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幸せのマザーシップ、Sioとの遭遇。

あの日、ただの興味でタップした支援のボタンから、僕の幸せははじまっていたのだと思う。
あれから一年、コロナで大変でしたけど、
その中にあって大きな存在となって、
僕を支えてくれたSio。
どんなに言葉を紡いでも足りない気がしてしまって、何をどう書けば伝わるのか、
それでモヤモヤしてしまい、
書こうと思っては筆を、というかタイピングを止め、また少し書いては止め、を繰り返し。
嗚呼、僕は本当にコピーライターの端くれなのかと嘆きつつ、2020年の終わりがまるで入稿日のように思えてきて、ようやく重い指を動かしはじめてみたのでした。

フレンチなのにラーメン?

2019年12月29日、
年の瀬にも関わらずボーッとTwitterを見ていたら、
「1つ星フレンチがクラファンでラーメンやります」
というTweetが目に入ってきた。
しかもオンライン料理教室もついてて、すごいお得感。お店の名前もシェフの鳥羽さんも知らないけど、まあいいや、踊らにゃそんそん!躊躇なく飛び込んだ。

僕はよく、いろんなところに飛び込んでみる。
後先も考えずに、とりあえずやってみるのが好き。
ひょんなことがきっかでブータンで公衆トイレを綺麗にするプロジェクトをやってLIXILさんからトイレ2,000基もらったりと、自分でもよく分からないことをやっている。本業は広告会社を経営するクリエイティブ・ディレクターなんです。思えば今年はよく飛び込んでいて、
2月に生涯続けたいと思った金継ぎに出会い、コロナになってからはオンラインピラティスも始めてみた。何でもやってみなくちゃ分からないっす。
そんな気軽な感じで参加を決めたSioクラファンでした。※写真:ブータンでトイレチームと記念撮影

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はじめてのSioへ

クラファン申し込んでから3ヶ月。
待ちに待った、
というかちょいと忘れかけてたクラファンラーメンは、なんとコロナ真っ只中。田舎は偏見が強いところもあって、東京に行くなんてもってのほかだ!という空気。
それでも行きました。美味しいものの予感がしたし、何より自分で参加表明したんだから、行くのが礼儀。
Sioの皆さんだって準備をして待ってくれてるから、
来る人はずの人が来なかったらきっと残念な気持ちになる。仕方のないこともあるけど、できるだけ誰かを悲しませることはしたくない。

まだ見ぬ鳥羽シェフは写真がこわすぎて、
話しかにくいなとか、店には緊張感が走りまくってて、粗相したら怒られるんじゃと少し不安なままお店へ。そもそもフレンチはあんまり行かないし、
敷居が高そう感がすごいので。

でも、そんな不安はどこへやら。
みんな明るく元気に迎えてくれて、
うれしい気持ちが溢れてくる。
BGMがなぜか90年代JPOPなのが良かったのかも。
そして写真がこわすぎた鳥羽シェフは、、、
厨房の真ん中の方にでんと立っていた。
おお、やっぱちょっと恐い人?と思いながら、
自分の席へつく。
ほどなくして、席が埋まっていき、ほぼ満席。
気づいたら漂う潮の香り。
運ばれてくるラーメンどんぶり、
中を覗いて見ると、透き通るスープに、
細い麺が浮かんでいて、上には白髪葱。
そして何だこれ、山椒の香り?と思っていたら、
恐そうな鳥羽シェフのプレゼンがはじまる。
寡黙な想像をしていたんですが、
マシンガンのようにラーメンへのこだわりを語ります。しかも全然偉そうじゃない、不思議なほどに。
何ならチャーミングですらある。
鳥羽さんめっちゃ喋るやん!
ラーメン愛というか、料理愛が爆発しちゃってて、
僕の想像は一瞬にして崩れ落ち、途端に親近感が。
というのも、僕もよく喋ると言われてまして、
気づいたら夢中で話しちゃってることがあるので、
いや、これ広告の人間としては微妙かもしれません、基本的に相手のことを考えるのが広告なので。

味はもう、言うまでもないです。
写真撮ろうと思ってたんですが、
あまりに早く食べたくて慌てて撮ったので、
とてもいい加減な写真になったのであります。
ああ、もっときれいに撮っておくんだった。

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あと、幸運だったのが、僕が座っていた席は、
鳥羽さんと話しやすい場所だったので、
いろんな話を近くで聞くことができて、
ちょっと質問もできちゃったりしたんですよね。
だからこそ、
たぶんあの場にいた誰よりも鳥羽さんの情熱に心動かされ、ラーメンにかかっていた山椒と、
ラーメンとともに現れたしらす丼で使われていた、
山利さんのしらすはその場でネット注文。

そして最後にはSioディナーの予約です。
だってラーメンをこんなに丁寧に研究しまくって、
自分たちの世界観の中にラーメンを取り込んでしまう人たちの本来の料理って、
もう美味いにきまってますよね。会社でもよく言うんですが、デカイ仕事だから頑張る人は信用ならない、逆にすごい小さな仕事をちゃんとする人はすごい信用できる、と。いや、Sioラーメンも大きなプロジェクトでしたが、本来はフレンチなわけでして。あとは、ラーメンで終わらせたくないというか、美味しいラーメンへの感謝は夜の予約で示したいなと思いまして。

予約は約束だから

3月末の予約は、
それこそコロナで本当に大変な時期になっていて、
田舎はますます偏ってきて、
東京に行く人は罪人扱いされる勢い。
まあでも、行くに決まってました。
予約って約束なんです。約束は破りたくない。
ましてやあのSioとの縁を大切にしたい。
ちょっと大げさかもしれませんが、
そんな気持ちでした。
関東の仲良し2人と3人で夜のSioへ。

それこそコロナの影響もあり、
クルマで来てた友達はノンアル。
で、ノンアルコール・ペアリングをお願いしてみたら、これがすごかった。アルコールペアリングでシャンパンやワインを選ぶのもすごいけど、ノンアルペアリングはぜんぶオリジナルで作るんですからね。美味しいと驚きの連続です。

料理はもう、あれです、言葉にならない。
すべてがひとつの物語になっていて、
お皿ひとつひとつに役割があって、
あっという間に時間がすぎてしまう。
フレンチってこんなんでした?
複雑なんだけど、シンプルな味わい。
噛んでいくとやっぱり奥深い。
新しいんだけど、懐かしい「美味しい」という感覚。子供の頃、オムライスやカレーを食べた時に感じた、純粋無垢な「うまっ!」に似ている。
この感覚が正にSioの愛だったことは、
後になって分かるんですが。

おうちでsioはただのレシピじゃなかった

ほぼ毎週行っていた東京も、
いよいよコロナで行けなくなり、
ついには緊急事態宣言。
会社の売上もドーンと下がってしまい、
どうしようかなと思っていたら、
コロナ関連で相談いただくことも増えて、
何だかんだで忙しい日々が続きました。
妊娠4ヶ月の妻に近くにいられるのも、
これはこれで良いことだなと思い、
出張のない日が続きます。
そして僕はまた、Sioと出会うのでした、
今度はTwitter上で。

4月11日、鳥羽さんがTwitterにアップした、
チャーハンのレシピ。驚いたことに、
ピラフを炊いてからチャーハンを作るという。そんなの見たこともなければ聞いたこともない。
クラファンラーメンと同じく、
またもや好奇心スイッチが入ってしまって、
すぐやってみたら、これが本当にパラパラなのにしっとりしていて。油たくさん使うとか、卵コーティングとか、そういうのはあったんですけど、まさかの炊飯からとは。で、Twitterにアップしたら鳥羽さんが返事をくれて。クラファンラーメンの時の会話が蘇るようでした。
いや、この時点で会ったの1回だけで、話した時間も15分ないくらいなんですがね。


それで、これが思いつきの一回ではなくて、ここから怒涛のようにレシピが現れてくるんです。#おうちでsioは、おいしいレシピの目印になりました。
もうそこからはTwitter見ながら夢中で作りました。
酢豚、唐揚げ、手羽先チューリップ、エビチリ、レモンサワー、無限パスタ、明太子パスタなどなど。だいたい2回以上は作りました。
唐揚げはもう10回くらい作ったかもしれません。
特に胸肉バージョンが好き。
簡単と聞くと、味もそうでもないのかなと思いますが、ところがどっこい。
Sioで食べた時に感じる「美味しい」と同じなんです。何層にも味が重なっていて、食べるほどに深くなっていくというか。妊婦の妻も喜んでくれて、
一緒に楽しくご飯を食べる毎日。
あんまりこういう時間ってなかったので嬉しくて。
それに、大変なレシピだと長続きしないし、
美味しくないとご飯の時間が楽しくないし。
だからおうちでsioは、
僕にとってはやりがいの楽しみの源泉になったし、
おかげで気持ちは常に前向きでした。
鳥羽さんの無料レシピを届けるという姿勢は、
「自分も社会に対して何かやらなくちゃ」という気持ちにさせてくれて、微力ですが、地域のレストランを応援するために、地元のお店でランチとかディナーをテイクアウトしてくれたら費用負担する取り組みをはじめたり。おうちでsioは、ただのレシピじゃなかったんです。
※写真:僕のカメラロールはおうちでsioフォルダあります。

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妻をSioへ連れて行きたくて

そうこうしているうちに、緊急事態宣言があけて、
また少しずつ東京に行くようになりました。
出産しちゃう前に、
どうしても妻をSioにつれて行きたくて、
親族には内緒で、9月出産予定の妻を、
8月に東京に連れて行っちゃいまして。
あ、僕は富山県黒部市に住んでまして、
東京へは新幹線使って2時間半くらいかかります。
バレたらめっちゃ怒られそうなやつです。
いやでも、生まれちゃったらしばらくこられないから、ええい!ままよ!というやつでした。
Sioは人気店から更に人気店になっていて、
予約がとれただけでもラッキーで。
この日は鳥羽さんがいたので、実に5ヶ月ぶり。
おうちでSioで結構なやりとりをしていたので、
久しぶり感がなくて。
いや、友達みたいに聞こえますが、
このとき会ったの2回目です、すいません。
久しぶりのSioは、おうちでsioの経験がベースにあるので、単なる美味しい料理ではなくて、
背景にあるSioの皆さんの気持ちが感じられる料理になっていました。妻も喜んでくれて。

ご縁は続くよどこまでも

それから、おうちでSioがレシピ本の中で、
僕の作ったレモンサワーを紹介してもらったり、
また縁をいただいたり。
嬉しくてレシピ本10冊以上買って、
出張の際の手土産にしてみたり。

10月は4日で2回もSioに行くことになったり。
1回目は自分で予約した席で、
3日後のは、僕のFacebook投稿でSioに行きたいと思って予約した席に、お誘いいただいたというご縁でして。

経営者としての鳥羽さん

食事が終わって、帰り際に少しだけ鳥羽さんとお話しすることもあります。
「作りたい料理なんてないんすよ。お客さんが食べたいものをつくるんす」
「僕ばかりが料理できても仕方ないんすよ。僕がいなくても成り立たないと」
フレンチのシェフがこんな考えとはびっくりで、
まるで僕らと同じ広告業界のスターと話しているような錯覚に陥ります。僕らの世界でも、自己表現してる人は評価されません。もちろん、お客さんの言いなりということでもないんですが。それに人の成長を考えないリーダーにもあまり未来はありませんし。そういう意味で、
なんか話が合うなあと思ってしまいまして。
鳥羽さんは優秀なシェフであると同時に、
優秀なディレクターであり、
経営者でもあるんです。

神はサラダに宿る

o/sioやパーラー大箸にもちょいちょい通ってます。
料理の種類は違いますが、気持ちは同じなんだなと思う料理ばかり。僕のお気に入りには実はサラダなんです。
洋食のサラダって、そこにあるだけのものが多いんですけど、o/sioとパーラー大箸のサラダは別世界。
野菜が美味しいのはもちろんなんですけど、
ナッツが入っているから食感が楽しいし、
フルーツが少しだけ入っているから酸味と甘味が美味しい。神はサラダに宿る。

幸せのマザーシップ

Sioのビジョンは「幸せの分母を増やす」です。
幸せになる人をひとりでも増やしたい、
ということだそうです。
ビジョンを掲げても、実行している人や企業はそう多くない気がしますが、
鳥羽さん率いるSioはガンガン実行しています。
だからクラファンでラーメン好きを幸せにして、
おうちでSioで全国の食卓に革命を起こしました。
そして答え合わせのために、
Sio、o/sio、パーラー大箸に行く。
で、また日常に戻っておうちでsioをやっていく。
これで一体何人の人が幸せになったんだろうかと考えると、分母が爆増していることが想像できます。

Sioは幸せの母艦、マザーシップ。
誰も取り残さないリーダーシップと、
リーダーと組織を信じて疑わないフォロワーシップで作られた、幸せを運ぶ船。
今日もまた、幸せを求めてたくさんの人がお店を訪れ、全国のおうちでレシピが幸せを増やしているに違いない。僕もそのひとり。
これからも、たまに船に乗せてもらっては、
旅を長く続けられたらいい。

おわりに

あー、やっと書けたー!
やっぱり僕は締切がないと書けないのかもしれない。アーティストにはなれないので、
目的芸術の世界で生きていこうと思いました。
ここまで読んでいただけたら本望です。
ありがとうございました。



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