経済から考えるEU

EUが出来て、僕ら外国人にとってはかなり便利になった。いちいちEU圏内で通貨を両替する必要がないし、出入国検査は、最初に入国する空港、最後に出国する空港のみ。EU圏内(EU圏内のほとんどの国)では、例えばフランスからイタリアに入る際もパスポートチェックがない。外国人短期旅行者、出張者にはかなり便利になったと言えるけど、EU内の経済はどうだろう?

ちょっと固い話になるけど、お付き合いください。

国際金融において、①固定相場制、②資本移動の自由、③金融政策の自由は同時に2つしか達成できないと言われる。EUは、①固定相場制、かつ②資本移動が自由。ということは③金融政策の自由がない。欧州中央銀行が金融政策を管理し、その政策はEU圏内全体に及ぶ。

一方で経済成熟度は、EU圏内でも国によって様々。ドイツとギリシアではGDP値にかなり差があるし、技術力、産業の習熟度もかなり違う。そしてEU圏内ではヒト、モノ、カネにおいて自由貿易、無関税。ということは、ドイツの技術に秀でた産業、例えば車などが無関税でギリシアに入る。ギリシアの車産業は勝てず、大打撃。失業者が出る。失業者は他国へ職を求めて移動する。移民は基本的に賃金が安く雇われる。一方でドイツ輸出側の企業は儲かる。という弱肉強食の構図が出来上がっているとも言える。ギリシアは不景気対策で機動的な財政政策をとりたくても出来ない。

ドイツの経済、産業の強さを考えると、EUって実はドイツ帝国とも言えなくない・・。だからイギリスは抜けたんだろうね。正解だと思う。

EUによって、外国人や、資本主義世界において強者の国および産業はより成長しやすくなった。一方で、失業者も増え、格差が広がっていると言える。

はたと思う。この構造は、今日本にも忍び寄っている。TPP、RCEP、国内の介護はじめ人手不足を移民で補おうとしている。自由貿易で国内グローバル企業は儲かる。ヒトの自由移動で、外国人にとっては日本市場に入りやすく便利になる。だけど、一方で国内中小企業、大多数の日本人にとってはどうだろうか?

EUから学ぶことは多い。

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