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【雑記】古典漢文の「鬼」 (2) 『史記』の「鬼」

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2、『史記』の「鬼」

『史記(しき)』という歴史書があります。
「鴻門の会」(項羽本紀)などが採録された、高校漢文に登場するかなり有名な古典漢文です。

『史記』は、前漢時代(前200年ごろ〜0年ちょっと前ごろ)、父の事業を受け継いだ、司馬遷(しばせん)が編纂した、とされています(その後、後漢時代までに若干の補足が行われています)。
内容は、五帝(ごてい)から前漢の武帝(ぶてい)期までの歴史記録です。

さて、この『史記』には、多くの「鬼」や「鬼神」という言葉が登場します。
早速、見ていきましょう。
↓に、台湾の「中央研究院漢籍電子文献資料庫」というサイトで、『史記』の「鬼」を検索してみました。
かなり画像が荒いので、まあ、そんなもんかと思って、適当に流して見ていただければと思います。

*↓『史記』に絞って「鬼」を検索した結果

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さて、ピックアップされている「鬼」の字に、もちろん注目していただきたいのですが…、
全体を通して見ていただくと、【正義(せいぎ)】、【索隠(さくいん)】、【集解(しっかい)】などの用語が目立つことにお気づきでしょうか。

実は、画像に表示されている漢文は、『史記』の原文だけではありません。
原文だけではなく、後世につけられた注釈も一緒に表示されているのです。

先に『史記』は、前漢時代に編纂されたと述べましたが、その後、古典と化した『史記』には、多くの注釈がつけられました。
注釈がつけられた時期は、【正義】(唐)、【索隠】(唐)、【集解】(南宋)(これらが総称されて、史記三家注と呼ばれます。要するに『史記』の三大注釈です)と言ったところです。
最も新しい【集解】は、南宋ですから、おおよそ紀元1000年過ぎと覚えておけば良いでしょう。
そして、『史記』の「鬼」に対して、これらもまた、注釈を加えているのです。

ということは、『史記』の原文と注釈を通じて、紀元前100年頃〜紀元1000年頃までの「鬼」の意味を一覧できるということでもあります。

次回は、この一連の検索結果から、『史記』と、支那における「鬼」字の意味について考察してみましょう。

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*次回はこちら
→未定

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