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コロナ後遺症に鍼灸治療が効く。 ~鍼灸が効果的な症状について~

新型コロナウイルス感染症が騒がれ始めてから、もうそろそろ4年が経とうとしている。
ロックダウンや移動制限を経験し、2類から5類へと感染症分類が変更となり、表面上は、コロナが落ち着いてきているように見えるかもしれない。

しかし、実際のところ、2023年9月現時点の話をすると医療機関は、コロナ患者で溢れている。
感染拡大は現在も続いている。
いつどこで誰がコロナにかかってもおかしくない状況は続いている。

アメリカ国勢調査客のデータによると2023年2月の時点で、アメリカの成人の約11%が長期間のコロナ罹患後症状を経験し、感染後少なくとも3カ月は続く症状があることが示されている。

日本の国立国際医療研究センター調べによると、
コロナ感染後、何らかの症状があると訴えた人は、感染半年後は、32.3%、1年半後でも25.8%と約4人に1人の割合でコロナ後遺症症状を訴えている。

コロナ後遺症は、いつ誰が発症してもおかしくない症状と言える。

コロナ後遺症の主な症状

コロナ罹患後の代表的な症状は、疲労感・倦怠感、関節痛、筋肉痛、咳、喀痰、息切れ、胸痛、脱毛、記憶障害、集中力低下、頭痛、抑うつ、嗅覚障害、味覚障害、動悸、下痢、腹痛、睡眠障害、筋力低下などである。

症状は、多岐に渡っている。

内服薬を1つ飲めば後遺症症状が全部取れるということは、残念ながらなく、多くの患者が専門医に受診が必要であったり、病院に受診しても症状の大きな改善がみられず、後遺症に苦しんでいる。

特に、コロナ後遺症で特徴的であるブレインフォグ(集中力の低下、記憶力の低下)と呼ばれる症状、頭がぼーっとしてすっきりしない、物忘れが増えたなどといった症状は、外見上ではわからない症状のため、周りの理解を得られないことも少なくない。

コロナ感染で体力を消耗し、回復しきる前に別の疾患に罹ってしまったり、新型コロナウイルス感染症の症状が落ち着いた後も倦怠感が続き、仕事や勉強に身が入らない症状は、周りからは理解されにくく、人知れず悩んでいる人も少なくないのではないかと思われる。

コロナ後遺症に対する効果的な治療を見つけることは、多くの医師、患者が望むところである。

注目され始めた鍼灸治療

コロナ後遺症に対する治療の中で、鍼灸治療が効果的であることが様々なところで報告されている。

鍼灸治療の発祥地である中国では、コロナ後遺症のみならず、コロナ感染の急性期から鍼灸や漢方治療を行っていたし、後遺症に対しても世界中のどの国より早く鍼灸治療が使われている。

アメリカに目を向けると、コロナ後遺症の味覚嗅覚症状に対する鍼灸治療の可能性について研究も出ており、様々なコロナ後遺症に対して鍼灸治療が実施されている。

日本では、北里大学病院の鍼灸外来にてコロナ後遺症患者への治療を受け付けており、渋谷にあるヒラハタクリニックの平畑医師は、これまでコロナ後遺症患者6000人以上に対して鍼灸治療を行い効果を出して来たと報告している。

また、ネットブラウザで「コロナ後遺症 鍼灸」と検索すると、多くの鍼灸師がコロナ後遺症に対して鍼灸治療が効果的であるといった記事を書いていることが見受けれられる。

すべてのコロナ後遺症に対して鍼灸治療が効果的と言い切ることは出来ないが、多くのコロナ後遺症患者にとって鍼灸治療は良い選択肢になり得ると言えるだろう。

鍼灸治療で改善が見込めるコロナ後遺症症状

具体的にどのような症状が鍼灸治療にて改善が見込めるのであろうか。
改善の見込みが高い順に紹介をしていこうと思う。

初回の鍼灸治療後から改善を見込める症状
疲労感・倦怠感、関節痛、筋肉痛、咳、喀痰、息切れ、胸痛、頭痛、動悸、下痢、腹痛、睡眠障害

複数回の鍼灸治療を受けることで改善が見込める症状
咳、喀痰、息切れ、記憶障害、集中力低下、抑うつ、嗅覚障害、味覚障害、筋力低下

改善まで時間を要する、もしくは個人差があり改善しない可能性がある症状
嗅覚障害、味覚障害、器質的疾患(間質性肺炎、重症度の高い心筋炎等)

いち鍼灸師の意見として捉えて頂くのが良いと思うが、
基本的に軽めのコロナ後遺症症状であれば、どんな症状であっても複数回の鍼灸治療を受けることで改善が見込めると考えている。

特に、疲労感・倦怠感、関節痛、筋肉痛、頭痛、睡眠障害といった症状は、もともと鍼灸治療が得意とする分野の症状である。
これらの症状は、1回の鍼灸治療後でも効果を実感することが出来ると思われる。
(効果の差は、鍼灸師の力量によっても左右されます。2‐3回治療を受けても効果を実感できなかった場合は別の鍼灸院への受診をご検討ください。)

嗅覚障害、味覚障害、器質的疾患(間質性肺炎、重症度の高い心筋炎等)に関しては、症状の緩和をすることが可能であると思うが、重症度が高い場合は、回復するのに年単位の経過が必要な場合もあることをご理解頂きたい。

また、間質性肺炎や重症度の高い心筋炎など器質的変化が臓器に起きてしまっている場合は完治することは残念ながらないと思われる。
これ以上の症状悪化をしないための治療が必要であり、専門医の継続的な診察が欠かせなくなるだろう。
こういった症状は、鍼灸治療のみでコントロールを目指すのではなく、医師の治療にて状態のコントロールをし、鍼灸は補助的に使うのが最善であると私は考えている。


コロナ後遺症に対する鍼灸治療を受けるには、どこに受診したら良いのか

コロナ後遺症に対する鍼灸治療は、1回のみで終わることは少ないと思われる。
複数回、場合によっては数カ月から1年程度、継続した受診が必要になる場合もある。
まずは通いやすい場所にあり、鍼灸治療にてコロナ後遺症を治療している実績があると宣伝している鍼灸院を探すのが良いだろう。

検索方法としては、Googleやヤフーといったネット検索エンジンにて探す、しんきゅうコンパス等の鍼灸院検索サイトを利用する、友人や知り合いで鍼灸治療を受けている人に聞く等があげられる。

北里大学病院の鍼灸外来など、大学病院にてコロナ後遺症に対する鍼灸治療を実施している病院もあるため、通院可能な距離に鍼灸外来のある病院があるのであれば、そちらを受診するのも良いだろう。

口コミサイトを見ることは、どのような鍼灸院なのかを事前に調べるのに役立つ。
口コミに書いてあることがすべてではないが、良いコメントが多い鍼灸院の方が質が高い鍼灸師が居る可能性は高くなるだろう。
(同じような文章での高評価コメントが並んでいる場合は、ステマの可能性もあるので注意が必要である。これは、どの業種の口コミサイトにも言えることではあるが…)

医師と提携している鍼灸院を探す

個人的にベストと考えているのは、医師と提携してコロナ後遺症治療にあたっている鍼灸院である。
残念ながら、こういった鍼灸院の数は多くない。
保険制度上の問題が背景にあったり、鍼灸師と医師のコミュニケーションを取るきっかけが現状の制度の中ではあまりないなど、鍼灸・医療業界側の問題で、患者サイドには関係ない理由で申し訳ないところではあるが、
そんな中でも渋谷にあるヒラハタクリニックの平畑医師など、鍼灸治療をコロナ後遺症に対して使ったり、鍼灸院と提携しているようなクリニックもある。

通いやすさよりも、治療の質の高さを求めるのであれば、
医師と提携している鍼灸院・鍼灸師を探すのが患者にとっては良いのではないかと考えている。

おわりに

このnoteでは、コロナ後遺症に対して鍼灸治療が効果的であることを紹介させて頂いた。
いろいろとコロナ後遺症について調べたことのある方にとっては既出の情報も多かったと思われる。
また、コロナ後遺症に対する鍼灸治療を受けたいと担当医に伝えても理解を得られず断られてしまうケースも少なくないと聞く。

西洋医学と東洋医学の溝はまだまだ深いのが実情であり、患者にとっての利益が最優先されていない保険制度上の問題もあることが背景にあり、心苦しく思っている。
そんな中でも患者のためを思い、鍼灸に対する理解をしてくれる医師がおり、鍼灸と患者の懸け橋になっている医師も出てきている。

私たち鍼灸師は、自分たちにできること、目の前の患者と向き合うことに注力している。(制度を変えようと努力している鍼灸業界の人たちもいる。)
すぐに変えることが出来ないことも確かにあるが、
コロナ後遺症に悩む患者に対して、鍼灸治療で効果を出し続けている鍼灸師たちがこの日本には多くいることを知って頂きたい。

他国には日本ほど気軽に鍼灸治療を受けれる場所はない。
世界中でコロナ後遺症に悩む患者が何億人もいる中で、日本には鍼灸治療を受けるという選択肢がある。

いろいろと試してみたが未だコロナ後遺症に悩んでいる方、
最近コロナに感染し後遺症が出てしまっている方、
そして、今後もしコロナに感染してしまった場合は、リカバリーに鍼灸治療が効果的であることを覚えておいて欲しい。

1人でも多くの鍼灸師が1人でも多くのコロナ後遺症患者の症状を改善することを願っている。

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