見出し画像

創作童話「ゆめのたまご」

これは生前の国のお話です。なんでも生まれる前の赤ちゃんは、空の国に住んでいるそうです。これは、うちにきた赤ちゃんが私に教えてくれた話です。


ある冬のさなかのことでした。雪が鳥の羽のように空から降っていました。雲の上では、女の子が雲でできている建物の窓辺に座っていました。

女の子の名前は、たまごちゃんといいました。たまごちゃんは、針仕事の最中に雲の下を見下ろしました。その拍子に、針を指にさしてしまったので、指から血のしずくが一滴雲の中へしたたりおちました。そのまっ白い雲のなかへ真っ赤な液体が落ちていく様子を見て、たまごちゃんはこう思いました。(私も雲の下へ行ってみたいなあ)

それから一年がたったときでした。空の国のパパさまがたまごちゃんを部屋に呼び、いいました。

ここから先は

2,154字

¥ 100

よろしければサポートおねがいします! いただいたサポートはクリエイターとして活動費に回させていただきます。