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九月の雨

猫ちゃんへ

前回の手紙からあっという間に1ヶ月が経ち、あなたが旅立ってから5カ月目の秋です。暑さはすっかりなりを潜めて、涼しく爽やかな雨が降っています。あなたのいる場所はどうでしょうか、美しくて快適な場所だといいなと願っています。

5カ月もたてばあなたの気配は消えるかと思いきや、手帳の隙間、衣替えのタンスの中、部屋の隅にたまった埃の中、いろんなところにあなたの毛を見つけました。それを見つけるたびに、あなたの美しい毛並みと暖かさを思い出して、少し幸せで寂しい気持ちになります。私たちが共に過ごした日々は、それはもう毎日が大冒険でした。楽しかったですね。あなたも同じ気持ちでいてくれたら嬉しいです。

さて、友達はたくさんできましたか?あなたと友達がいつ私を見ても大丈夫なように、できるだけ身綺麗にするようになりました。趣味はすっかり美容になり、あなたのいない寂しさを埋める事ができています。
だからどうぞ安心してくださいね。あなた、いつも私の面倒を見ては心配そうに尻尾を揺らしていたから。私は大丈夫です、あなたの旅を想って祈っている間、私はいつもあなたと共にあります。

毎日、本当に毎日、あなたが快適で苦しみのない場所にあって、美味しいものを食べ、陽の当たる場所でよく遊び、夜に包まれてぐっすり眠っていることを願っています。
もし星を廻り、新しい命としてひとりで旅に出ていたとしても、何に生まれようと、その旅路が祝福と幸運にあふれていることを祈っています。

どうぞ善い旅を!

あなたの生涯の友、ミツビシより

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