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2023年に読んだ漫画

今年も残すところあとわずかということで、今年読んだ漫画についてご紹介したいと思います。漫画といえども学びを与えてくれる、今年もよい出会いがたくさんありました。

天幕のジャードゥガル

歴史上最も大きな領土を支配した国のイメージがあるモンゴル帝国。でも私が知っていることは元寇くらいの出来事であり、歴史の解像度がすごく低い部分でした。主人公はそんなモンゴル帝国に滅ぼされたイスラム圏の国の少女です。当初は運命を恨みましたが、その知恵を使ってしたたかに生きていく様が描かれています。当時のイスラム世界の様子や騎馬民族であるモンゴルの人々の生活が解像度高く描かれていて、特に衣装などのディテールにリアリティがあり、作者の方が当時の人の生活を詳細に調べたのだろうなと想像ができます。同じ作者の作品である「ダンピアのおいしい冒険」も時代考証をよく調べているなと知的探求心をそそるものでした。


しあわせは食べて寝て待て

体の弱い主人公が、偶然の出会いをきっかけに薬膳料理に興味を持ち、自分の体をいたわることを通じて内面が変わっていくことを経験していく過程が描かれています。この本を読んで私は薬膳や旬、自分の体調にあった食事を考えるようになりました。もともと日本にあった薬膳という繊細な食文化がファーストフードや機能性食品の文化で上書きされていくのは、とてももったいないと感じます。難しいことはやらなくていいので、季節を意識した食事をしていきたいものです。

セシルの女王

当時無敵と言われたスペイン艦隊を打ち破り、歴史に名を残したイギリスの母、エリザベス女王をとりまく人たちの物語。エリザベス女王の生い立ちをみていると、ぎりぎりの状態を生き抜いてきた人という印象しかなく、本当に女王にまで上り詰めることができるのかという気分でドキドキしながら読んでいます。フィクションだと思いますが、この時代の様相を理解することができ、当時の王室の複雑な人間模様に、当時戦国時代であった日本と同じように跡取りの問題はどの国も苦労してるんだなぁということがわかります。

フェルマーの料理

あの有名なサッカー漫画アオアシの先生が贈る料理マンガ。数学の世界で挫折した主人公が、数学で考える料理の世界に目覚めて成長していくストーリー。数学を料理に当てはめるのは、確かにアリかもと思いつつ、難しくなりがちな話を驚きとともにわかりやすく伝えているところはさすがだなと。
薬膳もふくめて料理の世界は奥深く技術職の人も趣味で探求すると人生の質がもう一段あがるんじゃないかなと考えています。

スキップとローファー

今年読んだ漫画で何が一番だったかときかれたら私にはこの本だなと思います。私は高校時代、受験勉強ばかりしていたせいかあまり記憶がありません。主人公のみつみちゃんは田舎から東京の高校に進学した素朴な女の子です。みつみちゃんは、いつも友達のために真剣に頭を悩ませて、友達もまた、それを感じとって、みつみちゃんを好きになっていきます。
純朴な存在感と真剣に周りの人と関わる姿をみていて、私はあまり大切にしてなかった青春時代の過ごし方をもっと丁寧にすごしていればなと後悔してしまいます。何気ない日常での名言の数々、まるおじさんのオアシスのようなこの作品は私の宝物です。

葬送のフリーレン

こちらはメジャーな作品だと思いますので、読まれた方も多いのではと思います。魔王を倒した勇者パーティの、その勇者も死んだ後に長寿のエルフであるフリーレンが旅を通じて当時の勇者パーティとの想い出の体験価値を深めていく物語です。私はなぜがこのマンガの設定を知ったときにV.E.フランクルが人が幸せになるために必要だと説いた態度価値、体験価値、創造価値のことを思い出しました。人の心や感情をうまく理解できなかったフリーレンが旅で獲得しようとした経験はまさにこの態度価値、体験価値を追体験により強化していく、そんな旅のように思えたのでした。

いかがでしたでしょうか。私の中で特に面白かった漫画をピックアップしてみました。もし興味を持っていただけたら一度読んでもらえると嬉しいです。

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