【西洋演劇史#21】

イギリスの劇場とスペインの劇場は並行して発展していた。

スペインの演劇史の初期で発展したのは自国の宗教劇、民間の世俗的な笑劇、セルリオの遠近法のような街頭を背景にしたルネッサンスの喜劇で、それは他ヨーロッパ諸国と類似している。

スペインにおいて近代的な意味で最初に演劇人となった一人に「ローぺ・エ・ルエダ」がいる。彼は俳優兼劇作家兼支配人で短い笑劇をたくさん書いた。それは真面目な劇の幕間に観客を楽しませる目的のもので彼が劇団とともに巡業した貴族の邸宅の広間や宿屋の中庭(コラール)で上演したのである。イギリスと同じく既設の舞台があり、その設備から専用の劇場が建てられるようになる。観客は中庭にたつか、周囲の桟敷に座り、女性専用の観客席があり、舞台は観客席に突き出していて、背景の壁には窓や扉、つまり裏舞台があった。舞台には切穴もあり、雲や髪の玉座や幻影を上からおろす装置もあった。

全体で見るとロンドンの劇場とよく似ているのだが、両者の接触はあまりなかったにも関わらず同じような発展をしているのは、演劇が演劇を成長させるためのやり方は決まるようにできているのかもしれない。

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