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癒されない怖い話 「たどり着けない・・・」

これも、例の訳あり物件に住んでいたときの話です。人が寄り付かなくなり、トラブルばかりになった頃、こんなことも起こっていました。

わかりやすい立地のはずが・・・

あれはたしか、私の取引先(かつての大手音響機器メーカー)から事実上の倒産報告があった頃だと記憶しています。
経済的にも途方に暮れることばかりなうえにトラブルは増え、以前のように誰かが家に来ることもほとんどなくなっていました。
まさに孤立無援状態だった我が家。

そんなある日のこと、外で会った知人がいただき物をお裾分けしてくれることに。
なんでも、私の家の近くに用事ができたらしく、そのついでに大量にもらった飲料水を届けてくれるというのです。

何曜日の午後なら家にいるという話をして約束したものの、当日いくら待っても知人は訪ねてきませんでした。
こちらから電話するのも催促のようで気が引けたので、結局そのまま。
ところが、後日会った知人から意外なことを聞かされたのです。

実は、知人は当日私の家に向かってくれていました。ところが、周辺をぐるぐる回るだけで、まったく辿り着けなかったというのです。
当時住んでいた家は、その地域なら誰でも知っている建物が建つ交差点からすぐの場所。幹線道路から入ってすぐの住宅街に住んでいましたが、道路から入る目印は信号、住宅街入り口を挟む個人商店2件、バス停、専門学校などわかりやすいものばかり。これらを見落とすなんて、まずありえません。

じゃあ電話すればよかったのに、という人は多いかと思います。私も思いました。
ところが、携帯も繋がらず、諦めて帰ったということでした。

この頃、家にたどり着けない、わからないという人は他にもいて、なんというか、人との繋がりを切られているような気持ち悪さを感じたものです。


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