見出し画像

今の社会でヒーローになるために必要なもの from MIT's 2020 Commencement Speech

学生時代、英語の勉強をしていた時にCommencement Speech(卒業式でのスピーチ)を教材としてよく活用していました。若者に向けての励ましとも感じられる数々のスピーチを聞くと苦手な英語の勉強も頑張ろうと思うことができ、英語の勉強というよりは自分のスイッチを入れるためによく聞いていた思い出があります。

その中でもSteve JobsやDrew Houstonのスピーチが特に好きで一時期は暗唱できる程に聞き込んでいました。Steve JobsのConnecting the Dotsは全て聞いたことはなくても知っている人は多いのではないでしょうか。

そんなCommencement Speechですが、今年のMITでAdmiral William McRavenが行ったスピーチがとても良かったので感じたことを書き残しておこうと思います。

今の社会でヒーローになるために必要なもの

スピーチは最近の社会情勢を受けて元々用意していたスピーチではなく新しいスピーチを用意したとのことで始まり、まずはヒーローの話に入ります。

私たちが必要としているヒーローはCaptain AmericaやBatmanなどではない。パンデミックや戦争、気候変動や貧困などの問題から世界を救うのは君たちだ。しかし、今活躍する本当のヒーローになるためには、知識や才能だけでは十分ではない。

このように話され、世界を救うために必要な他の素質について話を展開され、必要な素質とは勇気・謙虚・忍耐・誠実・慈悲であると述べられます。
それぞれの説明については割愛しますが、どれも今の社会の難しい問題に立ち向かっていくために必要なことだなと感じました。

最後に、卒業生に対してあることを約束して欲しいと言います。

Promise me that you will be the last class — the last class to miss a commencement — because of a pandemic.
The last class to miss a commencement because of war.
The last class to miss a commencement because of climate change, unrest, tyranny, extremism, active shooters, intolerance, and apathy.

約束して欲しいこととは、卒業式が無い最後の世代になるということです。
今回のパンデミックや戦争、気候変動や社会的・政治的な不安などといった様々な理由によって卒業式が無くなる世代を今後の未来に作らないように頑張って欲しいと伝えてスピーチを締めくくりました。

この最後のメッセージを伝える時の声がとても力強く、現在のアメリカでのパンデミックの様子も踏まえて聞くと、自分に何ができるかはわからないけど何かしら今の社会・未来の社会に対して貢献していきたいなと感じました。

以前のCommencement Speechとの関連

実はこのMcRavenですが、2014年にUniversity of Texas, Austinで行ったCommencement Speechも非常に評判が高いんです。
今回のMITでのスピーチを聞いて改めてこのUT Austinでのスピーチも聞いたのですが、以前のスピーチと今回のスピーチの関連と微妙な変化が僕にとってはとても興味深く感じたので紹介したいと思います。

まず、今回のスピーチで重要な素質について話されている箇所の原文は以下のようになっています。

If you are going to save the world, you will need courage.
If you are going to save the world, you will need to be humble.
If you are going to save the world, you must persevere through the difficult times.
To save the world, you will have to be men and women of great integrity.
Finally, to save the world, you must have compassion.

このように「If you are going to save the world」というフレーズで統一された文章で「勇気・謙虚・忍耐・誠実・慈悲」について述べられています。

次に2014年のUT Austinでのスピーチです。
このスピーチでは以下のの話を通して世界を変えることは誰にでもできると述べられ、SEALの訓練から学んだ10個のことを紹介されました。

8000人の卒業生それぞれが10人の人生を変え、その10人それぞれがまた10人の人生を変える。これを5回(5世代 = 125年)繰り返すと8億人の人生を変えることになる。

そしてSEALの訓練から学んだ10個のことは以下の通りです。

If you want to change the world, start off by making your bed.
If you want to change the world, find someone to help you paddle.
If you want to change the world, measure a person by the size of their heart, not the size of their flippers.
If you want to change the world get over being a sugar cookie and keep moving forward.
If you want to change the world, don't be afraid of the circuses.
If you want to change the world sometimes you have to slide down the obstacle head first.
If you want to change the world, don't back down from the sharks.
If you want to change the world, you must be your very best in the darkest moment.
If you want to change the world, start singing when you're up to your neck in mud.
If you want to change the world don't ever, ever ring the bell.

こちらは「If you want to change the world」というフレーズで統一されています。

このようにMcRavenのスピーチは一貫したフレーズでまとめられており、このこともあってかメッセージがとてもわかりやすくなっています。

この中で僕が気になったところは、2014年の「If you want to change the world」というフレーズと2020年の「If you are going to save the world」というフレーズの違いです。
今の社会情勢からきた表現かもしれませんが、今回のスピーチは以前に比べより強いメッセージを含んでいるように感じました。
まずは change the world と save the world の違いです。
世界を変えるという表現から世界を救うという表現になっており、どのような方向に世界を変えていくのかという色がより強くなっていることを感じます。
そして you want to と you are going to の違いです。
以前に比べ、行動して世界を変える・救うということに重きを置いたメッセージになっているような気がします。
日本語に訳すのであれば「もし世界を変えたいのであれば」と「もし世界を救うために踏み出すのであれば」といった感じになるでしょうか。
そもそも僕の英語力も怪しいところではありますが、この小さな違いからこの数年間の社会の変化、またMcRavenの思いの変化を感じました。

2つのスピーチを比較すると、今回のメッセージはよりリアルに世界の現状を捉え行動し変えていくことの重要性を伝えられているように感じました。
また、このスピーチが世界的に名の知れた大学の卒業生に向けてのものと思うと、様々なことを学んできた若者に対しての希望と期待と責任を伝えられているように感じます。
僕としては社会に出て3年目になり仕事の面白さや難しさを多少感じているところで、今このメッセージを聞くと様々感じることが多く、こつこつと頑張ることで今の社会のヒーローに近づいていけたらなと思いました。

おわりに

今回はMcRavenの過去のスピーチと今回のスピーチを比較して自分が感じたことを書き留めてみました。
そのためスピーチの内容についてはあまり書いていませんが、過去のスピーチも今回のスピーチもとても良い内容なので興味が湧いた人がいればぜひ聞いてみてください。

2014年のスピーチ全文動画
2020年のスピーチ全文動画

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?