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『宇宙大作戦』全話視聴した。

 スタートレック・シリーズの最初のテレビドラマ版『宇宙大作戦』を全話視聴しました。全3シーズン、79話。+パイロット版。
 子供だったときに観ていたのだけど、ほぼ覚えていませんでしたね……うっすら記憶にあるシーンが5つ6つあった程度。一方で、メンバーの名前や声(吹き替えで)、しぐさなどはほぼ完璧に覚えていて少し不思議でした。子供のときはそもそもあまりストーリーを理解せずに観ていたのかもしれませんね。

 舞台セットや映像効果などは今見ると大変にちゃちで、コント番組でも観ているかのような風情もあるのだけど、ストーリーは面白く、内容に引き込まれて映像のチープさはあまり気にならなくなります。

 ストーリーはどこかの星に到着してそこで奇妙な事件に巻き込まれるという形式が大半で、通してみるといくつかの決まったパターンがあることにも気づきます。「宇宙大作戦あるある」なんてものを作れそう。

 たとえば、高度な機械知性に支配されるパターン。これは決まって、カーク船長が論理をまくしたてたり矛盾を示して機械知性を混乱させ自滅させるオチになる。機械知性(AI)が現実に身近になってきた現在見ると、いやそうはならんだろ……と思うのは正直なところですが。

 多いパターンと言えば、調査に星に降り立ったところで通信機や武器を取りあげられるというものが非常に多い。妨害などで通信機を使えなくされるとか。そういうところばかり見ている視聴者としては、肝心なところで決まって役に立たなくなる通信機だな! と思わず言いたくなります。そういうことが何度もあるのだからいい加減に対策しておきなさいよ、って。

 逆に、宇宙船に乗り込んでこられるパターンも多いかな。勝手に乗り込んでこられるパターンと、招待して乗せた人が案の定おかしなことをし始めるパターン。この人はたいてい宇宙船エンタープライズを乗っ取ろうとします。中には、カーク船長たちの体自体を乗っ取ろうとするパターンもいくつか。

 ……いやパターン分析をしたいわけではないのでこのあたりでやめておきます。

 それにしても、子供のときに観ていても気になっていたのだけど、星に降りて危険な目に遭うのがいつも上級士官の面々(つまり、メインキャストの面々)というのが。順位で言うと、カーク船長、スポック、チャーリー(スコット)が指揮権を持ち、ドクター・マッコイもかなり重要な地位にいるのだけど、この面々がそろって星に降りることもあって、いやいやそれはないでしょうと……。そもそもカーク船長がみずから探検に出ること自体おかしいが。ドラマの都合上だというのはわかっているけれど、これはやはりどうも気になるところではあります。
 ちなみに、彼らメインキャスト以外に保安員らが付いていくこともありますが、彼らは決まって早々に死んでいつものメインキャストだけが残ることになります……ので、ああ、死亡要員だなと最初にすぐわかってしまうのですが。

 ところで気になると言えば、女性乗組員の服装。普通に直立していても中が見えそうなミニスカートで(中は下着ではなく、同色のパンツのようですが)、それよりもっと気になるのがダルダルの首元。男性乗組員の首元はしっかりしているのに。女性はみんなだるーん。胸元がきわどい。ミニスカートはまだしも(社会的にもミニスカートが流行っていたという背景もあるので)、しかしこのダルダルはさすがにおかしいですねえ。

 それにしても、きれいな女優さんだなと思って調べると亡くなっていたり八〇歳とかだったりするのが少しもの悲しいものがありますね……

 気になると言えば、カーク船長やマッコイらがスポックの耳をよくからかうこと。あるいは感情がないことについて。宇宙大作戦のこの時代って差別などはいっさいなくなった時代の設定なのですよね。スポックはもちろん差別されているわけではないのだけど。それとも差別意識がないからこそ、冗談を言ってからかえるということなのだろうか? まあスポックもそれで嫌がっているわけでもなく、逆に言い返したりもしているのですが。

 そのスポックですよね。このシリーズが成功した要因のひとつは。エンタープライズに乗っている異星人はスポックだけということもあり(少なくとも描かれている限りでは)、存在感がすごい。どんな危機に陥ってもスポックが出てくれば安心できる。カーク船長が危機にあってスポックが代わりに指揮を取っているときの頼もしさったらない。スポックは明らかにカーク船長より優秀ですよね。
 そのスポックも何らかの罠などにはまっておかしくなることも何度かあるのですが、逆にこのときの絶望感ったらないのですよ。

 なんとなく突っ込みどころばかり書いてしまった気がしますが、それがあっても面白いドラマですね。
 好きな話気に入った話はいくつかありますが、ああすごいなと思ったのは、11話12話の「タロス星の幻怪人」ですかね。唯一前後編ある話です。
 構造が凝っていて、このシリーズが始まる前にパイロット版として最初に撮られた「歪んだ楽園」が挿話として挟まれています。「歪んだ楽園」自体ちょっとしたどんでん返しがある話なのですが、「タロス星の幻怪人」はその上に重ねてさらにどんでん返しが加えられているのです。そして全体として二重に感動できる話に仕上がっています。必見ですよ。

 ところで、最終話は、最終話らしさが何もありませんでしたね。いつものようにひとつの話が終わるだけ。「宇宙船U.S.S.エンタープライズ号の驚異に満ちた物語はこれからも続く」的なアナウンスくらいあってもよさそうなものだが、それすらない。なんだかあっけなかったです。話自体は別として。

 さて、私は引き続き、『新スタートレック』の視聴を始めます。『新スタートレック』は全176話もあります。『新スタートレック』はまったく観たことがありません。わくわくします。
 あと、映画も観ないといけませんね。忙しいです。


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