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僕の好きなレストラン

僕の好きなレストランは
お店の外でウェルカムしてくれる
お店に入るとみんながウェルカムしてくれる

らっしゃいっ 今日もいいやつ用意してますぜ
とは言わないけど
顔にはそう書いてある

シェフの料理は技術も去ることながら
お客のことをよく見てタイミングを見極めて
作られている

絶妙なタイミングで仕上がったお皿を
すかさずサービスが持っていく
丁寧に温度管理されたお皿は
熱々で冷え冷えだ
きっと持つのも大変だろう

でもお皿を運ぶサービスマンたちは
にこにこしている
彼らは知っている
そのお皿がどんなに美味しいのかを
きっと彼らがいちばんのファンなのだ

嬉しそうに
けど自慢ではない口調で
澱みなくそして短めに説明がある
まるで最後のスパイスのようだ

無駄なく澱みなく
威張らず媚びず
そこにあるのはお客のために
それしかない

糸を紡ぐようにコースが設計されている
素材そのものを味わう
複雑なレイヤーを愉しむ
箸休めも忘れない
怒涛のメイン
お腹に合わせてもう一品
コースの最後の印象になるデザート

疑問に思えばすかさず誰かがやってきて
さらに深い説明がはいる
いつもお客を気にしているからできる芸当

あっという間の2時間

彼らに預けた僕の2時間は
忘れられない時間になる
別れのときは寂しさすらある

それを分かち合うかのように
丁寧に見送ってくれる
また来てほしいが溢れている

僕の好きなレストラン
料理は体験の大切な要素であるが
全てではない
美味しいから良いなどと微塵も思っていない

お客の時間を責任と覚悟を持って預かってくれる

だから美味しいを超える
そこに在るのは嬉しいや気持ちいい
そう 感動という領域に達する

レストランは好み
料理もサービスも好み

でも僕はこのレストランに出会えた幸運に
感謝している

広告営業、広告制作の現場、そして社長業を通した実体験を元に記事を書いています。よろしければサポートをお願いいたします。