PMIに伴う業務システム統合への取り組み
こんにちは、BTI部のダイスケです。
今回はM&A(事業譲渡)に伴う業務・システム統合の取り組みについて!
これまでのキャリアではじめての経験でもあり、かなり泥臭いやり方になってしまった実感はありますが、その内容と今後どうしていくか述べさせていただきます。
■譲渡前
一番の課題は、諸々の事情もあり一ヵ月後に譲渡というスケジュールでした。正直にいうと、最初は「どうにかなるんじゃないか?」と楽観視していました。業務・システムのヒアリング、自社業務として運用・システム両面から最適化、運用担当者への落とし込み、とやらなきゃいけないことを冷静に考えると時間・リソースが全く足りません。
100%の準備はできないので、対顧客サービスのQualityとDeliveryを維持することを目標として以下の方針で準備を進めました。
【運用】
・(対顧客サービス周りの)基幹業務に注力して業務プロセスを構築
・譲渡後にある程度臨機応変なOODA的な運用で対応
→発生率の低い業務
→譲渡起因で発生する業務
【システム】
・システム構成の把握
・事業上のリスクを最小化するため同一構成で構築
→調査、評価、導入、検証にかける時間の最小化
運用面は重要度の高い業務を中心に、どんな業務でどのシステムからどのシステムへどのデータが流れているのかをおさえるだけにしました。データの内容は問題が発生したときに見て状況に合わせた対応をすると割り切った形になります。
システム面は可能な限り譲渡前の環境に合わせて構築することでサービス運用時のリスク最小化を図りました。
システム構成を整理すると、基幹システムだけがスクラッチでローカルサーバ上に構築されていたためクラウドサーバ上に移行しました。初期は同一環境を目指そうとしてローカルサーバで構築する予定でしたが、結果的にクラウド移行によって複数拠点からのアクセスも容易になり、スペック要件が高くなかったこともあり安価に構築できた点はよかったです。
(システム間連携部がすべて人の手を介したファイル連携や手入力による運用だったため、環境移行に伴う連携周りの不安がなかった点は良くも悪くも助かりました…)
一方で最適なクラウドサーバかどうかと言われると検討不足と言わざるを得ません。標準的なクラウドサーバサービスで備えている多要素認証、アクセスログ、バックアップなどのセキュリティ対策はしているものの、RASISの観点から十分な評価はできていませんが、社内システムであることから、一旦課題優先度を落とし検討することとしました。
■譲渡後
そうこうしているうちにあっという間に1ヵ月が経過してしまい運用が始まったわけですが、運用面の課題が次から次へと出てきます。イレギュラー業務の委細までのキャッチアップは時間の関係でそもそも諦めていたので気合で運用対応する覚悟はしていましたが、現実もイレギュラーだらけでOODAをがんがん回すことでなんとか対応していくことになりました。
運用上クリティカルな課題か、システム改修するべきか、するとしてどの程度の工数がかかるのか、はたまた運用でカバーできるのか…
私は運用サポート的なポジションで初期の業務運用に参加しましたが、とにかく問題発生から解決までを即対応すること、運用上どの程度重大な問題なのか(顧客向けのサービスとして事業上クリティカルな問題なのか)を考慮し、どのレベルで再発防止策に取り組むかを判断して対応することに注力していました。
そういった動きを2ヵ月間繰り返し、なんとか今は通常運用が回せるレベルに落ち着きました。
■今後のアクション
基幹システムについては現在進行形で見直しをかけています。前述したサーバ自体の検討不足もありましたし、そもそも基幹システム自体をSaaSに移行する方向で考えています。システム間のデータ連携をかなり運用に頼る構成になっている点がSaaS移行によってほぼ解消できます。(SaaSの機能として利用可能)
一部スクラッチのメリットとしてのコアな業務要件への対応力が損なわれますが、基幹システム外の例えばRPAによるフォローや、運用でカバーするという方向で検討しています。
■総括
振り返ると、業務・システム両面から横断的に携われたから今の状態までもっていけたと思います。譲渡後に発生する問題に対しても取れる選択肢が多く、リスクを検出したうえでの判断もその場ですることができました。
ビジネスを構成する要素の一つとしてテクノロジーと向き合うことで、ビジネスにフィットするテクノロジーの形が見えてくるのかなという気付きがありました。
最後に、そもそもヒアリング不足だった点や誤った判断をしてしまったところもありますし、運用担当の皆様にはご迷惑をたくさんおかけしてしまいました。それでもやり抜いていただいてありがとうございました。開発ベンダー様には社内リソースの調整により、度々高速で改修かけていただきありがとうございました。その他一緒に運用面のサポートに入ってくださった皆様にも感謝しかありません。
まだまだ改善の余地が沢山ありますので引き続き頑張ります。
●前回の記事
●次回の記事
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?