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「君の歌声は素敵だ」 と僕は彼女に言った。 僕は駅前のコーヒーショップでオーダーをするために並んでいるときに、ふと目の前に並んでいる女性が、僕の友達の彼女の友達であることに気がついた。 以前に街中で偶然その友達に会い、そのときに一緒にいたのが彼女だ。 僕は「直子さんのお友だちですよね?」と言って声をかけた。彼女は振り向いて僕の顔を見ると、あのときのことを思い出した様子で、笑顔で「こんにちは」と言った。 僕は「こんにちは」と答えたあとに「一人ですか?」と尋ねた。
「ねえ、今度映画観に行かない?」 僕は総務課の瑛子に唐突に誘われた。 瑛子とは今までほとんど話をしたことが無かったが、誘われた理由はなんとなくわかる。 僕が「予告編で泣く男」だからだ。 僕は映画の予告編を観て泣く。 僕は映画が大好きで、よく一人で映画を観にゆく。そして予告編で泣くのだ。 僕はたくさんの映画を観るし、小説を書いたりする。そのせいで、物語の一部分を観ただけで、物語の展開、登場人物の心情、結末、などが想像できてしまうのだ。もちろん実際の映画は僕の想像