フォローしませんか?
シェア
「私、透明人間なの」 と奈央子は僕に言った。 「え? 何」 と僕は問い返す。 「これを見てよ」 と奈央子はスマホの画面を僕に見せた。 それは、インスタグラムの写真だった。 「これが何?」 と僕は奈央子を見る。 「これは、翔子のインスタなんだけど、ここに私がいたのに写っていないのよ」 「何、何? ドラキュラとか妖怪とか、そういう感じ? 肉眼では見えるけど写真に写らないとか?」 「そうじゃないのよ。グーグルのスマホを使うとね、写真の中の要らない人を指でタッチするだけで
「何ですか、これは?」 と担当編集者は僕に尋ねた。 「何って、依頼のあった小説の原稿だけど」 と僕は答えた。 「これは、私が依頼した小説ではありませんよね? 今回の小説はお題があって、それに沿った小説にしていただく依頼だったはずなのですが」 と担当編集者はいやみったらしく言った。 「ああ、だけど何だかピンと来なかったんだよね。僕が書きたいものと結びつかなかったし、むりくり合わせたってさ、おもしろいものなんて書けやしないよ。僕は僕の書きたいものを書く。だいたいお題をもら