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タワー・オブ・テラーの歴史 その2 〜アトラクションの歴史を探ろう〜

↓その1はこちら

どうも、マリオの映画観てきました、みつきです。

それはそれとてタワー・オブ・テラーの話、ここで前回の世界のタワー・オブ・テラー年表をもう一度おさらいしておく。

前回に引き続き1994年にディズニー・MGM・スタジオ(現在のディズニー・ハリウッド・スタジオ)に一番最初のトワイライトゾーン・タワー・オブ・テラーがオープンした時の話。乗り物が落下するスリル系のアトラクションを作ろうという話にはなったんだけど、ディズニーパークのアトラクションならただスリルがあるだけでなく没入できるだけのストーリーが必要、それも乗り物に乗って落下するというあり得ない状況が飲み込めるだけのストーリーが。

"File:The Great Movie Ride and Chinese Theater at Walt Disney World.jpg" by Jedi94 is licensed under CC BY-SA 3.0.

そんな試行錯誤の中で考案されたストーリーの1つが「泊まれるホテルの中にアトラクションを作る」というもの。パークから帰った後もアトラクションが楽しめて、さらにホテルのエレベーターなら落下するスリルアトラクションにピッタリ……と良い案に思えたが、パークで一日遊んでクタクタになって帰ったホテルで誰がスリルあるエレベーターに乗りたいの?ということでこの案は没になり、代わりにエレベーターが落下するホテルという案は残った。

エレベーターが落ちるほどのホテルなのだから、寂れて恐ろしげで今にも何か出てきそうなホテルが最適。そのためかなり怖いストーリーも考案されたらしいんだけど、ディズニーパークはあくまでファミリーエンターテイメントなので家族が安心して乗れるような内容でなければいけない。そんな絶妙な塩梅の怖さを提供してくれるストーリーは、なんと1960年代のテレビにあった。

画像出典:A dimension of sound, sight and mind: The legacy of The Twilight Zone | ATH Network
https://athpod.com/2019/02/01/dimension-sound-sight-mind-legacy-twilight-zone/

「トワイライト・ゾーン」という1960年台にアメリカで放送されていたドラマがあった。毎回違う内容で、どの話もごく普通の人々の生活に奇妙な出来事が起こるというお話。昔日本のテレビで放送されていた時は「ミステリー・ゾーン」って名前だったらしいけど、とりあえずあの有名なテーマソングを聞いたことある人はかなり多いんじゃないかなと思う。

内容は言ってしまえば「アメリカ版、世にも奇妙な物語」です。というか世にも奇妙な物語はトワイライト・ゾーンの日本版をイメージして作成されたものだからね。

そんなトワイライト・ゾーンからインスパイアされたタワー・オブ・テラーのストーリーを見てみましょ。舞台は1939年代のハリウッド、とあるホテルを訪れた映画スターや少女などの5人組がエレベーターに乗ったところ、ホテルの前面の建物に雷が落ち、建物がその中のエレベーターごとどこかに消えてしまった。その後ホテルを訪れたゲストは雷によって消えた5人と同じ体験をすることになる……という感じ。因みに「ホテルの前面が雷で消える」というストーリーになったのは、ホテルから何故か外の景色が見えるという状況の整合性を取るため。落ちるアトラクションなのに一番上からの景色が見えないのは勿体無いからね。

"Disney - Tower of Terror Ghosts (Explored)" by Express Monorail is licensed under CC BY-NC-ND 2.0.

ストーリーが練られている間に、アトラクションの体験にも試行錯誤が行われていた。普通の遊園地の落下式アトラクションは乗り物を上まで持ち上げて重力任せに落とすのが普通だけど、ディズニーのクリエイター達はエレベーターの巻き上げ機を逆向きに回転させれば重力よりも速い速さでエレベーターを落下させられることに気がついた。これだけでも凄い試みだけど、なんと「エレベーターが前に進む」という演出までも行われた。

具体的にはエレベーターがとある扉の前で止まると、扉が開き前に道が現れる。するとゲストが載っている座席がそのまま前へと動き出し、トワイライト・ゾーンのオープニングをイメージした道の中を進み出す。エレベーターが上下するのは予想できるけど、まさか前に進むことまでは予想できない。因みにどんな仕組みになっているかというと、まずエレベーターとゲストの乗る座席は別の乗り物になっている。そしてゲストの乗り物には車輪が付いており、地面に張られたワイヤーの軌道を辿って前へと動く。道の奥には2つ目のエレベーターがあり、エレベーターの中に入ったら乗り物とエレベーターが固定される。

↓何を言っているのか分からないという方はこちらの動画をどうぞ

この面白い演出は残念ながらディズニー・ハリウッド・スタジオにしかないんだけど、東京ディズニーシーのタワー・オブ・テラーでもちょっとだけ体験できる。タワー・オブ・テラーの座席に座ってからエレベーターが動く前、ちょっとだけ乗り物が後ろに動いているのが分かるはず。実は乗り物のシステム自体は全く同じものが使われていて、最初に乗り物をエレベーターに乗せるためちょっとだけ乗り物をバックさせているのだ。

"Disney's Hollywood Studios" by Roller Coaster Philosophy is licensed under CC BY 2.0.

こうして作られた「トワイライトゾーン・タワー・オブ・テラー」は1994年7月22日にオープン。瞬く間に大人気アトラクションとなり、以降10年くらいは世界でもディズニー・MGM・スタジオでしか体験できない凄いアトラクションとして有名だった。

それが変わったのは2001年、カリフォルニア州の観光地をテーマにした「ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー」というパークがオープンした。カリフォルニア州の観光地ということでその中にはハリウッドをテーマにした「ハリウッド・ピクチャーズ・バックロット(現在のハリウッド・ランド)」というエリアがあり、そこに2004年にトワイライトゾーン・タワー・オブ・テラーがオープンした。

"Twilight Zone Tower of Terror, Hollywood Land, Disney California Adventure, Anaheim, California" by Ken Lund is licensed under CC BY-SA 2.0.

このトワイライトゾーン・タワー・オブ・テラーはディズニー・MGM・スタジオにオープンしたものからいくつか変更が加えられた。先程話したエレベーターが前に進むシーンは完全に無くなってしまったんだけど、代わりにエレベーターの数が2列から3列に増えた。トワイライトゾーン・タワー・オブ・テラーは1台21人乗りでエレベーターを占領してしまうのであんまり回転効率が良くない。でもエレベーターが3列あって、さらに乗り場が1階と2階で合計6つも用意されたのでかなり効率が良くなった。またエレベーターが前に進む演出を無くしたことの別の利点が後々判明したりするんだけど、それはまた後の話。

さて今日はここまで。次回はいよいよ東京ディズニーシーのタワー・オブ・テラーの話をしてくよ。ではでは。

〜note限定おまけ〜

"One of These Things" by Peter E. Lee is licensed under CC BY-NC 2.0.

まずはこちらの写真をご覧ください。これはウォルト・ディズニー・ワールドにある「エプコット」というディズニーパークの、モロッコをテーマにしたエリアの写真。この写真の奥に高い建物があると思うんだけど、実はこれ、ディズニー・ハリウッド・スタジオのトワイライトゾーン・タワー・オブ・テラーなんです。

ウォルト・ディズニー・ワールドって面積だけなら東京ディズニーリゾートの50倍くらいあるのであんまりパーク内から他のパークが見えることってないんだけど、トワイライトゾーン・タワー・オブ・テラーは高すぎたので隣のパークから見えちゃった。そこであえて隠すのではなく、トワイライトゾーン・タワー・オブ・テラーの色合いをモロッコのエリアの建物の色に近づけることで景色に馴染ませているというわけだ。

↓その3はこちら

↓下の❤️を押すと東京ディズニーリゾートで撮った写真と一言コメントが見られます。

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