Summer Pockets 感想・願望・疑問点

こんにちは.Summer Pockets,最高すぎました.おかげでいい夏休みが過ごせたと思います(一歩も外に出ていないが・・・).でもいつか彼らのような思い出の詰まった夏休みを送ってみたいなと思ったりしました.

少し各ルートの感想を交えつつ,願望や疑問点なんかも書いていこうと思います.(ここから普通にネタバレがあります


## 鴎ルート

最初,ひげ猫団のメンバーたちは実在する人物で,昔鴎と一緒に冒険をしたのだとずっと思っていました.主人公っぽい少年も「タカ」という名前で羽依里じゃんと思ったりしてました.しかし物語を進めていくと鴎は小さい頃から体が弱く,冒険なんか行ける体ではなかったことが明かされます.そしてひげ猫団のメンバーたちは,本の中だけの存在だということが明かされます.ここは素直に驚きました.

そこから羽依里は,鴎ができなかったひげ猫団の本の内容の再現を行い,そして10年前に手紙を送ってくれた人たちを集めました.人々は驚き,そして感動しました.鴎が企画したひげ猫団の再現を喜んでくれました.この描写はまるで,CLANNADの風子ルートのような,少し物悲しさを感じずにはいられませんでした.でも鴎は最後に帆を立てている主人公の隣に座り,楽しそうに微笑みました.これだけでも救いがあったなと思いました.

エピローグで主人公が七つの海を超えて,鴎に会いに行くのですがこのことについては多く語られておらず(ラストシーンなので),うみちゃんのように主人公が過去への強い執着心を抱きどこかしらで力を得ることがあったりなかったりするのでしょうか.その線は多分なさそうだなと思うので(鳴瀬の力なので),おそらく死後の世界だったり鴎の不思議な力による再会だったりいろいろ考えられそうな気もします.なにはともあれいつかどこかでまた会えるという救いのあるエンドを設けてくれるのはうれしいです.


## 紬ルート

紬ちゃん可愛すぎるので,号泣しました.かけがえのない思い出をどんどん作っていこうとする羽依里,静久,そして島のみんなのその優しさにすごく心を打たれました.パリングルスはいつでもどこでも使える万能品ということが確立された瞬間でもあります.

そして何といってもラストまでの怒涛の追い上げがすごく半端ない.どんどん思い出を作っていく描写が流れていくのですが,これによってすごく終わりを意識させられた気がします.楽しい時間ほどあっという間にすぎてしまう,そういう感覚だったと思います.そして最後にろうそくをたくさん作って,紬の誕生日を祝うわけですがもうここで涙腺が崩壊しました.こんなの反則すぎる!と思ったりしました.そこから怒涛のように紬が過去のことだったり,今がすごく楽しいことだったりを話します.ここでもさらに涙腺を壊され,もう言葉にできませんでした.

羽依里と別れた後に紬は最後にツムギと出会い,そしてツムギと幸せな日々を過ごすはずだったのでしょう.しかしツムギは,紬の心の悲しみを悟ったのか紬を現実の世界へ返します.紬はそれを受け入れ,羽依里と再開するというエンドです.しかしここでツムギの方は現世に行っても時間はもう戻らないので,駆け落ち相手もいなかったり時代が違うかったりであまりにも救いがないなぁと思いました.個人的な願望として,時は過ぎてしまったけど紬とツムギが双子のような関係でいつまでも仲睦まじく,現世で暮らしている状況だったりいいなぁなんて思ったりしました.


## 蒼ルート

このルートは結構物語の核となる「七影蝶」が出てきます.その七影蝶に触ると他人の記憶が自分の体にインプットされたりします.しかしインプットしすぎると,頭がパンクして自分の記憶も含めた全ての記憶を失うと.そして蒼は藍を助けるために記憶をインプットし過ぎ,全ての記憶を失い寝たきりになってしまうというお話.

ここで藍の七影蝶を蒼は見ることができないという設定がありました.この設定からいくと蒼が眠り続けている時,羽依里は蒼の七影蝶を発見できなかったりするのでしょうか(大事な人の七影蝶は見えない?).もし見つけられないのであれば,おそらく何年たっても見つからないようなケースがありそうですが.でもそこは愛のパワーとかで乗り切るみたいなご都合主義でも未来の話だしいいかなぁとも思います.できればその後の羽依里の奮闘記もどこかで知りたいですね.

ふと思ったこととして,藍と鴎は眠りについた原因は全く異なりますが,両者とも寝たきりで意識がないという共通点があります.藍は七影蝶として意識を持っており,鴎は実態を持ち羽依里たちの前に現れた.そして蝶を編むことで実態を持つことは可能であり(七海の例より),鴎はもしかしたら七影蝶によって作られた実態だったのかもしれません.これらが言えるのであれば,鴎も七影蝶によって目を覚ますことができたのでしょうか.しかし鴎は鴎ルートで息を引き取った描写があり,そこはもう時すでに遅しというかそういうニュアンスが込められていたのかもしれません.なんにせよ鴎も助かる余地があったのかもしれないと思ったり思わなかったり(体が弱いという設定があるのでなんとも・・・).


## しろはルート -> ALKA TALE

しろはルートは,ALKAの前哨戦といったニュアンスがすごく強いと思っています.ほぼほぼ起こっていることは同じで,しろはが自分の見た未来を気にして,羽依里たちと離れようとします.しかし羽依里は諦めず,一緒に解決する道を模索しようとします.そして無事しろはは,未来を乗り越えることに成功します.

ここでしろはルートでは,堀田ちゃんが船の上に乗ってしまい,それを助けるためにしろは,羽依里が溺れてしまいます.このとき海の中で七影蝶が羽依里たちを導き,なんとか生きて帰ってこれます.おそらくこの七影蝶は,うみちゃんの記憶だったりするのでしょう.ALKAの描写で,うみちゃんはループ上の各夏休みで色を与えていき,少しずつ色を無くしていくと言っていました.この色というのは記憶で,これによりルートを終えるごとにうみちゃんが幼児退行していくことにも納得がいきます.そしてここでもう一つ気になったのが,何者かに操られているしろはが「運命は変えられない」(セリフはあまり覚えてない)のようなセリフを言います.これはおそらくこの先の未来,うみちゃんの生まれる時の運命を指すのでしょう.そしてそれをうみちゃんに警告していると読み取れる気がします.だから流れ的には,しろはルート -> ALKA TALEが自然な流れでうみちゃんはもう運命は変えられないんだと思い(最初から運命は変えるつもりはなかったのかもしれませんが),記憶をほぼ使い果たしてしまった体に鞭を打ち,最後の夏休みを送ろうとしたのでしょう.そして最後の夏休みでは,たくさんの楽しいことをまた駆け抜けていき,最後には本作品のOPであるアルカテイルの歌詞にもある「夏を刻む花火」を見てお別れをします.

その後は,うみちゃんの意識はあり,概念としては存在しているもののただの傍観者になってしまい,ただ延々と起こるループを眺めていました.辛い光景です.

しかしうみちゃんはもうループすることをやめ,遠い過去に向かうことにしました.もう楽しい夏休みを手に入れられた,だから後悔はなくなったと.そして遠い過去に向かうことによって,うみちゃんは記憶を失っていき自分が誰なのかさえわからなくなってしまいます.しかしここでうみちゃんにたくさんの蝶が群がり,そして実態を編んでくれます.その中にはおそらくしろはの母親,鳴瀬 瞳もいたのでしょう.そして七海という人物が誕生しました.

ALKA TALEは終始不穏な空気が流れており,正直うみちゃんの変化からもだいたい察することができ,終始うみちゃんの平和な光景に涙していました.折り紙がどんどん折れなくなっていくのは,本当に悲しかったです.そこからどんどんみんなの記憶からうみちゃんが抜け落ちていき,そして最後には消えてしまうのですが,でもうみちゃんは「おかーさんとの楽しい夏休み」をちゃんと終えることができ,そこはすごく良かったと思いました.でも悲しすぎるなぁ.


## Pocket

うみちゃんが七海として,過去のしろはと出会います.そしてしろはの父が作っていたやーはんを再現しようとします.そして無事再現できたのですが,特にこれといった解決にはならずそのまま夏休みが流れていきます.

そして祭りの日,しろはは過去に戻る力を得ようとします.それを止めるために七海は迷い橘へ向かいます.そこで七海は自分の楽しかった夏休みの記憶をしろはに見せます.その記憶にはしろはがいて,羽依里がいてすごく楽しい夏休みだったのだと思います.この中には,うみちゃんがいて一緒に遊んだ記憶もあり,おそらくこの時にはうみちゃんという存在は思い出していたのでしょう.そして記憶を与えたことによって,七海は体を維持することができずどんどん体が透明になっていきます.そこでしろはは,七海が本当は誰なのかを聞きます.しかし七海は,もう少しで存在すら消えてしまうので伝えることを拒みます.七海はこのまま黙って消えてしまおうと思っていたと思うのですが,ここで一緒に旅をしていた蝶がしろはに七海の正体を伝えてしまいます.そこからは七海の姿がうみちゃんに変わり,おはようと伝えます.そしてうみちゃんという存在が,世界中,そして全時間軸で消滅し,しろははうみちゃんの過ごした夏の思い出を無くしてしまいます.それでも「眩しさだけは忘れなかった」としろははその後の描写で言っており,うみちゃんと過ごした夏休みはまだしろはの心の何処かに残っていることがわかります.

「ありがとう,おばーちゃん・・・」.この言葉からわかるように,七海は瞳に案内されて,幼少期のしろはに出会えたことがわかります.そうすると瞳さんはうみちゃんが,より遠くの過去に来ることをあらかじめ知っていたようで,これは鳴瀬家の予知的な能力によるものだと思っています.そして七海の蝶がほどけていく時に,しろはの肩に乗っていた蝶はおそらく瞳さんだと思います.瞳さんは全てを知っていて,そしてその記憶を過去のしろはに与えたのでしょう.だからしろはは,その時大人のしろはの人格も芽生えたのだと思います.

このしろはの肩に乗った蝶は,しろはのようです.以下の考察が非常にわかりやすくて素晴らしかったです.ありがとうございます.


うみちゃんの概念が消えた世界では,当然うみちゃんがループしてきた夏休みの話もなかったことになっており,しろはとはプールで巡り会いません.しかも良一だったり,天善だったりとも会いません.本当に世界がガラッと変わったんだなと思いました.そして主人公は空を見上げて,傷ついた鳥を発見します.傷ついた鳥は,傷ついたから出会えた.そう羽依里は言っていました.うみちゃんという存在がいて,そして未来の羽依里が苦しんだからこそ楽しい夏休みがあったのだと思わされました(現にエピローグの羽依里は誰とも友達にならない).

最後に蔵で見つかった虹色の紙飛行機.そして鏡子さんが作中で言っていたように,この蔵は「誰かの大事な何かをそっとしまう場所」です.だからうみちゃんは,過ごした夏休みの大事な紙飛行機をしまっておいたのかもしれません.そして羽依里は,蔵で眩しさとともにうみちゃんのことを思い出し,そしてまた眩しさにうみちゃんがかき消されていってしまいます.でも紙飛行機だけは残っていた.その紙飛行機はうみちゃんの大切なもので,眩しさそのもであるのでしょう.最後にしろはが紙飛行機を海に向かって投げるのだが,それは大空へ飛んでいき高度を上げ,眩しさに消えてしまいます.しかし羽依里はその眩しさを思い出し,もう一度しろはと会わなければならないことを思い出します.しろはと出会わなければならないことを.そして羽依里は,船から無理やり降ります.

この紙飛行機をどう解釈するかを悩んでおり,紙飛行機は空を飛んでその行き先を羽依里は知っているらしい.それはおそらく未来,楽しい夏休みのその先なんだろうとは思います.ずっとループしていた夏休みのその先に待っているもっと楽しい日々.しかしうみちゃんという存在はこの世界ではもう消えてしまっており,しろはと羽依里が結ばれようがうみちゃんが生まれることはないのだと思っています.それでもみんなはうみちゃんと過ごした夏休みをどこかで覚えており,そしてまた楽しい夏休みを送ろうとします.勝手な願いだが,あの紙飛行機がうみちゃんの概念そのものを司っており,それを未来に向けて放ったしろは,そしてそれを見送った羽依里にはすごく何かを期待しています.もしかしたらまたどこかで,再会が待っていると信じています(ご都合主義).そのことは本編では語られていないので,勝手な妄想ですが.全てが終わった世界では,しろはは力を持っていないのでしっかりと出産までに体を大事にしてくれると信じています.そしてうみちゃんが幸せな世界で生まれてきてくれることを望みます.

鴎,紬,藍は,うみちゃんがいなくなった後の世界で普通に生活をしています.これは思うに,雑に言うとβ世界線的な感じなのかなと思ったりしています.うみちゃんという存在が消えることによる世界への影響がどれくらいなのかはわからないですが,そんな感じだと思っています.うみちゃんがいなくなって,みんなが幸せな世界に行くというのは非常に悲しく,救いがなさすぎるのでそれはなんとかして欲しいとも思っています.


## まとめ

久しぶりにこういうゲームをやりましたが,終始飽きることがなく文章を読めました.そこはさすがkeyだなと思ったりしました.他にも島モンだったり変なミニゲームもあって良いですね.どのルートもハズレがないというか十分よくできており,みんな好きになれました.よく僕は少し攻略するのが辛いヒロインとかがいたりするのですが,その点では非常に良かったです.でも本当にALKAは,テキストを読むのが苦痛で子供を持ったらもっと大切にしてあげたいなぁと思ったりもしましたが.何はともあれ「最高の夏をありがとう」と言いたい作品でした.

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