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1.真空管とは

本章全体では、各種の真空管の仕組みと、その動作について説明します。

真空管とは、ガラスの容器の中を真空に近い状態にして、この中を電子が飛べるようにしたものです。容器の中に空気が入っていると、空気の分子が邪魔をして電子が飛ばず、電流が流れません。

ガラスの容器の中が真空に近い状態になっているものとして、最も身近なものが電球(白熱電球,蛍光灯)でしょう。白熱電球は、フィラメントに電気を流してフィラメントを熱し、発光させています。このとき電球内に酸素があるとフィラメントが燃焼して無くなってしまうので、気圧を低く保ち、酸素以外のガス(一般に不活性ガス)を充填させています。

昔は真空管や電球に類するものとして、ブラウン管のテレビやオシロスコープ、青緑色に文字が光るオーディオ機器やビデオデッキやCDプレイヤーのディスプレイ(蛍光表示管)などがありました。最近はLEDへの置き換えが進んで見かけなくなりましたが、これらも真空管の一種です。最近、蛍光表示管の技術を用いて、低電圧で動作する真空管が発売されて一般向けに販売されています。この他に、ニキシー管と呼ばれるものもあります。これは蛍光表示管より前に、数字をディスプレイに表示させるために使われていたものです。

現在、真空管は全て半導体に置き換えられた物と思っている方も多いと思いますが、エレキギターのアンプやエフェクターなどでは今でも現役で使われています。また、最近昔ながらのオーディオが若干盛り上がっており、LPレコードがリリースされたり、真空管が新しく開発されたりしています。オーディオにおいても、真空管アンプや真空管を用いたヘッドフォンアンプが少しながら発売されて話題になっています。

本連載では、真空管アンプの中でも、特に低電圧を用いた真空管と、半導体を組み合わせたハイブリッド半導体アンプの製作を行っていくことにします。

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