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コーヒーゼリー♡ロマンチカ

ぷっつん・・・

ふにゃん・・・

とろん・・・

口の中に広がる苦くてほのかに甘い懐かしい味。
子供のころには、大人びた風に感じた味。
それが私の中のコーヒーゼリー。

コーヒーゼリーの存在を知ったのは確か中学生のころだったと思う。
お洒落な入れ物に入れられて、でも真っ黒な食べ物がレトロな喫茶店に飾られていた。
クリームの上に乗った赤いサクランボがかえって印象的に残っている。

そもそも、コーヒーを飲めるようになったのはいつごろか覚えていますか?
小さい頃は、苦くて美味しくないものとして覚えている人もいるでしょう。
小学校の給食で、牛乳に魔法の?粉を入れると出来る、あま~いコーヒー牛乳は好きだった。
それから、徐々にコーヒー牛乳を飲むようになっていった。

中学生の頃には、友達と「ブラックコーヒーって飲める?」って話題になって、飲める派と飲めない派に別れ盛り上がった事もあるのを覚えている。
何でもない事なのに、楽しい思い出ですね。
その頃には、ブラックコーヒーも飲めるようになってて、結構なコーヒー好きになっていて、一日に3杯くらいは飲んでいたと思う。

それから社会人になり、いつの間にか日々の生活にコーヒーが欠かせないようになっていた。
朝の目覚めの一杯から始まって、寝る前にちょっとコーヒーブレイクと常に側にある飲み物となってしまっている。

そんなコーヒーを手放せない人間の中に、飛び込んできたのがコーヒーゼリーだった。
喫茶店のメニューの写真に飾られたコーヒーゼリーは隣に並んでいたプリンやアイスクリームほど華やかではなかったが、凛として並んでいるように私には見えた。
あの頃は、大人に連れて行ってもらい、パフェやケーキを頼んでみんなで食べたりしていたので、自分だけ違うのを食べたいとは言えなかった。
一人でお店に入る勇気もなく、そこで選んだのがスーパーとかの棚に並んでいたコーヒーゼリーだ。
これならお小遣いで買えて堂々と楽しめる。

お洒落なカップにいれられて、生クリームが別にそっと添えられているそれは、高級感さえ感じられた。
漆黒のそれにそっとスプーンをいれる。

ぷっつん・・・

ふにゃん・・・

とろん・・・

そっと口の中へ。
まず、とろっとした触感。
そしてコーヒー独特の苦み。
苦みの後に残る甘味。

今度は生クリームを入れてみる。
まろやかで、生クリームの後にコーヒーの味が続く。

これがコーヒーゼリーなんだ。

いつも食べているフルーツゼリーのような甘さもない。
でも、大人の味を知ってしまったような感じがした。
申し訳ないが、美味しい~とハマったわけではない。
それから、時々食べるくらいで、あまり気にしないで過ごしていた。

それから、年月が過ぎ・・・
家で料理を作るようになり、簡単なお菓子なんかも作れるようになった。

それはゼラチンを買って、フルーツゼリーを作ったあとのこと。
一箱買っているので、ゼラチンが結構残ってしまった。
フルーツゼリーばかり作るのも飽きてしまう・・・
う~ん・・・。
その時に、頭に浮かんだのがあのコーヒーゼリー。
そんなに手間もかからずに作れそう!

そこで早速、豆コーヒーを淹れて、砂糖とゼラチンを溶かして器に入れ冷蔵庫へ。
半日たって取り出してみると、うん、固まっている。
食べてみるとちゃんとコーヒーゼリーになっていた。
しかも、食べやすい。
なんで、この存在を忘れていたのだろうか・・・。
ほのかな苦みと冷たさが暑い夏にはぴったりだ。
アイスクリームを添えると、甘さが加わりより食べやすい。
サクランボを添えると、まるで喫茶店で見たコーヒーゼリーみたいだ。

今は、食べたくなるとすぐに自分で作るようになった。
豆の種類で味を変えてみたり、ゼラチンの量を変えて硬さを変えてみたりと自分の好みを探索中だ。
作るのも楽しくなっている。

コーヒーが好きから始まって、いつの間にかコーヒーゼリーが好きになっている。
昨今は、コーヒー豆が不作で値段がどんどん高くなっているから、作れる回数も少なくなるだろう。
それでも、きっとあの漆黒でほのかに苦いコーヒーゼリーが懐かしくなり、冷蔵庫に入れている私がいるのだろう。










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