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クリエータ紹介⑤:川﨑浩史さん・安達康平さんプロジェクト - ゲーム愛が生んだイノベーション

このnoteでは、福岡未踏的人材発掘・育成コンソーシアム(通称・福岡未踏)のプロジェクト採択者について、プロジェクトの詳細や福岡未踏にかける思いをご紹介します。

今回は、オンラインゲーム汎用チート検出エンジンを開発されている川﨑さんと安達さんの挑戦をお伝えします。

左)安達康平さん、中央)川﨑浩史さん、右)担当PM松隈浩之氏

プロフィール

  • プロジェクト名:動画によるオンラインゲーム汎用チート検出エンジン

  • 支援プランと期間:Pro(23年8月~24年1月)

  • クリエータ:川﨑浩史さん(株式会社セキュアサイクル)、安達康平さん(株式会社セキュアサイクル)

これまでの歩み、来歴

川﨑さんは宮崎県出身で、高専を経て東京理科大学で数学を学ばれました。就職してからは、主にWebサービスのプログラム開発を行ってきました。プログラムを書くのがお好きな川﨑さんは、現在、株式会社セキュアサイクルで日々プログラムを書く仕事に従事されています。

一方、安達さんは鳥取県のご出身。川﨑さんと同じく高専卒業後、九州工業大学の情報工学部へ編入されました。福岡未踏のPMも務める井上創造先生の研究室に入り、人工知能やIoT機器を用いた研究に没頭されたそうです。その後、情報セキュリティに関する対応やシステム開発を行う株式会社セキュアサイクルに入社。川﨑さんとの出会いに至ります。

中間発表の様子

プロジェクトの概要

彼らのプロジェクト「動画によるオンラインゲーム汎用チート検出エンジン」をリードするのは、元々オンラインのシューティングゲームが好きだった川﨑さんです。数年前、川﨑さんが数名の友人らとオンラインのシューティングゲームを楽しんでいた頃、コンピューターの中の見えない情報を見て有利にゲームを進める、無理やり改竄して敵を倒すなどの「チート行為」が蔓延していました。チートが常態化したゲームは続けることができず、趣味だったオンラインシューティングゲームのチームは解散。悔しい思いが残っていました。

このプロジェクトは、オンラインシューティングゲームにおけるチート行為を4つのタイプに分類。動画解析技術を用いて、ゲームプレイ中の疑わしい行動を検出し、チートを使用している可能性が高い場面を特定することが可能です。

福岡未踏への応募理由

福岡未踏プロジェクトに応募されたのには、いくつかの理由がありました。まずは、過去の川﨑さんが感じた悔しさを、今こそ技術で解決したいという思い。しっかりと時間を確保して、自分たちだけのプロダクトを開発することに挑戦してみたいという気持ちもありました。さらには、いろいろな人にプロダクトを見てもらい、フィードバックをもらってみたかったのです。

そしてもう1点の重要なポイントとしては、未踏に対する憧れがあったことです。ふたりの周りにはプログラマが多く、未踏に採択されたプロジェクトに携わったプログラマには優秀な人が多かったため、名誉なことだというイメージがありました。

福岡未踏で成し遂げたいこと

採択されてから半年間の期間をかけて取り組むプロジェクト。現在は、ちょうど3ヶ月が過ぎた折り返しのタイミングです。残りの期間で彼らが成し遂げたいのは、プロジェクトの実用化です。中間発表での他チームの発表から多くを学んだことから、最終発表までには実際にサービスをリリースし、ユーザーからのフィードバックを得たいと考えています。また、現在はまだ技術的にどう解決するかが見えていないものもありますが、チート検出技術をさらに磨き、より多くのチート行為に対応できるシステムを目指しています。

現在、働きながら多くの時間をプロジェクトに割いている彼ら。福岡未踏で出会ったクリエータの方々やPM・メンター、さらには他の地方の未踏プロジェクトに携わるクリエータの方々との繋がりを大事にしながら、プロジェクトだけでなく、今後の開発人生にも活かしていきたいと語ります。

おわりに

彼らのお話からは、プログラミングへの深い情熱と、自分たちの技術でゲームの世界をより良いものにしたい!という熱い思いが伝わってきます。すでに社会人として働く二人が「これだけ頭や時間を割かなければ、プロダクトはできないんだと実感した」と口を揃えるこのプロジェクト。彼らと関わる多くのクリエータやPM、メンター、そしてプロダクトのユーザーがフィードバックを寄せることで、プロダクト自体がさらに磨かれていくことでしょう。川﨑さんの無念を技術で晴らせる日も近そうです。


左)担当PM小坂武史氏 とお二人
後列左から担当PM松隈浩之氏、中村直人氏、小坂武史氏

福岡未踏とは

福岡未踏的人材発掘・育成コンソーシアム(通称、福岡未踏)とは、福岡県在住の若手クリエータを発掘・育成し、クリエータの「何かを作るための第一歩」を支援し、また、IPA未踏と同等の支援に加え、複数のIPA未踏経験者からなるPM・メンター陣にて、プレ人材向けの支援を行います。

(文:五十川慈)