ポイントガード( だんだん高くなるドライブ・毎週ショートショートnote)
彼の手にボールが渡ると、『また何かやってくれるかもしれない』『まだ諦めるには早い』という気持ちが湧いてくる。チームメイトも応援する者も、彼に期待した。
彼は実際、敵陣に切り込んで、チャンスをたくさんつくったし、自らシュートを決めてきた。彼のドライブが、数々の勝利を運んできた。
決勝戦、残り時間はあと2分。点差は9点。彼の手にボールが渡る。フル出場の彼。疲労は明らかで、腰もドリブルの位置も上がってきている。だんだんとスピードもキレも落ちている。
眼光鋭く切り込んで行った彼のドリブルは高いままで、いつものドライブの精度とはほど遠い。
相手ガードはスチールを狙った。
彼はその手をひらりとかわし、ゴールへ直進、2点を決めた。
高く甘くなったドライブを逆手に取った、なんともトリッキーな技。
負け試合になったが、彼はそのセンスを買われ、渡米する。
彼のドライブの価値も精度も、益々上がっていくだろう。
こちらに参加させてもらっています。
(補足)
バスケットボールにおいて「ドライブ」とは「ドリブルでディフェンスを抜いてゴールに向かう」という行為のことを意味します。
スポジョバ:バスケの用語を解説!ドライブとペネトレイトの違いとは!? より引用
もう一度ザファを見る……と言ってから二ヶ月経っている恐怖。
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