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鍼灸治療を受けるならどれくらいの頻度が良いのか。 週イチ?月イチ?毎日?

豪華客船で鍼灸師として働いていてよく聞かれる質問。
どれくらいの頻度で鍼灸治療を受けたら良いの?

この質問に鍼灸師の皆さんは何と答えているのでしょうか。
人によって答えが違うかもしれません。

私の豪華客船での考えは、「症状と治療法によって変わるけど、毎日鍼灸治療を受けれるならそれに越したことはない。」です。

豪華客船という環境なら、毎日治療を受けることはそれほど難しくないです(予算の制限は考えないものとして)
しかし、日常生活を送る人々を治療する鍼灸院だと、毎日通える患者さんは少ないかもしれません。

基本的に、状態維持であれば、週1回~月1回、
症状を改善していきたければ、週2~3回は最初のうちは治療に通った方が良いと私は考えています。

短期間に治療を集中し、状態をグッと改善し、その後は治療頻度を伸ばして状態維持をしていくというのが王道なのではなかと思います。

もちろん、主訴が痛み疾患なのか、内臓系の症状なのか、ストレスや睡眠に関するものなのかによっても治療頻度は変わります。
治療をする鍼灸師の治療スタイルによっても適正な治療頻度は変わるでしょう。
(個人的には、患者さんが通える治療頻度によって刺激量を鍼灸師側が調整する必要があると思っています。)

私が学校で習った時は、先生が授業で多くても週3-4回が妥当なんじゃないかと言っていたのをおぼろげに覚えています。
しかし、実際に豪華客船に乗って働いていて思うのは、毎日治療した方が症状の改善スピードは早いし、痛み疾患の場合は、1日2回治療した方が良いことも多いということ。

毎日治療することや1日2回治療することに刺激過多を心配する鍼灸師さんがいるのであれば、それは刺激量の調整をすれば問題ないというのが経験則から来る私の答えです。

海外では、集中的に治療を受けるために泊まるホテルなどもあります。
インドやスリランカは、アーユルヴェーダを受けるためのホテルがありますし、
中国ではそもそも鍼灸治療を受けるための病院があります。

中国に目を向ければ、連日鍼灸治療を受けるのは、割と普通なことなんじゃないかなと思いますが、日本にはそういった施設がほとんどありません。

毎日鍼灸治療をすることで、劇的に状態が改善していく患者さんを見るたびに、日本にもそういった泊りで治療を受けに行けるリゾートホテルや旅館が増えたらいいのになと思います。

外国人向けの医療ツーリズムは、今後日本でもっと増えていくと思いますし、そこに鍼灸も入っていくと良いのになと思います。
(もし、一緒にやりたいという方がおりましたら、声をかけてください。豪華客船での知識と経験から来るアイデアはたくさんあります。)

しかし、無いものねだりをしてもしょうがないので、
今あるものを使った場合、どれくらいの頻度で鍼灸治療を受けに行くのが良いのか、患者さん向けに私の意見をまとめます。


1.痛み疾患の場合


急性の痛みの場合は、まずは病院に行ってください。外傷によるものだったら骨折を否定することが重要ですし、内臓系の疾患から来る痛みの場合、検査せずに鍼灸治療だけやってたら手遅れになるかもしれません。
病院に行って特に問題が見られないとなったら、ここで鍼灸治療の出番です。

治療頻度は、最初の数回は、週1~2回が妥当だと思います。
腕の良い鍼灸師の治療を受けれれば、1回目の治療からその場で効果を実感できると思います。
週1~2回(症状によっては3回以上を勧められるかもしれません)の治療を3-4週もすれば、症状が落ち着いて行くと思います。
2カ月目以降は、週1から2週に1回の頻度になると思います。
2週に1回のあとは、月に1回、2~3か月に1回と間隔があいていくと思います。
個人的な見解ですが、病院受診が不要な急性の痛みは、3‐5回もあれば治療不要になると思っています。もちろん、セルフケアを続ける前提の話ではありますが。

(効果を実感できなかった場合、3回ほどは治療を継続することをおすすめします。症状によっては目に見える効果が出るまで時間がかかる場合があります。3回治療を受けても何も効果が無ければ通う価値なしです。別の治療院に行きましょう。)

慢性の痛みの場合は、直で鍼灸院に来ていただいて構いません。急変の可能性は低いと思いますので。しかし、この場合でも鍼灸師から病院受診を勧められる場合もありますので、その際は必ず病院受診してください。
ただのお腹の不調だと思ったら癌だったなんてことも稀にあります。
基本的に慢性的な痛みは、治癒するまで時間がかかると思っておいた方がいいです。
週1~2回の治療を4-6回続け、週1回の治療を2~3か月も続ければ体が変わっていくと思います。
症状の原因にもよりますが、3か月もあれば、大きな変化を期待できると思います。

怪我の場合、何をどれだけ損傷したかによって回復にかかる時間が変わります。
軽微な筋損傷であれば4~6週、軽度の靭帯損傷であれば1~2カ月、骨折であれば2~3カ月、重度の靭帯損傷やアキレス腱断裂などは6~9カ月ほどかかると考えておいた方が良いです。

一概に頻度と治癒までの治療回数を言うことは難しいですが、
痛み疾患に関しては、週1から始まりそうだと考えておくと良いかと思います。

2.内科疾患の場合


まずは病院での診断・投薬が最初だと思います。
その上で鍼灸治療を組み合わせるか、投薬をやめて鍼灸治療で治していくかを考えるのが良いです。
(※投薬の中止は必ず医師と相談の上で行ってください。勝手に薬を止めないように。)
治療頻度は、週1回もしくは、2週に1回+セルフケアを毎日行う、からスタートになるかと思います。
内科疾患の場合、日々の食生活の見直しがとても重要です。
私たちの身体は、私たちが食べたもので出来ています。
いくら外から刺激を加えても、体の中に入れるものが変わらなければ内科疾患を治癒まで持っていくのは難しいです。

鍼灸治療に出来るのは、体を変えるきっかけを与えること。
体を変えるには、体を作る元となる食事の見直しが欠かせません。

内科疾患に対する鍼灸治療は、とても可能性があると私は思っていて、むしろ鍼灸が一番活躍できるのがここだと思っています。
内科医の処方を真横で4年間見て来た経験から言えるのは、内科医の処方はあくまで体を薬で良い状態に保つことで(※抗生剤などの処方は除く)、内科疾患に対する処方は基本的にずっと続けることが前提な場合がほとんどです。
それは体を変えてはくれません。

理想は、薬も鍼灸治療すらも不要となる体にすることです。
鍼灸治療をそのための手助けとして活用するのが良いと私は考えています。

少し話がそれましたが、内科疾患に対する鍼灸治療は、体が変わるまで行うのが良いと思いますので、期間はその分長くなります。
人間の体の細胞は約1年ですべて入れ替わるようです。(年齢によって入れ替わり期間は変わるようです)
なので、年単位で鍼灸治療に取り組む場合も多いと思っておくと良いでしょう。

治療頻度に関しては、症状が落ち着いてくれば週1回が2週に1回、月1回、2~3カ月に1回と間隔があいていくと思います。
私が治療するなら、最初の4~6回は週1で通ってもらい、その後2週に1回を1~2カ月、あとは月1回を基本として、体調が良好で治療を必要ない状態まで改善したら、症状が出たときにだけまた治療を受けに来てもらうという形が多いと思います。

3.ストレス疾患の場合


ストレスの原因によりますが、心療内科との併診が望ましい場合が多いと思います。単なる仕事のストレスにより体の緊張や睡眠障害であれば、鍼灸治療のみで構いませんが、鬱や人が変わったように明らかに状態がおかしい場合は、専門医の診断を受けてからの方が良いでしょう。

1回の鍼灸治療だけでもとてもリラックスできますので、たまにストレスで体が緊張して体の調子が優れないという方は、症状が出始めた時に治療を受ける形でも良いと思います。もちろん、月1回体のメンテナンスで鍼灸治療を受けておくと、ストレスの影響が体に出にくくなりますので、予防として治療を受けておくのもおすすめです。

ストレスが長期にわたっており、毎日体に異常が出ている場合は、ごまかすための鍼灸治療をするのではなく、しっかりと治すための鍼灸治療を受けるのが良いでしょう。
その場合は、週3~4回は初週に治療を受けた方が良いかもしれません。
症状が快方に向かえば、週1回の治療を続け、体にストレスの影響が出なくなったら月1回のメンテナンス治療を続けるのが良いでしょう。

ストレス疾患の多くは、ストレッサーとなる原因があります。
それは、学業かもしれないし、仕事かもしれないし、家族や友達との人間関係かもしれません。
ストレッサーがなくなるまでは、鍼灸治療を継続するのが良いと個人的には考えています。

4.睡眠障害の場合


何が眠れない原因かによりますが、眠れなくて死んだ人はいないので、安易に睡眠薬に頼らないのが良いです。
長期の不眠により日中の眠気や記憶障害が起きる場合もありますが、一度睡眠薬に頼ってしまうと、なかなか薬から抜け出せなくなる恐れがあります。

睡眠薬は、自分の体のコントロールを失う可能性もあり、転倒リスクが高くなるのであまりお勧めしません。
そして、鍼灸治療がとても効果を上げやすい症状なので、個人的にはぜひ鍼灸治療を活用して欲しいと思っています。

多くの場合、鍼灸治療を受けた日は、睡眠障害の有無にかかわらずよく眠れます。
睡眠障害の方の場合、治療が奏効すれば、1度目の治療後から睡眠時間が長くなると思います。
しかし、睡眠障害の原因は多岐に渡るので、1度よく寝れてもその後また寝れなくなったりしますので、ある程度長期の治療が必要になると思って頂いた方が良いです。

個人的には、短期集中で治療をして数年来の不眠症が治癒した症例をいくつか持っているので、週に複数回の治療から開始するのをおすすめしたいですが、
おそらく多くの場合は、週1~2回の治療からスタートし、週1の治療をしばらく継続し、改善したら治療終了となるのではないかと思います。



まとめ


今回は、痛み、内科疾患、ストレス疾患、睡眠障害の4つに分けてざっくりとした治療頻度についてまとめました。

これはあくまで私個人の鍼灸師としての経験による意見ですので、他の鍼灸師さんからしたら違った意見が出るかもしれません。
正直、正解は個人によって決まると思っています。

患者さんと鍼灸師が相談して治療頻度を決めて行くのが良いでしょう。
もし今後どこかに鍼灸治療を受けに行かれるのであれば、私の意見は参考程度にしていただき、直接その治療院の鍼灸師さんに相談してみてください。

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