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3.電場と電荷

真空管の仕組みを説明するために、本節では電場、電荷という用語を説明しておきます。

電荷とは、ある物体が帯びている静電気の量(単位はC(クーロン))です。これも電位と同じく、正の電荷、負の電荷が存在し、磁石のN極とS極の場合と同様、異なった符号の電荷を帯びた物質同士は引きつけられ、同じ符号の電荷を帯びた物質同士は反発します。

ちなみに、電流はある断面を単位時間に通過する正の電荷の量(電子の個数に比例した量)として定義されます。ただし、電子は負の電荷を持つため、電流が流れる向きは、電子が流れる向きと逆向きになります。

最後に、電位と電荷の関係について考えます。簡単のために、物質として2次元平面を考えてみましょう。この平面の各点に電位が存在し、電位の高い場所と電位の低い場所の間には、電位の変化(これを電場(電界)と呼ぶ)が存在し、その強さは電位の傾きE(V/mまたはN/C)で定義されるとします。

注:N(ニュートン): 力の大きさの単位C(クーロン): 電荷の大きさの単位

例えば、次の図のように、距離r(m)だけ離れた2本の線の電位がそれぞれ

であるとき、この間の電場の強さは、位置にかかわらず一様に

と書けます。

ここに電荷を置くと、電荷q(C)が電場Eから受ける力の大きさF(N)は

のように、電場と電荷にそれぞれ比例します。正の電荷の場合には、電場の向きと同じ方向に力を受け、電子のように負の電荷の場合には、電場の向きと反対の方向に力を受けます。

電位を地面の標高に例えて考えると、標高(電位)の高い場所と標高(電場)の低い場所の間には、坂道(電位の変化)が存在します。例えば、上の図において、左の直線と右の直線の間には、その下の図のように左が高くて右が低いような坂道(電位の変化)が存在します。ここに正の電荷を置くと、右向きの力が働き、坂道の下(右方向)に転がります。一方、負の電荷を置くと、左向きの力が働き、坂道の上(左方向)に転がります。

コラム:電子と電流の流れる向き
電子が流れる向きと電流が流れる向きが逆である理由は、電子が発見されるより先に電池が発明されたからです、電池が発明されたとき、電池の+極と-極を電線で繋いだときに電線の中を+極から-極に電流が流れると決められました。その後、電子が発見されたとき、電子が負の電荷を持っていることが分かり、電子の流れる向きと電流の流れる向きが反対になってしまいました。


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