小さき者へ/生まれ出づる悩み

今月も本を読んだ。続けられるかわからないけど、読んだ本の感想と、得たものを記録してみようと思う。

経緯

2月はこの本を読んだ。購入したきっかけはYoutubeで見た読書系のチャンネルにラランドのニシダが純文学として紹介していた動画を見て、興味が沸いたからだ。この本は父親になる人にプレゼントされることが多いらしい。まだ父親になるまでは期間があるが、その前に読んでみるのも面白いと思い、購入した。

所感

「小さき者へ」では母親を幼くして亡くした3人の子供へ向けて父親である著者からのメッセージが書かれていた。自分は幼い頃父親を亡くした身であるからか、父親はこう考えていたのかな、と1つのサンプルとして読んだ。最後の子供達へのメッセージは少し感慨に耽るようなものがあった。

「生まれ出づる悩み」では芸術家としての感性を持ちながら漁夫として生きる君に向けた著者への愛、思いが綴られていて、離れていても人を思い続けること、他人の人生を思いやることはできるが、環境に抗うような言葉をかけられなかった著者の苦悩を感じた。

小さき者へ

冒頭に母を幼くして亡くした子供達へ「お前達の人生はそこで既に暗い。」や「お前達は不幸だ。恢復の途なく不幸だ。」と表現し、最後には「行け。勇め。小さき者よ。」で締め括られていた。
これは子としての自分にも同じことを父は思っていたんだろうと思う。小学校入学前、突如亡くなった父。父は自分を含め、3人の子をこの上なく愛してくれていた。会社の旅行にも連れて行ってくれ、夏休みには毎年旅行をし、眠たい休日には一緒にサッカーをしてくれた。
父の命日にこの本を読めたことを嬉しく思う。

時代の差はあれど、両親は心身ともに尽力して子を産む。それは間違いのないことだと思う。そして、自分のこれまでの人生を惜しみなく活用して育てる。子はそれを少なからず享受して眠り、また起き、そのサイクルを繰り返し、大人になっていく。

お前達は私の足跡に不純な何物をも見出し得ないだけの事はする。きっとする。お前達は私の斃れたところから新しく歩み出さねばならないのだ。然しどちらの方向にどう歩まねばならぬかは、かすかながらにもお前達は私の足跡から探し出す事が出来るだろう。

子に対してできることはこれくらいなんだと思う。一人の子である自分も父の残した足跡を探し、新しく歩み出している。全く同じ道を歩むことは叶わなかったが、道の渡り方は知っている。だから自分の足で自分の道を歩もうと思う。

親は子を愛するものであり、子は親に愛されるものなんだと思う。子が親を愛するか否かはわからない。親を愛せた自分は運が良かったのかも知れない。ただ、子は親を見て育つ。子ができたときは子に見られる自分の道を良いものにし、子に愛されるような人でありたい。

愛を両親から受けて育った自分は父を亡くしたこと、母と離れたことで、やはり愛に飢え、淋しい人生なんだと思う。前途は遠く、そして暗い。然し恐れずに道を歩くしかないんだろう。出来ることは、妻を愛し、子を愛し、愛したものに感謝を受け取ってもらうことだけだ。

生まれ出づる悩み

自分にも思い続ける人は何人かいる。最近よく思い出すのはバイト先で出会ったおじさん。宇宙の話、店長の愚痴、ウイスキー、タバコが好きで、洗車している時に沢山一緒にサボりながら話した。連絡先は交換したはずだが、メッセージを受信できていないのか、返信が来ない。体調を壊して入院したと聞いてから、会えていなく、音信不通だ。この前結婚報告も送ったが返ってこない。本を読みながらも何回も思い出し、今頃何をしているのかと考えてしまった。

まだ仕事でメンバーを育てる、という事がないが、そういうことを思える人に出会ったら同じことを思い出し続けるのかも知れない。
自分もセンチメンタルな考えをする事が多く、学生時代も家に帰る前に公園の一角で考え事をしてから帰った事も何回かある。こういうのは人からしてみたら不要なことだと思われるかも知れないが、自分はたまにはないといけないものだと思う。ただ、意図してするものではなく、必要に駆られてやってしまうことだから自分の行動であってもコントロールできないだろう。

目線を逆にして、果たして自分はそう思われる対象なのであろうか。人に思い出してもらえるような価値のあることをできているのだろうか。他人の気持ちを完全に理解するのはできないが、ほんの少しだけ分かることはできると思う。その少しに対してどういう働きかけをすると良いのかはこれからも試行錯誤していきたい。そもそも何を良しとするかが分からないけど、、、

終わりに

愛という人が持つものに触れた作品だった。家族という目線の愛と他人という目線の愛、それぞれ関係性は異なるが、思い続けること、出来る限りのことをすることなんだと思う。自分も愛し、愛されることを日々できればと思う。

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