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当事者会

1度目の母の入院。私にとっては衝撃的な出来事だった。

母の同意がない状態での医療保護入院。今でもできれば思い出したくないし、連想させる映画やテレビ番組なども3年経った今でも観れそうもない。あの時、医療の力を借りなければ本当に家庭は崩壊していたと思う。

母が入院したことで、私たち家族は日常を少しずつ取り戻すことができた。それと同時に今できることを模索し始めた。私はネットで色んな情報を集めるようにして、母の病気(その時は双極性障害のみに絞って検索していた)の当事者会が私の住んでいる地域でも行われることを知った。すぐに申し込み、父はまだ乗り気ではなかったので一人で参加した。

当時、父に送ったメールを頼りに内容を記載する。

参加者14名、うち当事者が8名、6名が家族だった。当事者の殆どの方が双極性障害2型で鬱がほとんどで軽躁状態だから人には迷惑をかけない程度とのことだった。当事者家族の方のうち1組の親子が、私が話した母の状態とその方々のご家族がそっくりと言われ、やはり本人に病識がなかなか持てなくて、薬も飲まないと仰っていた。お互いに同じ想いの家族がいるという事が救いにつながった。

当事者の方に再発防止で心がけていることを尋ねてみた。答えていただいた内容は以下の通り。

・しっかりと睡眠をとること
・軽い運動をする
・お風呂にゆっくり入ること
・自分の気分の観察記録をつけること
・薬を飲み続けること

また病識をどのようにして持たれたかを聞いた答えは以下の通り。

・本当に困ったことになれば意識せざる得ないのではないか
・家族はあまり過保護に接するのではなく、普通に接した方がいい

この答えは子育てにも通ずるなと思った。転ぶ前に手を差し伸べずに転ばせて痛みを分からせ、身に染みさせるという論理。ただ、母の場合、躁転したら過激派になるため、あまり好きなようにさせているとどんどん登って何をするか分からなくなるため、今回3年ぶりの入院で主治医から言われたのは、次回躁転した場合は早期に入院が一番とのこと。治療のスタートが早い方が当然早くに落ち着くことができ、入院も長引かないそうだ。今回、母が登り始めたなと全員が認識してから入院まで3週間経過後だった。ここは人によって症状によって、家族の見極めは分かれるのかもしれない。

また別記事で今回の主治医のことを書こうと思うが、同じ病院に入院したのだが、前回の主治医は退職しているとのことで、今回は別の精神科医が担当になった。今回の先生は、40代くらいの飄々とした方で、とてもフラットに私達にでもわかりやすい言葉で話をしてくださる方だ。私達もほっとしているが、躁転している母にとっても良かったようで、明らかに先生のことを気に入った様子で、最初の受診の際も一方的ではあったが、先生に積極的に話しかけていて、父と私は内心ホッとしていた。話が止まらなすぎて、先生から「〇〇さ〜ん!今あなた躁状態ですよ!」ときっぱりと言われ、母が首をすくめる、というお茶目な場面もあった。母は何をしても憎めない、と思うのはこういう所でもある。

話を戻すが、当事者会で言われたこと。
・この病気の方の特徴として、ちょっとしたことを大きく重く受け止める傾向がある。
・また発達障害やパーソナリティ障害を併発している人も多いようだ。
・相性の良い医者に出会うには全員苦労している。

上記の他に、男性の当事者の方で恐らく熱心に会に参加されているであろう方が、「あなたの場合は親がそういった疾患を抱えているので、ネットで夏苅郁子さんを検索してみたらいいですよ」と教えてくれて、その後、夏苅さんをネットで調べることになる。

夏苅さんは精神科医でご自身のお母様が、統合失調症を患っておられ、幼い頃から大変な苦労をされた後に医学部に進学され、現在ご主人と診療所を開業。統合失調症の理解・啓蒙のための運動もされ、お母様のことを書籍にも残されている方だ。

全く知らなかった私は、夏苅さんの本、夏苅さんが統合失調症と向き合うと決めたきっかけになった中村ユキさんの本を読みあさることになる。また知らなかった世界が広がり、知識を増やしていく。一方で私ものめり込みやすい性格なため、現実とのバランスを保つべく、あまり深掘りしない、なるようになるさ精神も忘れないように過ごしていた。仕事や育児など社会での役割があることが精神安定剤になったいたことは間違いない。



当事者会は結局その一度きりの参加となったが、ありがたい生の声や生きた情報がいただけて参加してとても良かったし、いつかまた参加して私も誰かのお役に立てる日が来るといいなとも思っている。




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