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エール(心お弁当・毎週ショートショートnote)

「心お弁当」
 そう言って毎朝、私にお弁当を手渡してくれるのは母。
「心お茶入れたよ」
 そう言って毎朝、私の分の緑茶を淹れてくれるのは父。
「心今日は寒いって」
 そう言って毎朝、私に天気予報を教えてくれるのは兄。
「心おはよう」
 多分そう言って毎朝、私の足にじゃれてくるのは犬。
 それが毎朝のきまり。私の毎日の始まり。家族と始まる、私の朝。
 はずだった。
 今日からはそれががらりと変わってしまう。同じように一日は始まっていくのに、今日からは、母も、父も、兄も、犬もいない。私しかいない。
 私は両手で頬をぱちんと叩いた。落ち込んではいけないのだ。ひとりで住むと決めたのは、私なのだから。
 なんてことない、進学による一人暮らしの始まりの日に、落ち込んでしまう私は情けない。
 自分の為に作ったお弁当のおにぎりは、小さく握れなくてソフトボール位になった。それを両手に乗せて、私は私に言う。
「心お弁当。今日からがんばろうね」
 


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お久しぶりになりました。
いつもお題が出た日に書くことが多いのは、ネタが被っていたらどうしよう……と思ってしまうからなのですが、今回は遅いので、被っていたらすみません!!

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