鮮やかに奪われた、嫌いなもの。
人間誰しも、好きなものあるように、
苦手や嫌いなものがあります。
それは、簡単には変わらなくて、かなり頑固です。
簡単に嫌いになるなら好きとは言えないのと同じように、簡単に好きになるなら、嫌いとは言えません。
好きなものを嫌いになるのと同じように、
嫌いなものを好きになるのは大変なことです。
変わるには衝撃的な体験が欠かせません。
すき焼きが好きじゃなかった。
甘い、甘い、甘い、くどい、しつこい。
このいい肉は肉のままが美味しいはず。
と心の中で絶叫しながら食べていました。
生牡蠣が好きじゃなかった。
磯の香りが生っぽい、
クリーミーがちょっと気持ち悪い、
にゅるにゅるしてて苦手。
鮎が好きじゃなかった。
川魚特有の泥臭さがある、内蔵がやたら苦い。
食わず嫌いじゃなくて、食って嫌い。
さらに嫌いな理由もはっきりしている場合、
本当に変えるのが大変です。
あと、基本嫌いなものを好きになろうとしません。
嫌いなものは、嫌いのまま。
頑なに拒み続ける人生です。
好きなものを奪われたくない気持ちくらい、
嫌いなものを奪われたくないんです。
しかし、人生何が起こるか分かりません。
衝撃的な体験によって、
嫌いがどんどん奪われてしまったのです。
犯人はチームSioという、
しあわせの分母を増やし続ける集団。
奈良にある、すき焼きレストラン「㐂つね」は、すき焼きをコースに仕立てています。前菜からはじまって、メインがすき焼きです。なので、甘くない、くどくない、むしろ奥深い。焼き方、割り下の量、調味料の加減など、3回のすき焼きをすべて丁寧に調整してくれます。すき焼きが食べたい!と思うようになりました。
代々木上原にある総本山Sioでは、毎年夏のコースに鮎が入ります。鮎ってのは泥臭いのがいいんだよ!などとは一言も言わずに、キレイに臭みを消しきっていて、鮎本来の旨味のみを残してくれていて。毎年夏になると鮎を食べたくなります。
今年の10月に集大成としてオープンしたHotel'sでは、生の牡蠣を出してくれます。でも、ただの牡蠣ではありません。貝柱も超うまい、八朔という牡蠣です。さらに磯の香りは一切せず、クリーミーさも抑え、凝縮された旨味だけを味わうことができます。悔しいことに、また食べたい。
何でこんなことになってしまったのでしょうか。
頑なに「嫌い」を守ってきたのに。
今にしてみれば相手が悪かったとしか思えません。
というのも、チームSioは、24時間365日、ひとりでも多くの人に「美味い」を届けようと、あらゆる角度から考えているんですから。お店に入ったときの迎え方、おしぼりの品質、多くのみなさんが感じる「美味しい」の延長線上にある、ギリギリ日常に合わせてくる技術、料理を体験として構成する技術、帰り際、別れ際における心配り、すべてを考えて「美味しい」を生み出しているのです。
こうして、
僕の嫌いなものは、鮮やかに奪われたのでした。
完敗です。いや、乾杯ですかね。
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