【西洋演劇史#15】現代演劇の祖、コメンディアデルラルテはどんな劇だったのか

コメンディアデルラルテの俳優は、常に同じ役を演じる俳優で構成されていた。それはいわゆる役柄に合わせての配役し、その役に埋没していって個性を失っていくというものではなく、生涯を通じて一つの人物を構成する仕事であった。多くの場合は俳優は自分の名前を捨て役柄の名前をつけ、その役柄を自分自身のものになるようにした。コメンディアデルラルテでは仮面をつけており、それぞれの役柄の仮面で何を演じているのかわかるのだが、基本的に一座を移るということはなかった。また、年齢によって年配役をすることが有利になった場合のみ、演じる役を変えていたかもしれない。

その作品でも登場人物の構成は大抵同じであった。

主要な動機は、特に重要ではなく、若い恋人同士の出会いから結婚に至る努力をたどる喜劇であった。人物名からは今でも脈々と受け継がれる代名詞であるとわかる。

劇の主要人物、女主人公はロゼッタとかコロンビーナという名前で、腹心の友を持っている。その逃亡をいつも防ごうとする父親や夫はパンタローネというヴェネツィア出身の男(ゼウスのように好色の老人)と、中年の友人グラツィアーノ(法律家)は愉快な下男とガミガミ屋の家政婦を雇っている。これら一家と少し離れたところにほら吹きで臆病な軍人、カピターノと召使いザンニ。鼻が高くヒゲがぼうぼうな風貌をザンニはからかい、揚げ足を取り、彼の勇気は小心だと馬鹿にする。

その収まりの登場人物の中でも召使いが劇を運んでいくのだが、変幻自在であり、台本には少なくとも二人の召使いが現れた。一人は機敏な知略で筋を運び、一人は間抜けで相手の機智を引き立てる。

そうした役の中に、アルレッキーノ、プルチネッラ、ペドロリーノなどの名前が冠せられており、現代の演劇史でも度々登場する。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?