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結婚式はしないと決めた、私たちの結婚式

私たち夫婦は結婚式を挙げていなくて、たぶんこの先も挙げることはない。
その代わり、入籍前の昨年秋にウエディングフォトを撮った。

その日のことを話すとき、私たちはウエディングフォトではなく“結婚式”と呼んでいる。

人生の中でこれから先もしあわせな瞬間はきっとたくさんあるだろうけれど、今のところその“結婚式”が私たちの人生で一番しあわせな日。
思い出しただけで顔がにやけて心がぽわんと暖かくなる思い出を持てたことが、とてもありがたくて、なんてしあわせなんだろうと思う。

。◯

まず、結婚式をしないと決めた理由は、家庭環境と金銭的な問題からでした。
仕方がないしそれが最善だと頭ではわかってはいるものの、やっぱりやっぱり結婚式への憧れがあったから、わんわん泣いて彼を困らせた日もありました。

ウエディングムービー、結婚式で流す曲、ドレスはあそこのドレスがいいな、なんて何度も妄想してきたし、結婚式で花嫁姿を見せることが親孝行にもなるのだと思うと、涙が止まらなくなりました。

大好きな父に「結婚式はしない」と話したとき、「うんうん、お父さんもそれがいいと思うよ。今はコロナもあるしなあ」と明るく言ってくれて、たぶん全部察してくれてるけどそこには触れずに、ただただ肯定してくれました。
電話を切った後、またわんわん泣いたけど、それですっきり前を向けました。


父にも「写真だけは思い出に残るから撮っておいた方がいいよ」と言われたし、フォトウエディングをすることにしました。
調べてみるとチャペルで結婚式風に撮れるプランがあって、写真一覧を見て「ここがいい!」とふたりがひとめぼれしたチャペルに決めました。



そんな中、撮影1か月半前に私の体調が急変。
体調不良が続いていたのに無理して働き続けた結果、ストレスから全身がぱんぱんに膨れ上がってしまい、首も腫れて呼吸がしにくい状態になりました。
心も身体もボロボロで、仕事は退職してゆっくり療養することにしました。

見た目もひどい状態だったし、撮影は諦めるしかないと思ったけれど、彼は諦めませんでした。
「絶対大丈夫。楽しみな目標がまつりちゃんの力になると思うから、変更はしない」と。
迷いのない彼の言葉を信じることにしました。

最低限の体力が戻るまでは彼に任せて進めてもらって、私はとにかく休むことに専念して、ドレスを決めるのもギリギリまで遅らせてもらいました。


そしてドレス決めの日。
気になるドレスは全部試着させてもらって、それが本当にうれしくて夢のようで、その日から急激に元気になりました。
ドレスは女の子に魔法をかけてくれるのです。

選び抜いたピアスとブーケを用意して、当日の髪型も決めました。
結婚式みたいにしたかったから、彼と一緒にリングピローも作りました。
美容院にもなんとか行けたし、彼のタキシードも届いて、準備は整いました。



すっかり腫れも治り肌も元通りになって撮影当日を迎えることができました。
やっぱり彼の言うことは間違いないなあ。彼を信じてよかったな。
そして、私の回復を信じ抜いてくれてありがとう。
この奇跡に感謝して、あとは思いっきり楽しむだけです。


当日は、とにかく全部が楽しかった。
メイクしてもらうのも髪の毛をかわいくしてもらうのも、すごくすごくうれしかった。
低い位置のツインおだんごヘアに、造花をたくさん付けてもらって、うれしくて何度も何度も鏡を見た。
私がメイクとヘアセットをしてもらってる間、彼は後ろのイスに座って、スマホも触らず私をずっと見ていてくれたのが優しくて、こんなに素敵な人のこと、ずっと大切にしようって思った。
彼がセットしてもらってる間、私は彼の靴を準備してたら、メイクさんが優しいって褒めてくれた。

担当のスタッフさんも、メイクさんも、カメラマンさんもすごく優しくてあったかくて、自然体でチャーミングな方たちだったからリラックスできた。
タクシーでチャペルに向かうときだけ、車移動がまだ不安だったのとコルセットで苦しいのもあって少しパニックになりかけたけれど、隣を見たら彼の方が緊張してたから、なんか落ち着いた。笑


たまたまホテルにお茶しに来ていた見知らぬマダムたちが祝福してくださったのもうれしかったし、チャペルは想像以上に素敵で、お庭もとってもかわいかった。

スタッフさんたちがずっと「かわいい」「綺麗」と言ってくれるから、写真慣れしてなくても気分良くノリノリで撮影を楽しめました。笑
バージンロードの歩き方や指輪交換の手順も教えてくれて、結婚式気分を味わえました。
誓いのキスはカメラマンさんの指示で2回したし、しかもストップかけられて「フォトウエディングやとゆっくり撮れるからいいわ〜」なんて言うから、笑いを堪えるのに大変でした。笑


さらに、カメラマンさんが付き合っている彼女さんが、私と同じ名前らしくて運命的でした。
「漢字まで同じ人と出会ったことないからうれしー!」と言ったら、彼女さんも同じことを言っていたそう。うれしいなあ。
特別な日の素晴らしいシンクロに、なんだか全てが完璧なご縁で成り立っていて、どんな出来事だって最善なのだと感じました。


ワンショットでもたくさん撮ってもらったし、かわいいお庭でもたくさん撮ってもらって大満足だったのですが、さらにお店に戻ってから私服に着替えてスタジオ撮影までしていただきました。

私たち、スタジオ撮影のことを完全に忘れていて、本当にいつも通りの服装だった。笑
たまたまふたりともトップスが白でリンクしてたので、カメラマンさんにすっきりと白背景で撮りましょうと言われて、それがすごくいい感じに撮ってくださって、白着ていってよかったあ〜!
何も考えなくても、やっぱり全部が結局最善なのです。

お姫様だっこやおんぶショットまで撮ってもらって、今だからこそ残しておけるラブラブショットが撮れて記念になりました。
後から見返しても私服ショットの方がお気に入りなくらい、楽しくてしあわせいっぱいの写真を撮っていただけました。
本当にしあわせそうなの!笑

それも全部、最高のメンバーにご協力いただけたおかげです。
最後の最後、見えなくなるまでずっと全力で手を振って見送ってくださったとびきりかわいい笑顔が忘れられません。
素敵なご縁に感謝でいっぱいです。


。◯


チャペルのかわいいお庭で撮影中、カメラマンさんにお互いの好きなところは?と聞かれました。

私は「優しいところ」と言って、
彼は「寛容なところ」と言ってくれた。

ん?寛容?
調べてみた。

寛容とは、広い心を持ち、受け入れること。
責めないこと。
許すこと。


そんな風に見てくれてたのか。うれしい。
うんうん、そんな人でありたいな、私。



長くなりましたが、お読みいただきありがとうございました🤵‍♂️👰‍♀️

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結婚式の思い出

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