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【劇】美しい異国を旅した二時間半☆「B機関」最終公演「毛皮のマリー」

 2018年に存在を知ってから数年間、毎回欠かさずに観に行っていた劇団「B機関」の第一期最終公演「毛皮のマリー」を観に行った。

↑「座・高円寺1」入口

 最終公演の最終日…本当に、もう、終わりなのか?
 寺山修司作品しかやってこなかった劇団。  
 最終公演の演目は「毛皮のマリー」。言わずと知れた寺山修司の名作。そして、7年前の旗揚げ公演の演目。旗揚げ公演の演目で最終公演をして幕を閉じる…なんて粋なんだろう。
 最終公演で最初に戻る。~メビウスの輪のように永遠に続いていきそうだ。

 最終公演の後のアフタートークは、7年間の劇団の感想戦のようだった。主宰の点滅さんは「つらいこと、大変なこともあったけれど、楽しい7年間だった。最初は、旗揚げ公演といいつつ、その一回で終わるくらいの気持ちだった。続けられたのは、周りで支えてくれた方々のおかげ。感謝しかない。」というようなことを言っていた。「劇は面白い。でも、時間がかかる。今回の『毛皮のマリー』も、コロナが流行る前から考えて、3年間も考え続けた。もっと短いスパンで色々なことをやってみたいと思っている。また劇をやることもあるかもしれないけれど…」というようなことも。
 わかる気がする。
 確かに、3年は長い。自分の年齢や元気に活動できる時間から逆算したら、なおさら。
 B機関の劇は、練りに練って作り上げた舞台だということは、すごくよくわかる。作り上げる大変さを「修羅の道」と表現していたのも。その労力にお金を払っているといってもいい。表現者の苦悩とその末にある一瞬のきらめきが人を感動させる。数年間とはいえ、同じ時代に生きてその一瞬一瞬を目撃できたのは、本当にラッキーだった。
 演者さんはもちろん、衣装、舞台、ボディメイク(タトゥのような)、小物に至るまで、一つ一つが美意識を凝縮させたようなモノ。手抜き一切ナシという感じの舞台だ。当然、お金も労力も時間もかかるだろう。限りある人生、違うこともしたい、と思うのはわかる。すごくわかる。

 でも…
 観客としては、やっぱり「劇」として、舞台でもう一度観たい。

 今回の公演は、美しい異国を旅したような二時間半~素晴らしい時間をありがとうございました。
 今、この時代に生きていて、リアルタイムで鑑賞することができて本当によかったと思える劇でした。観客に「生きていてよかった」と思わせるのって、すごい。初めて公演を観た時に、「B機関」にはそう感じさせられた。今はなき劇団「ロマンチカ」(主宰・林巻子)を観た時以来の感情だった。それから数年…最終公演、千秋楽の目撃者になれて、幸せです。

 ありがとう「B機関」~またの機会を待ちながら…

↑「座・高円寺」前の看板~青空が綺麗な千秋楽☆