「1 + 1 = 2 を科学的・数学的に証明する」

「1 + 1 = 2」という式は、日常生活で誰もが知っている
当たり前の事実のように思えます。

しかし、この単純な式を深く掘り下げていくと、
数学や科学の根幹にかかわる重要な概念にたどり着きます。

実際、「1 + 1 = 2」を厳密に証明することは、思っている以上に複雑です。

本記事では、算術、集合論、物理学の視点から、
この基本的な式の証明を試みます。


1. 公理的算術(ペアノの公理)

まず、「1 + 1 = 2」を数学的に厳密に証明するためには、
ペアノの公理という基本的な公理系が役立ちます。

ペアノの公理は、自然数の性質を定義するもので、
これを使うと自然数の加法を定義できます。

自然数の定義:
ペアノの公理では、「0」を最初の自然数とし、
「次の数」という概念で他の自然数を定義します。
次に来る数は、S(0)(1)、S(S(0))(2)といった形で表されます。

加法の定義:
ここで、加法を次のように定義します。
a + 0 = a および a + S(b) = S(a + b)。
この定義に基づいて「1 + 1」を計算します。

1はS(0)なので、1 + 1 = S(0) + S(0) です。
定義により、S(0) + S(0) = S(S(0) + 0) となり、S(S(0)) = 2 が導かれます。

これにより、1 + 1 = 2 が形式的に証明されます。


2. 集合論による証明

次に、集合論の観点から「1 + 1 = 2」を考えます。
集合論は、数学の基礎を築く理論であり、数を集合として扱います。

集合としての1:
自然数1は、空集合 ∅ の次の数として定義され、
集合として {∅} と表されます。

集合としての2:
自然数2は、1に対応する集合 {∅, {∅}} となります。

ここで、1 + 1 を集合として考えると、{∅} + {∅} となり、
これは {∅, {∅}} となります。

すなわち、集合論的に見ても 1 + 1 は2を表します。

これもまた、1 + 1 = 2 を厳密に示しています。

3. 物理学の観点からの「1 + 1 = 2」

物理学的な視点からも、1 + 1 = 2 は確立された現象です。

特に、量子力学や相対論的な世界でも、
「1つの粒子と1つの粒子を合わせると2つになる」という事実は
基本的な法則です。

ただし、物理学の分野では、場合によっては
この単純なルールが崩れることもあります。

例えば、量子重ね合わせの世界では、観測によって状態が変わるため
「1 + 1」が明確に「2」になるとは限らないこともありますが、
古典物理学の範囲では次のように成り立ちます。

エネルギー保存則:
物理学の基本原理であるエネルギー保存則に基づけば、
2つの同一のエネルギー源(例えば電池)を加えると、
その合計エネルギーは必ず2倍になります。

これは、1つのエネルギー + もう1つのエネルギー
= 合計2つのエネルギーという形で表現できます。

質量保存の法則:
質量保存の法則も同様です。2つの物体の質量を足すと、
その合計質量は個々の質量の和になります。

たとえば、1kgの物体 + 1kgの物体 = 2kg です。

このように、物理学の視点からも「1 + 1 = 2」は
基本的な事実として成立します。

4. ゲーデルの不完全性定理と1 + 1 = 2

ゲーデルの不完全性定理と「1 + 1 = 2」の関係

「1 + 1 = 2」という式は、ペアノ算術の公理系の中では
証明可能な命題です。

しかし、ゲーデルの不完全性定理が示すのは、
この証明可能な命題が他の命題とは異なる例外ではないということです。

もっと複雑な命題、例えば「1 + 1 = 2」という事実が
ペアノの公理系の中でどう証明されるのか、

そしてその証明が不完全性定理の影響を
受ける可能性があるかを見ていきます。

「1 + 1 = 2」の証明の流れ

先ほど述べたように、「1 + 1 = 2」はペアノの公理に基づいて
証明できます。

まず、ペアノの公理に基づく「1」や「2」の定義と
加法の定義を振り返ります。

  • 1の定義: 1はS(0)で表されます。Sは「次の数」を意味します。

  • 2の定義: 2はS(S(0))で表されます。

ペアノの公理に基づく加法の定義は次の通りです:

  1. a + 0 = a

  2. a + S(b) = S(a + b)

これに基づいて、「1 + 1 = 2」を証明します。

  1. 1 + 1 の計算を行います。1はS(0)なので、1 + 1 = S(0) + S(0) です。

  2. 加法の定義により、S(0) + S(0) = S(S(0) + 0) となります。

  3. 再び、加法の定義から S(0) + 0 = S(0) なので、S(S(0)) が得られます。

  4. S(S(0)) は 2 です。

したがって、1 + 1 = 2 が導かれました。

まとめ

「1 + 1 = 2」という一見簡単な事実を深く掘り下げてみると、
その背後には多くの科学的・数学的な概念が隠れていることがわかります。

ペアノの公理、集合論、物理学、さらにはゲーデルの不完全性定理まで、
このシンプルな式を理解するには多くの知識が必要です。

数学や科学の基礎を支えるこの式は、
まさに世界の理を表現していると言えるでしょう。

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