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【備忘録】盗賊の極意―粛清編―【シャドバエボルヴ】

こんにちは、MITOみとです。まずは千葉GPに参加した皆さん、お疲れさまでした。筆者の結果は2-3と振るわないものであり、いつもの実地レポートとして書くことがあまりないものとなってしまいました。
原因としては、GWのCSラッシュを踏まえたメタゲーム変遷の速さについていけなかったことでしょうか。一回CS優勝したくらいで天狗になってはいけませんね…
今回は、GPで使用したデッキの構築意図と振り返りを―

しようと思ってたら怪電波を受信して、結果的にCS準優勝してきました

  • デッキ構築をストーリーで読みたい方
    →構築動機から

  • デッキリストと採用カードを見たい方
    →デッキリストから

お好みの読み方をしていただければと思います。それでは本編へどうぞ

↓先に準優勝構築↓

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構築動機

第5弾ブースターパック「永劫なる絶傑」の実装に伴い、環境は大きな変動を迎えました。筆者の活動圏である関東圏でもその波は大きく、≪ウマ娘≫一強環境からは想像もつかない多様なデッキと対戦していたように思います。
その中でも、筆者は≪簒奪ロイヤル≫にフォーカスを当てて構築研究を行っていました。パッケージテーマの中でも独特な性能が好みにピッタリだったからというのが大きな理由です。

GP二週間前~GP直前

GW中のCSラッシュにおいて≪簒奪ロイヤル≫は驚異的な入賞率を見せました。
筆者もその恩恵に与った一人で、当時の構築については、拙稿『盗賊の極意―構築編―』にて紹介させていただいたとおりです。

この結果を受け、筆者はGPを≪簒奪ロイヤル≫で挑むことに決めました。
様々な調整を重ね、最終的にまとまった構築はこちらです。

3×8+2×7+1×2の17種40枚。
雑多環境に対応しようとしてリストが散らばっていますね…

なんとなくお察しの方もいるかと思いますが、かなり情に引っ張られています。基本基盤は自身の優勝構築に寄せていますが、様々な対面を想定するうちにかなり散らばったリストになってしまったなぁと反省しています。

それが実直に出たのか、本戦は2-3と振るわず。せめて1日フルで戦いたかったですね…。

Sunday Challenge

GP翌日、Sunday Challengeで握ったリストはヘカテー(poyu)さんの≪スペル搭載簒奪ロイヤル≫でした。

3×11+2×3+1の15種40枚。
非常に洗練されたリストです。

このリストの最大の特徴は≪レオニダス≫が不採用な点でしょう。長い間ロイヤルというクラスの大黒柱だった≪レオニダス≫を外すという思い切った構築には目から鱗が落ちました。
実際に使ってみたところ、≪アヴァリティア≫のフル採用によって、再現性・連続性が非常に高くなっており、ストレスなくゲームを進行することができました。

詳細はご本人が解説記事を執筆してくださっているので、リンクを貼ることで割愛させていただきます。

メタゲーム変遷を踏まえた方向性の転換

さて、千葉GPは卵ビショップの優勝で幕を閉じましたが、その一方で急激に知名度を上げたデッキが存在します。
それは≪マーウィンビショップ≫です。デッキの使用率は高くありませんでしたが、有志によるDay2進出デッキタイプの調査によるとかなりの高確率でDay2に進出していたようです。

千葉GP準優勝構築

≪マーウィンビショップ≫は≪安息の絶傑・マーウィン≫をデッキに組み込んだコントロールデッキで、2022年度横浜GPで優勝した≪イージスビショップ≫を踏襲しています。
序盤から中盤にかけてスペルによる除去でライフを維持し、7,8ターン目に≪安息の絶傑・マーウィン≫を進化することで9PPへのPPブーストを行い、≪守護の陽光≫と≪ヘヴンリーイージス≫のコンボを成立させることが主なゲームプランになります。
≪星導の天球儀≫のサーチによって再現性が高く、得意のゲームレンジに持ち込むことができれば、勝利をつかみやすいデッキのようです。

そして、多くの人が想像するとおり≪簒奪ロイヤル≫はこのデッキに対して非常に不利なダイアグラムとなっています。陽光イージスが成立するとほぼ敗着です。その上、相手には先攻4ターン目に≪安息の絶傑・マーウィン≫を特殊進化させた後、6ターン目に≪ジャンヌダルク≫で盤面をひっくり返しながらビートダウンしていく上振れプランが存在しています。
除去を盤面打点に依存しているロイヤルにとってオーラ持ち大型フォロワーは大敵で、体力5以上のフォロワーをあえてスタンドさせるといった対処法を知っておかなければ対応はほぼ不可能です。
これが、現環境で≪簒奪ロイヤル≫のTierが大きく低下した原因となっています。

では、圧倒的に勝ちづらい≪マーウィンビショップ≫にはどのような対策をすればいいのか。ひとつ、方向性の転換をしてみましょう

―負けなければいいのです。

筆者含め多くのロイヤルプレイヤーが次に狙ったゲームプランは≪簒奪ロイヤル≫唯一の特権である『LO勝ち』です。

LO勝ち
ライブラリーLアウトOの略称。多くのカードゲームは自分の山札が引けない状況になるとゲームの状況に関係なく敗北する。
語源はMtGの山札ライブラリーから。

現環境に存在するほぼすべてのデッキは最低枚数の40枚で構成されています。理由としては、カードゲームの山札は枚数が少ないほど確率的に安定するからです。
この40枚という枚数、シャドウバースエボルヴのゲームシステムがリソース補給にシビアであることもあり、すべてのカードを引くことはほぼありません。

しかし、≪簒奪ロイヤル≫は相手の山札を墓場に送るパッケージテーマにより、相手山札の消費を加速させます。あまり現実的ではありませんが、現状実装されている簒奪パーツをフル活用すると、理論上21枚の山札を削ることができます。相手が山札からドローするカードをどれだけ使うかにも依存しますが、10ターン以上ゲームが続く場合、十分にLO勝ちを狙うことができるのです。

このLO勝ちに重点を置いたデッキチューンが既に行われています。
以下に示すのはふぁがるどさんの≪LOコントロールロイヤル≫です。

簒奪パッケージを≪プリンセスキス≫で山札に戻すことで複数回使用できるようにし、よりLOを狙いやすくなった構築です。

筆者もこのプランの強化を研究していました。その結果として作成したデッキがこちらです。

序盤の除去性能はスペルに頼り、回復を多く搭載することでゲームプランを伸ばせるようにしました。また、≪アレキサンダー≫や≪イスラーフィール≫を採用することでAoEに対応し、とにかく負けないことに意識を割いています。
しかし、何度か使用しているうちに、攻撃性能がないためにあまりにもLO以外の勝ち方が存在しないことがネックになってきました。また、≪イスラーフィール≫もアクト状態のフォロワーがいないときには活躍できず、もどかしいシーンを何度も経験することになりました。
どうにか「LO以外の勝ち方」に貢献しつつ「AoEで盤面に対処」できるカードはないものか…と考えていたところ、この曲が脳裏に流れてきました。

出たな ゲッタードラゴン

ゲッタードラゴン
TVアニメ作品「ゲッターロボG」の主役機体。

出たな ゲッタードラゴン
ゲッターロボサーガにおける最後の台詞。当記事の筆者はこの台詞が描かれた「ゲッターロボアーク」のみ履修済み

ピクシブ百科事典:ゲッタードラゴン

怪電波の受信―力が欲しいか?―

「永劫なる絶傑」はアプリ版ネメシスクラスのカードが初めて収録されたパックでもあり、各クラスの絶傑ではないLGはネメシスのカードでした。環境でよくみるカードとしては、≪神秘の番人・スピネ≫や≪デウスエクスマキナ≫などが挙げられるでしょう。
さて、ではここでロイヤルに配られたネメシスクラスのLGカードを見てみましょう。

そう、「アプリ版で大活躍した」≪マグナレガシー≫です

アプリ版で大活躍した
この文句、月刊ブシロード 2023年5月号に実際に載っています。≪光の道筋≫のPRバージョンに惹かれて筆者も購入したのですが、存在しない記憶すぎてビビりました…。

引用:月刊ブシロード 2023年5月号

このカード、驚くことに前項で課題に挙げた「LO以外の勝ち方」と「AoE」を条件付きとはいえ解決してくれるカードでした。世のゲッターロボブームから、やはりロボットアニメは男のロマンであることは自明です。筆者も数回使用してこの素敵ビームライフルに魅了されていきました。

そんなこんなで≪マグナレガシー≫をリーサルウェポンに採用しつつ、LOプランを進行できるリストの開発に着手。結果的にCS準優勝という実績を獲得したリストが誕生することになったのです。

3×11+2×5+1×2の18種45枚。
poyuさんのリストに5枚のカードを付け足したイメージ

デッキリスト

※目次から飛んだ人へ
構築変遷の詳細は構築動機の項をご覧ください。

千葉GP本戦使用リスト

3×8+2×7+1×2の17種40枚。
雑多環境に対応しようとしてリストが散らばっていますね…

Sunday Challenge 使用リスト(poyuコピー)

3×11+2×3+1の15種40枚。
非常に洗練されたリストです。

簒奪LOコントロールロイヤル

簒奪LOレガシーロイヤル

3×11+2×5+1×2の18種45枚。
poyuさんのリストに5枚のカードを付け足したイメージ

採用カード解説

※目次から飛んだ人へ
構築変遷の詳細は構築動機の項をご覧ください。

上述した通り、今回のデッキリストはヘカテー(poyu)さんのリストを改変したものになります。繰り返しとなりますが、デッキ基盤の解説はご本人が記事を執筆しているため、そちらのリンクを貼ることで割愛させていただきます。

本項では、筆者が(文字通りの蛇足として)付け足したカードを中心に解説していきます。

マグナレガシー<2>

愛称はビームライフル
私がそう判断した

本デッキのコンセプトカード。圧倒的な強スタッツとド派手なAoE、そしてリーサルウェポンとしては申し分ない8点バーンを携えるフォロワーです。
その代償として、デッキの半分を消滅させるという唯一無二のデメリットがあります。このデメリットによって、2回目以降は絶対にフルパワーでは使えないようになっています。オーバーヒートを再現しているような気がして個人的には好きな仕様です。

あまりにも使用条件が特殊であるため、少し整理します。

  • デッキの上半分は端数切り上げであるため、置換効果の8点ダメージは残デッキ枚数29枚以上で達成できる。

  • 初期手札およびターン開始時のドローのみで考えた場合、上の条件を達成する最低条件は先攻で40枚、後攻で41枚

  • キャントリップやサーチを採用する場合、最低条件で≪マグナレガシー≫を起動することはほぼ不可能

ロイヤルの既存アーキタイプはサーチとキャントリップでデッキの安定性を担保していたため、最低条件で≪マグナレガシー≫を起動することは現実的ではありません。したがって、≪マグナレガシー≫を使うにはデッキ枚数を40枚より多くして専用構築をしなければならないということが分かります。

ところで、45枚というデッキ枚数に違和感を感じた人がいるかもしれません。マグナレガシーって50枚の専用構築じゃないの?という疑問が生じるのも当然なのですが、一応ちゃんとした理論があります。

現在の≪簒奪ロイヤル≫における理論値行動を考えてみます。今回はより条件達成の厳しい後攻を想定しましょう。

  1. アヴァリティア、ベルエンジェル、簒奪の従者

  2. メイドリーダーEP進化

  3. フローラルフェンサーEP進化(肉球砲の撃ち手)

  4. 簒奪の使徒EP進化

  5. 簒奪の使徒(追加起動)or宝杖の司令官+2コスト除去等

  6. 簒奪の絶傑・オクトリス+etc

  7. アヴァリティア+簒奪の信者、宝杖の司令官などアドリブ

5ターン目以降は取れる行動が多くなるため、比較的強そうな動きを適当に書きましたが、4ターン目まではおおむねこれが理論値だと考えられます。
ここで、キャントリップやサーチをした枚数を数えてみましょう。理論値に近い行動をとった場合、8ターン目までには4,5回の追加ドローを行っていることになります。すなわち、4,5回分の追加ドローを許容するデッキ枚数を担保すれば、それ以上のデッキ枚数の追加は必要ないということになります。
最低保証の41枚に4枚追加した45枚でも、本当にギリギリですが条件を達成できるということです。
実際に、筆者が準優勝したCSでは9試合中5回≪マグナレガシー≫を使用しましたが、条件を達成できなかった試合は一度もありませんでした。

今回、筆者は既存のデッキに≪マグナレガシー≫関連パッケージを最低限「外付け」することで45枚の使用条件を達成しました。この構築方法により、既存デッキの使用感を極力損なわずに≪マグナレガシー≫を組み込むことが可能となったのです。

1試合に1回使うカードなので、2枚採用。≪宝杖の司令官≫込みで5枚採用と捉え、60%くらいの確率で引き込めるようにしていますが、もっと使いたい方は3積みしてもいいと思います。

偉そうなこと言ってますが、専用構築で強い構築があればそっちを握った方がいいような気がします。誰か専用構築の基盤を作ってください…w

プリンセスキス<2>

どちらを使うかはお好みで
筆者がどちらを使っているかはご想像のとおりです

≪マグナレガシー≫パッケージとして、筆者が採用した1枚です。基本的に【2】のチョイス効果を使用します。
このカードは≪マグナレガシー≫使用前の条件調整として使うカードと勘違いされていますが、実は≪マグナレガシー≫使用後に使うことの方が多いです。そもそも上述したとおり、条件調整をしなくても≪マグナレガシー≫は使用できます。
≪マグナレガシー≫使用後の山札は当然ですが15枚以下になります。これは一見デメリットに見えますが、見方を変えると15枚という非常に圧縮された山札を獲得したと言い換えることもできます。この状態の山札に、≪プリンセスキス≫によって簒奪パッケージを戻すことで、高確率で簒奪パッケージを引ける山札を作ることができるようになります。

…要は使わなくてもいいカードなので適当な2枚採用。一応デッキを引きすぎた時のリカバリーカードでもあるのですが、そのような使い方をしているうちは二流なのかもしれません(筆者は決勝で枚数を間違えてリカバリーに使いました)。

アークエンジェル・レイナ<1-1>

筆者が好きなカードの1枚です。以上です。そんなレベルの適当枠です。
一応説明すると、進化を多用するロイヤルにおいて8PP時点の5回進化は高確率で達成しているため、≪マグナレガシー≫と同時に出すことでカウンターリーサルを防ぐことができます。体力6が優秀な時もそれなりに多いです。
≪プリンセスキス≫で山札に戻した≪簒奪の絶傑・オクトリス≫や≪簒奪の使徒≫を再利用できるのも地味に偉いかもしれません。
適当なので1-1採用。余裕があるタイミングに≪メイドリーダー≫でサーチしておきます。

肉球砲の撃ち手<3-2>

ニュートラル版≪デュアルウィッチ・レミラミ≫です。ヘカテーさんのリスト基盤で唯一入れ替えたカードです。入れ替え理由は大したものでなく、≪フローラルフェンサー≫よりも除去性能が高く、後半のゲームを想定したデッキコンセプトに合っている気がしたからです。
…要は気分です。また、このカードを使うと対戦相手に只者ではない印象を与えることができる気がします。

アヴァリティア<3>

新たに採用したカードではないのですが、使用用途に若干の変更が生じたため解説。

序盤の使用方法は今までと変わらないのですが、2枚目からは少し挙動が変わります。
それは、≪マグナレガシー≫後にデッキボトムを操作する役割です。
既存のロイヤルはサーチが豊富な一方で純粋なリソース補給は少なく、デッキボトムに送ったカードを覚える必要がないことが一般的でした。しかし、≪マグナレガシー≫使用後はデッキが極端に圧縮されるため、デッキを操作することに価値が生まれてきます。そして、レアケースですが、≪マグナレガシー≫を2回使用した場合、デッキ枚数は7枚以下となりルックカードによってほぼすべての山札が明らかになります。この情報アドバンテージはかなり大きいもので、ロイヤルとは思えないプレイングが可能になると考えられます。実際にやったことはありませんが…。

終わりに

なんで準優勝まで行ったんですかね…w

遊びに行ったら勝ってしまったのが正直なところです。
実は、≪マグナレガシー≫を採用したからといって≪マーウィンビショップ≫への勝率改善はあまりされていません。7,8ターン目の≪安息の絶傑・マーウィン≫を少し取りやすくなるくらいでしょうかね…?
そして、このアーキタイプの致命的欠陥として≪簒奪ロイヤル≫に対面した瞬間プランが崩壊します。それでいいのか近代兵器…w

とはいえ、このような遊び心を盛り込んだデッキでも勝てるのは、≪簒奪ロイヤル≫という基盤が強いことの証明ではないのでしょうか。今後の環境変遷が楽しみです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
次の記事でお会いしましょう!

参考文献

デッキ基盤


LO戦術に関する部分


マーウィンビショップ


マーウィンビショップ準優勝構築


君は完璧で究極のゲッター


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