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【台にアニバーサリー】| 毎週ショートショートnote
人々が寝静まった夜の住宅街を走り抜けるのにはワケがある。
冬がはじまってすぐのきゅっとひきしまる空気の中、僕は走る。
時間は決まっているのだ。
そう思うと、焦らずにいられない。たぶん間に合うとはおもうけれど、立ち止まって時計を見る間も惜しい。
白い息が激しく僕の周りを舞う。
アニバーサリーは、もうすぐそこだ。
大きな公園の木々の奥にそれはある。うすい青色に光る台は、まだ開かれていない。間に合った!
「台にアニバーサリーぃぃぃ!!!」
大きな声で叫びながら、鉛筆をたたきつける。
激しい火花とともに、紙吹雪、ポップコーン、キャンディ、ラメ、風船と華やかなパーティアイテムが飛び出してきた。
こんなモノに意味がないことはしっているけれど、アニバーサリーの時期になると、ここで一年がたったことを祝うのだ。
だれのためでもない自分のために。
最後に飛び出してきたケーキを捕まえながら、こころのなかでつぶやく。
「おれ、おめでと。」
……
「“セルフイマジネーションスタンドアニバーサリー”はいかがでしたか?」
男の声が聞こえる。
ああ、こっちが現実だった。
大きな革張りの椅子にゆったりと腰かけたまま、目を擦る。
「こちらは若いころの自分を脳内で動かしながら、心身ともくつろいでいただける新しいリラクゼーションなんです。お試し版は気に入っていただけましたか?」
「今はあんな風には走ることもできないですからね。とても爽快感がありました。ところで“台にアニバーサリー”とはなんなのですか?」
「それは毎週ショートショートのテーマですね。デフォルトの設定なので変更できません。」
【あとがき】
#毎週ショートショートnote
noteでショートショートをかくぞ!でもみんなどうやってるんだろ?と検索していたところ、たどりついたのが たらはかにさんでした。
今週も参加させていただきます。
たらはかにさんおめでとうの気持ちで楽し気な話にしてみました。
本当は最初生首を台に置く話を思いついたのですが、記念日にはふさわしくないなと思い変更しています。
前の週のお題で書いたものはこちら↓
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