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Tokyoでの夏休み

6月の初夏の原宿で、日本を愛するふんどし愛好家のピノさんと再会した。

午後にMヨシさんとも水道橋で落ち合うことになっていたので、千駄ヶ谷まで歩き、中央線で移動した。

久しぶりに会ったピノさんは、ちょっと不機嫌気味で、道すがらフランス語らしき看板を見つけてはスペルや意味がおかしいと鼻毛をちぎりながらブツブツ文句を言っていた。

ラーメンを食べたいと言うので、水道橋の駅近くの中華料理屋さんに入ると、Mヨシさんとの待ち合わせに遅れないよう、暑いさなかに汗をかきながらもの凄いスピードで食べた。

何故に彼等が水道橋で待ち合わせたかと言うと、水道橋には名の知れた武道具店が幾つか有って、居合道の稽古も兼ねていたお二人の今回の旅の目的地の一つでもあった。

道着や手ぬぐい、木刀の鍔などを買い込んだあと、TokyoDome並びのカフェに入って涼むことにした。

フランスにはアイスコーヒーが無いからと、アイスコーヒーを頼み、一頻りヨモヤマ話をしたあと、来月またフランスに行くかも知れないと話をした。

「パスカルさんとこ行くの?」と間髪入れずMヨシさんが聞いた。

あの日、パスカルさんのアパルトマンに行った事は言わずに、彼の引越し先モンペリエに遊びにおいでと言われていること、良い機会だからそこから語学学校に通いたいと思ってることを伝えた。

(当たりをつけた学校から既に夏季講座の申込み用紙は取寄せてあり、1週間分の授業料を6月中に払い込めばよかった。)

「…えっと、そんな訳で、招待すると言われたとはいえ、1ヶ月もの間お邪魔して問題はないものでしょうか?…」

パスカルさんにホントにいいの?と最終確認をしたが、まだ返信が無く、ちょっとヤキモキしているところだった。

Mヨシさんとピノさんは顔を見合わせた。

「えっ?パスカルさんはもう恋人なんでしょ?遠慮なく行けばいいんじゃないの?」

あの日、私が明け方まで部屋に帰らなかった事をこの二人はどうやら知っているらしい。

「…恋人じゃないですよ。あの日確かにデートはしたけど、メールしてるだけです。メル友です。一日デートしただけで恋人に簡単になれたらいいけど…」

Mヨシさんは、そうなんだぁと言ったあと、何となく不可解そうではあったが、それ以上詮索はしないでくれた。

ピノさんにも分かるよう、頑張ってフランス語も混じえて話すようにした。(多分来月は嫌でもフランス語を話さざるを得ないのだから)

「...Elle a progressé le français(彼女はフランス語が上達したな)」
「Oui」と二人が褒めてくれた。ああ、必死だったのだ…。

結構な私の思い詰め具合に、Mヨシさんはネット出来るところに行こう、と提案し、新宿の漫画喫茶に皆で移動した。

伊勢丹の並びに有った漫画喫茶に入り、3人並んで座席を取ると、ピノさんがパスカルさんにメールをしてくれた。

(mitsuyoがお前のところに来月行ってもいいのか心配している。みたいな内容を送ってくれたようだ…)

「心配するな。多分明日には返事が来る。」

一日二日待ってメールチェックすると、パスカルさんの返事が来ていた。

メールを開くとページいっぱいに
Tu es la bienvenue. Tu es la bienvenue. Tu es la bienvenue. Tu es la bienvenue. Tu es la bienvenue. Tu es la bienvenue. Tu es la bienvenue.Tu es la bienvenue(歓迎します)
welcome. welcome. welcome. welcome. welcome. welcome. welcome. welcome.

…と印字されていて、パスカルさんが返信を催促されたのを思わしくないのをうっすらと感じとったのだった。

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