映画のフィルムについて
こんにちは。甘野充です。
今日は映画のフィルムについて書こうと思います。
どうしてそれを書こうかと思ったかと言うと、最近昔の映画やテレビドラマなどをフィルムからスキャンし直して、4Kや8Kのデジタル画像にデータ化をして修復するといった作品を見かけるからです。
ウルトラセブンの4K版の映像を観て、その美しさに驚きました。やっぱりフィルムは凄い、と思ったのです。
現在の映画はデジタル上映が当たり前になったのですが、以前はフィルム上映でした。
通常の劇場映画は35ミリフィルムを使用していました。35ミリとは、フィルムの横幅を示しています。
一方、テレビ映画と呼ばれるテレビドラマは、16ミリフィルムを使用していました。テレビは映画のように大画面での上映をしないので、多少画質が落ちても良いという判断です。ともかくアナログのフィルムは高い。少しでもコストを下げる必要があったのです。
また、家庭用の8ミリフィルムというものがあり、それは16ミリフィルムを半分に切ったものです。そのため、16ミリフィルムには上映時にフィルムを送るための穴が両サイドにあるのですが、8ミリフィルムには片側にしかありません。
僕はこの8ミリフィルムを使って、自主製作映画を撮影していたことがあります。フィルムにはフジ、コダック、サクラカラー、がありました。
アナログ写真を撮っている人はよくご存知のことと思うのですが、フィルムの会社によって色合いが違っていました。8ミリフィルムの色合いもカメラのフィルムと同じでした。
フジは発色が鮮やかで、コダックは落ち着いた色調でありました。
カメラもフィルムによって違っていました。フジとコダックではフィルムの厚さが違っていました。コダックのほうが厚かったと思います。フジのカメラにはフジ、コダックにはコダック。サクラカラーはコダックのカメラで使用できたと思います。
コダックの方が映像は好きなのですが、値段が高いのでサクラカラーを使ったりもしたと思います。
8ミリフィルムは家庭用なので誰にでも扱えるのですが、16ミリフィルム以上は映像技師の免許が必要です。
フィルムの特徴は、まず撮影後に現像をしなければならないことです。現像が上がるまでは撮れ高がわからないので、上手く撮れていなければ撮り直しになります。それに再利用ができないし、値段が高いのでものすごく費用がかかるのです。
また、現像所に出さなければならなので、陰部などの法律に触れる映像を撮影することはできません。
そしてフィルムを送って映写をするので、映写するたびにフィルムが痛むという欠点があります。各劇場に送られるフィルムは、マスターフィルムをコピーして配布されるので、マスターフィルムは大事に保管されます。
劇場で上映されるフィルムは、たくさん上映すると擦れて線が出ることで、雨が降ると言われたりしました。それに上映中にフィルムが切れてしまうこともありました。
デジタル化はマスターフィルムからデータ化をするのですが、フィルムについた傷のために映像にゴミが入っていたりします。そのため、デジタル修復ではゴミを消去する作業がおこなわれます。
また色調なども調整することで、高画質なものに生まれ変わるのです。
16ミリフィルムでもこんなに綺麗に蘇るのだな、と感心するのです。
やっぱりフィルムはすごい。
さて、フィルムサイズにはもう1つあります。それは70ミリフィルムです。
70ミリフィルムは35ミリフィルムの倍の横幅があるのです。
テレビが急激に普及することで映画産業が衰退し、テレビと差別化をするために横幅が広くて高画質の映画を作成するようになったのです。
これは単純計算でフィルム代が倍かかるので、超大作映画のみに使われました。シネラマ、と呼ばれるものです。
70ミリフィルムは高いので、画質を良くしたいために、ビスタサイズというものが考案されました。
これは35ミリフィルムを横方向に流して撮影するものです。フィルムを横方向に流すために、画像の横の長さに制約がありません。そのためビスタサイズは作品によって縦横比が違っていることがあるのです。
70ミリフィルムの登場で、横に長いアスペクト比が映画とテレビとの差別化になったのですが、70ミリフィルムは何しろ高いのです。
それで考案されたのが、シネマスコープサイズです。
これは、35ミリフィルムの画質が向上したために可能になったもので、撮影時に特殊なレンズをカメラに装着して、横長の画面を圧縮した3:4のサイズにして35ミリフィルムに焼き付けると言うものです。これを上映時にレンズを使って元に戻して上映します。
テレビで上映するときは、タイトルやキャストの表示が切れないように、最初と最後だけレンズを使用しないそのままの画像サイズで放送されたものでした。なぜかそこだけ縦長の表示になり、本編はトリミングされた表示になっていました。
まだまだフィルムの話は尽きないのですが、少し長くなったので今日はこれくらいにします。
それではまた。
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