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みらい会議 総集編

2019年(平成31年)1月と2月に、これまで非公式を合わせて合計11回、人口3,851名(平成31年3月時点)の町で述べ200名近いご参加者にお集まり頂いた総集編として、ご報告会を実施しました。町民・保護者・関係者の皆さまのご要望やご意見を基に、みらい会議を企画・運営して来た株式会社イチバンセンが基本計画を取りまとめて、土佐町および土佐町教育委員会にご報告を準備していることが主な内容です。

みらい会議は多数決の場ではありません
少子高齢化・過疎化が進行する高知県土佐町において、単に保育園の建物が新しくなるだけでは、町民のニーズや地域の課題を解決することは不可能です。
みらい会議は、町民・保護者・関係者に直接ヒアリングを実施し、直接様々な意見を述べる機会であり、ニーズを把握・その場で共有することが目的です。土佐町立みつば保育園の建設計画をどうするのか?現在地での建て替えか?移転新築か?については、事業主体である土佐町が最終的に決断します。

土佐町が掲げる教育方針
土佐町および土佐町教育委員会は、土佐町教育行政方針(平成25年度)や第三次土佐町教育振興基本計画(平成29〜33年度)において、下記の方針を掲げています。参加者にはこれを改めて説明し、共有に努めました。
土佐町の郷土ならではの教育、保育だけではなく、小中高校とも連携し、家庭と生涯教育を一体化させる方針です。

ふるさとを育み、⽣き⽅をとおして社会に貢献する⼈づくり。
養護と教育を⼀体的に発揮し、家庭や地域社会、学校との連携を重視した保育園運営を⽬指す。
郷⼟を愛し、⽣涯にわたって学び続ける教育の創造。
ふるさと⼟佐町に誇りと愛着を持ち、郷⼟の未来を考える⼈の育成。
園児と⾼齢者の交流や絵本の貸し出しなど、⼦どもの⽣きる⼒の基礎を育み、保護者の⼦育て⼒の向上を重点的に⽀援する

既存みつば保育園の良い点・今後も維持・発展すべきニーズ
昭和50 年代に計画された既存園舎は、⼭間部特有の気候や陽当たり、使い勝⼿をしっかり考慮された⽴派な建築であり、設備の⽼朽化を除けば「今のままが良い」という声が多く、保護者・現場スタッフともに満⾜度は⾼い。建築計画的に分析しても、使い勝⼿がよく研究され、現代でも十分通用する秀逸な建築計画と⾔えます。
みらい会議でも下記の点が良い点・今後も活かすべき点として主に下記が挙げられました。建築計画をとりまとめるにあたり、既存園舎の良い点はしっかりと引き継ぐ必要があると思います。
□ すべての保育室が園庭や中庭に開かれた平⾯計画
□ 広い園庭が確保され、⾵通しと⾒通しが良好
□ すべて平屋で導線上・安全上とても安⼼
□ 保護者にとって⽣活する上で⽴地条件が良い

既存園舎の改善点
築40 年近くが経過した園舎に対する改善点要望は実に幅広い。主に収納スペースの拡充、園児の増減に合わせられるよう保育室の余剰スペース確保、トイレの増設、床暖房の復旧、職員室スペースの拡充、搬入動線の分離、玄関の改善、雨天時向け半屋外エリア拡充など、みらい会議で寄せられた改善点の多くは予算が許す限り実現可能です。

みつば保育園の未来に向けた⾃由なアイデア提案
初期のみらい会議では、参加者に⾃由に発⾔・アイデアを提案して頂きました。中には、保護者が共同で使えるキッチンを設置するべき、という提案や、コインランドリーを保育園に併設しては、という興味深いアイデアもありました。具体的な案から奇抜なアイデアまで⾊々ありますが、いずれも「みつば保育園が⽣活の中⼼にある」ことを証明してみせました。つまり、保護者の生活動線と保育園の融合は守らなければならないでしょう。また、プライバシーが確保される⾯談室や安全性を憂慮する意見も寄せられました。

地域づくりに寄与するプラスアルファの機能
上述の通り、実に様々なプラスアルファの機能のアイデア提案が多数寄せられました。地域が一体となって保育・幼児教育を行う上で、プラスアルファの機能は極めて重要です。ただし、このプラスアルファ機能については、期待の声と現場への負担増など⼼配の声など賛否両論あり、議論を継続する必要があります。

理想の平⾯計画
第6 回(10 ⽉17 ⽇実施)では、現在地での建て替えだと仮定して、保護者・町⺠、保育⼠、厨房スタッフそれぞれの⽴場で理想的なプランをパズルで描いて頂きました。この理想プランは新しい園舎の原型であり、かつ既存園舎と共通点も多いことから、これを原型にして建築設計が進められることが望ましい、と思います。

各⽴場で⼀致した事項
□ 園庭〜幼児室(3〜5 歳児)〜中庭〜乳児室(0〜2 歳児)の順に並べる
□ 大きな園庭(3〜5 歳児向け)と中庭(0〜2 歳児向け)は必要
□ 職員室は⾒通しが効く位置に設置
□ 収納スペースの拡充など改善点への対応
意⾒が別れた事項
□ 外部からの⾨(出⼊⼝)は、1 箇所に集約か?従来どおり2箇所か?
□ 食事専用のランチルーム設置は必要か?不要か?
□ プラスアルファの機能は必要か?不要か?

既存園舎の延床面積は1,108.20 ㎡(=約335 坪)であり、みらい会議でのニーズ分析を踏まえて、かつ最新の保育園施設基準(厚⽣労働省)や建築基準法等の法令・条例を加えて、新しい園舎に必要な規模・各部屋の⾯積が今後計画されます。

未決・未定事項
新しい園舎がいつ?どこに?どうやって出来上がるのか?については、2019年(平成31年)3月末時点において、全く未定です。この規模の公共建築をつくる場合、事業決定から完成まで約2〜3年以上掛かるのが一般的です。

課題点
みらい会議では、現在地での建て替えを望む声が多数寄せられました。ただし、現在地での建て替えには課題点が色々あります。また、移転新築についても、異なる課題点が色々あります。それぞれ一長一短であり、全く未定です。
みつば保育園の現場からは、園舎の引っ越しへの負担を心配する声や、保護者への配慮を求める声が根強く、この点は今後も慎重に検討する必要があると思います。

(了)

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