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ロストバレットの「目標」について

はじめに

 こんにちは。チーム千里眼の密林(@miTSUriN_miri)です。つい最近ロストバレットにおけるポケギアの採用枚数について、面白いnoteを皮切りに論争があったので、私見を述べようと思います。
 (おそらく)論争の発端となった記事を以下に掲載しておきます。この記事では、ポケギア採用の価値に触れながら、ロストバレットにおけるゲームの進行を軸に、当該記事とは別視点の提示を試みます。当然ながら環境によって採用枚数は揺れ動くものなので、絶対の正解の提示ではありません。

ロストバレットにおけるゲームの進行

 ロストバレットにおけるゲームプランは、「ターンごとのロストゾーン枚数と、序盤ターンでのアタッカー起動の可否」によって決まるといって差し支えありません。このデッキは、中盤以降の安定性よりもはるかに序盤の安定性が重要です。
 ゲームが進行してロストゾーンが10枚に達した後は、手札干渉を一旦考えないのであれば、ほぼ間違いなく継続してアタッカーを用意することができるのがこのデッキの特徴です。なぜなら、アタッカーの条件となるヤミラミやウッウはどちらもたねポケモンであり、ヤミラミは1エネ、ウッウは0エネと超軽量の起動条件だからです。
 アタッカーが取られたターンの返しに、いずれか二体を前に出して、ヤミラミの場合はエネを張る、という極めて緩い条件で継続的な攻撃が可能です。
 つまりこのデッキにおいて重要なのは、①序盤、ロストゾーンを10枚溜めるまでのプラン、②手札干渉からの復帰だということです。もちろん、ダメカンのばらまき方、スイッチャーの使いどころなど重要ですが、これはプレイングの話であって、デッキレシピに関係する成分は小さいでしょう。

 では、「序盤に安定する」ことを考える上で、ロストバレットの理想的な進行を整理してみましょう。概ね以下のようになると思います。

先手の場合
先1:ロストゾーンを溜める。枚数はこの時点では不問。
先2:ロストゾーンを溜めてウッウで攻撃。ロスト枚数は最低4。
先3:ロストゾーンを溜めてウッウかヤミラミで攻撃。ロスト枚数は理想10。

後手の場合
後1:ロストゾーンを溜めてウッウで攻撃。ロスト枚数は最低4。
後2:ロストゾーンを溜めてウッウで攻撃。ロスト枚数は最低4。
後3:ロストゾーンを溜めてヤミラミで攻撃。ロスト枚数は最低10。

 もちろん、手についたカードやエネの種類によって、3手目のアタッカーがウッウになる事はあるでしょうが、理想的な進行は以上かと思います。後2にロストマインを打つことも全く不可能ではありませんが、ロストスイーパーを考慮しない場合、アクロマ2回と花選び6回が必要になり、後1からのキュワワー三面展開かつすべて花選びを起動、手張りはほぼヤミラミに使うためビーチコートと入れ替え札最低3枚が必要になり、現実的ではありません。

 余談ですが、ロストスイーパーに関しては、緊急でロストゾーンを増やす価値は存在するものの、「手につかないと使えない」「複数枚投入は弱い」「相手の張ったスタジアムや道具では1枚しかゾーンが増えない」「必要なロストゾーンは4,10と偶数枚であり、キュワワー三面起動を絶対にめざすのでなければ噛み合いが悪い」の理由から、デッキの安定性の話には大きくは参入できないカードだと考えています。

必要枚数までロストゾーンを揃えるには

 では、上記のプランを前提として、必要枚数のロストゾーンを揃えるには何が必要かを考えましょう。

 まず後手の場合。後手は後1でおとぼけスピットを特に打ちたいです。ロストミラーの場合、後手からサイドを取れれば基本的にはサイドレース有利が取れます。したがって、後手では最初からアクロマを握りたい側面がかなり強いです。
 反面、後2は続けておとぼけスピットになるのがほとんどであり、2ターンかけて追加で6枚のロストゾーンを集めればよく、これにはアクロマは1回で十分になるでしょう。3ターンで2回のアクロマを達成したいことになります。


 次に先手。先手は、先2までには4枚のロストゾーンを溜めればよい、ということになります。これは花選び4回あるいは花選び2回+アクロマで達成可能な枚数です。ロストバレットにおいては、先手はロストゾーンを溜める速度で後手には劣りますが、その分溜めるペースに余裕があります。
 つまり、先手は先2で必ずしもアクロマを必要としません。先2でアクロマを使わなかった時、先手は先3で10枚のロストゾーンを揃えようとすると、アクロマ1回と花選び8回が必要になります。これは少々難しい要求で、初手から2-3-3回花選びをする、というのが比較的現実的になるでしょうか。ただ、先3に撃つ技はおとぼけスピットでも十分であることが多く、そう考えるとアクロマは1回打てれば要求値を満たすことが出来ます。

 ……と考えられますが、ここで先手の要求について考えてみましょう。先手は先2のロスト4枚を見据えて、できれば先1でロストゾーンを2枚は溜めたいです。これには花選びを2回できればよいことになります。
 しかし、これがあまり簡単ではないことにお気づきでしょうか。先1からキュワワーで花選びを2回起動するためには、
①2体のキュワワー
②入れ替え札か逃げエネ
③キュワワースタートできなかった場合はもう一枚の入れ替え札
が必要です。そして、このデッキはたねポケモンの枚数が多く(キュワワー4ヤミラミ3ウッウ3マナフィ1リザードン1を前提に12枚)、安定してキュワワースタートできるデッキではありません。ミュウでミュウスタートするよりははるかに低い確率です。
 キュワワースタートしなかったことを前提として考えると、手札の残り7枚にキュワワーにつながる札2枚と入れ替え札2枚が必要になる、ということです。これは安定して求めるにはやや高い要求だといえないでしょうか。
 そして、特にロストミラーにおいては忘れてはいけないのは、「後1にそこそこの確率でキュワワーが倒される」ということです。この場合、キュワワーを二面置きできていたとしても、アクロマに続いて触るか、もう一枚キュワワーを置いて花選びをすることが必要になります。キュワワーに二匹触れなかった場合は最悪で、「アクロマを使用、かつ新しいキュワワーを『入れ替えて』出して、更にもう一回入れ替えてアタッカーを前に出す」ことが前提となります。
 つまり、実は先手でロストミラーを戦う条件には、「先1でキュワワーを2面置き」することも入っている、ということです。
 そう考えた時、デッキのサーチ枚数、また入れ替え枚数は足りているでしょうか。1体ならキュワワーに触れるけど2体は無理、なんていう構成にはなっていないでしょうか。特に、キュワワーが2体場にある事象は、それ自体が次ターンでの入れ替え札を1枚節約することと同義です。

 以上をまとめると、「先手は(先1に2回花選びできるなら)アクロマ依存度が低く、後手は高い。特に後手1でアクロマはかなり打ちたい」ということになります。
 では、これを踏まえてポケギア、そして各種ボールの役割を検討したいと思います。

ポケギアとボール

 ポケギアはアクロマに触りやすくするためのカードであり、その性質上先1では死に札になります。反面、どうしても初手にアクロマから入りたい後手の要求を満たしやすいカードと言えます。
 ロストバレットに入り得るボールは、ネスト、VIPパス、レベル、ハイパー、水晶の五種と言って差し支えないでしょう。そして、この中でも4枚採用が絶対的なのは霧の水晶です。

①水晶は超エネルギーを呼べるので、疑似的な入れ替え札としても機能します。特に、入れ替え札を温存しながらゲームを進行する場合、毎ターンの入れ替えのうち1回は「逃げ」によってまかないたいところです。これを達成するためにもエネルギーに触るバリューは高く、4枚必須です。

②バトルVIPパスは、先1に重要な「キュワワー二面置き」をこれ一枚で達成するカードです。反面初手以外の役割が存在しません。

③ネストボールは、手札コストを要求せず、この中では安定してウッウとリザードンに触れるカードです。

④レベルボールは枚数不足を補うカードになるでしょう。手札に加えることが出来るので、ルチャブルを採用するなら5枚目以外の役割があります。

⑤ハイパーボールは手札コストを要するので、初動としての換算は不可能でしょう。今回は除外して考えます。

 先程の説明で、「意外と初手の要求が高い」ことをご理解いただけたと思います。キュワワーを2面置きして2回花選びをするならば、キュワワーを二回前に出したい。これを重く見るならば、水晶は紐、入れ替えカートに次ぐ三枚目の入れ替え札となるのであり、これを使って超エネルギーを逃げエネにしたい瞬間は多々あります。そう考えた時に、キュワワーを呼べるボールの数はネストと水晶の8枚で足りるのでしょうか。ここに入れ替えやネストを使って、次のターンのウッウ置き+入れ替えが安定するのでしょうか。

 ウッウはネストボールでしか呼べませんし、このデッキはどこまで行っても「取捨選択をしながら」縦引きをするしかないデッキです。その中で、ネストボールをロストしないといけない瞬間や、ネストボールを守るためにスイッチャーをロストしないといけない瞬間はあるでしょう。こうした動き自体が、このデッキの弱みのように思っています。

 したがって、現状の私は、ボールは8枚では足りないのではないかと思っています。バトルVIPパスやレベルボールのような、追加のボールの採用がポケギアよりも優先度が高いように思っています。
 また、バトルVIPパスの採用枚数に関しては、4枚である必要は全くないでしょう。終盤の腐り札や、手札干渉後の死に札になることは既に指摘がある通りですし、多投のデメリットも存在します。しかし、「キュワワー二面置きのルートを増やす」という意味では、1枚採用から十分に価値があると考えています。ネストボールとの採用バランスを考えたいところです。

 確かに、ポケギアを持つことで序盤は安定しますし、アクロマの実験は強力です。しかし、今の私にとっては、キュワワーを常に二面置きすることの方が、アクロマの実験を毎ターン打つことよりも(特に先手では)重要だと感じています。その点、ボールを増やすことで、別の視点からの安定性が担保されるといえるのではないでしょうか。
 ポケギアの採用枚数を検討する前に、「アクロマを打たないといけないのはいつなのか、アクロマを打てたら強い盤面はそのデッキではちゃんと作れるのか」を吟味するのが先なのではないかと思っています。

 乱文・雑文ですがご一読ありがとうございました。最後に参考リストを載せておきます。これはこれで、一つの安定したデッキの形だと考えています。


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