Voyage#20のお話。

私は翔くんが好きだ。力強く、直向きに、自分が設定した目標に向かってひたすらに努力する、そんな所が大好きだ。「夢は強く願わないと、叶わない」そうやって、描いた夢をその手で掴んできた翔くんが好きだ。きちんと自分の中に譲れない核を持ち、信念を崩さずに一貫して進んできた翔くんが好きだ。

だからこそ、今回のVoyage#20の1番最後で翔くんが残した言葉が胸を貫いた。

「全然分からない。珍しく。全然分からない。前も言ったかもしれないけど。見て見ぬふり続けてきたし、感じないようにしてきたから。全然分からない。ちょっと……蓋開けてみるまで。当日の気持ちってのはね。……想像はしてみるけど……」

「会見の時もそうだけど、なんか自分がどう思うのかってことと、同じ、もしくはそれ以上に……あの人達、そしてファンの人達……どう思うんだろうなぁってことがなんか……のしかかってくるっていうか……。……だから分からないのよ、そっちの……沢山の人の想いを……全部想像した時に……その気持ち……になってしまいそうでもあるし……自分丸裸っていうのの思いが……どこに置かれていくのかってのが……もう、分かんないんだよね。」

「……そうなんだよね、自分の丸裸の想いっていうのがもう分かんなくなっちゃったし…………うーん……そんなもの存在しないのかもしれないしさ、いろんな人の想いを重ねて重ねて重ねたのが自分の想いなのかもしれないから。全然分かんないなぁ、全然分かんないけど……」

「今度12月31日ってのはもしかしたら、会場にお客さんがいれば……その、なんかぐわぁ〜ってなった想いをこっちも感じながらやるってことになったかもしれないけど……今回それは無いわけじゃん。…………当然5人とも……その時の、自分の想い丸裸で勝負することになるからね……。まぁ、よく言えば影響されない。…………どうなんだろうね。………………ちょっと怖いよね。そういう意味で言うと。」

沈黙と、視線を下に彷徨わせてそう答えた翔くん。「分からない」「怖い」そう話す翔くんを、私は今まで見たことがなかった。

今まで翔くんは自分の確固たる意思があり、その意思のもと目標を築き、努力し、結果を掴んできた。だからこそ「分からない」という言葉はとても衝撃的だった。翔くん自身も自覚しているほど、それほど自分の気持ちを「分からない」と示す翔くんは見たことがなかった。それくらい、活動休止は翔くんの中で大きすぎる案件なんだ。

でもさ、翔くん。大野くんが言っていたよ。「嵐、続けようよ」そう答えたって。

でもさ、翔くん。書いていたよ。「ずっともっとこうしていたいよ。」って。

それが、翔くんの想いなんじゃないのかな。

でも、翔くんはそれを自分で押し殺してしまった。書いた本音を、二重線で消してしまった。

私は、それがなによりも、悲しかった。

自分の想いを殺すこと、それは自分の一部を殺してしまうのと一緒だ。私の大好きな人は、私の大好きな人を殺してしまった。「中立でいないと」という暗示をかけて。

これがどれほど悲しくて、寂しくて、やるせないか。こんなにずっと大好きなのに、何もすることができない、見殺しするしかない自分の無力さに愕然としてしまう。

暗示をかけて、自分で自分を押し殺してしまった翔くんは今、「分からない」と彷徨っている。迷子になった子供のような顔で、小さな頃の大切な思い出をどうしても思い出せない大人のような顔で「分からない」と言う。

見ぬふりを続けてきた、考えないようにしてきた。そんなの、分かってるよ。最期まで走り抜けると決めた貴方が、その心をどこかに置き去りにしてしまっていたのなんて、分かっていたよ。だからこそ、こんなに悲しいんだ。


Gの嵐かな。昔の番組で、催眠術師に「泣かせてほしい。」と頼んでいた翔くんが強く印象に残っている。

色んな人にあしらわれてバカにされて、悔しくて泣き出してしまうくらい、それくらい涙を流す翔くんが、泣けなくなった時期。翔くんは語ってくれないから、私は想像するしかできない。でも、「泣かせてほしい」と催眠術師にお願いしてしまうくらい、翔くんは切実に困っていた。人は心が満たされていないと泣くことはできない。干からびてしまったら、涙は出てこない。きっと翔くんは、どこかの砂漠に迷い込んでしまっていた。

でも、そんな翔くんが。ここ数年、泣いている姿を見せてくれるようになった。演技に感動して泣く姿、大切な方を失い嗚咽する姿、自分の不甲斐なさに悔し涙を流す姿。泣いた話も沢山聞くようになった。映画を見て泣いた話、夢を見て泣いた話、「最後まで笑っていよう」と泣きながら言った話。

話についてはほとんど、翔くんの周りの人が話してそこで初めて知ることばかりだ。私が画面越しに見る翔くんは滅多に泣かなくて。それでも、最近ようやく見せてくれるようになって。


でも、そんな翔くんがまた迷子になっている。


丸裸の自分の気持ちが分からない。その中で、最後メンバー同士丸裸の気持ちでぶつかり合う大舞台が待っている。

嵐の皆は、休止後についてほとんど言及しない。いつ帰ってくるのか、また帰ること自体あまり話すことはない。全員どう考えているのか、明確には記さない。それが嵐の優しさであり、嵐らしい部分でもある。

でも、最後にはきっと分かるんだろう。お互い何思っているかなんて、そんなの簡単に分かるんだよ。そのぶつかり合いを「怖い」と言う翔くんは、きっと「ずっともっとこうしていたいよ」という本音が出てしまうのが怖いからじゃないのかな。

中立であるという暗示が解けてしまう瞬間、きっと本音が出てしまうから。そしてその本音は、メンバーのため、ファンのために殺したはずの言葉達だから。


当日、5人はどう思うんだろう。私もどう思うんだろう。きっと沢山泣いて、沢山笑うんだろうな。信じられないくらい幸せになって、信じられないくらい寂しくなるんだろうな。


だから、今だけは。

5人と共にいられる、今だけは。

笑顔でいよう。


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