニュアンスが違う気がします……
勘違いばかりのふぬけです。
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